M-1グランプリ2023の真空ジェシカとくらげを考察する


筆者は真空ジェシカのネタが1stで1番面白いと感じた。
なぜ最終決戦に残れなかったのかを想うとモヤモヤするが、数日経ち冷静に振り返る事が出来た。

ネタを簡単におさらい
・呪物コレクターと呪物という完璧な掴み
・A画館からZ画館のくだり⇒顔仲裁⇒スマホエンジン⇒検索エンジン
・ムービー勝山⇒左に受け流す
・K務所と思わせてのJ務署への裏切り
・後科2犯
・ニヤ崎駿⇒お前らをどう殺すか⇒クローン澤明⇒三谷幸喜高齢者⇒ラジオネーム 
・映画泥棒の勝ち
・27倍速からのロードショーの高速おじさん
・Z画館でも、映画を正当に評価できる人がいる、というオチ

ボケ数が多くテンポも良い。
一つ一つのセンスがズバ抜けている。
スピード感があるけど、途中に挟むガクの説明が丁寧で分かりやすい。
これだけ質の高い漫才をしてなぜ最終決戦に残れなかったのかを考える。

降順にすると以下になる。
①さや香659
②ヤーレンズ656
③令和ロマン648
④マユリカ645
⑤真空ジェシカ643
⑥モグライダー632
⑦ダンビラムーチョ631
⑧シシガシラ627
⑨くらげ620
こうして見ると結果的に今大会は640点台が混戦だった事が分かる。
真空は決して低い点数では無く、ちゃんと評価されている。
ただ、最終決戦には残れなった理由について3つ挙げる。

①出順と最終決戦バイアス
ヤーレンズが656を叩き出した事で暫定BOX席の令和ロマンが3位に落ちる。
真空の出順はヤーレンズの次だったので、真空ジェシカ以降、審査員はネタを採点しつつ、番組として誰を最終決戦に残すかどうかの選択も求めれられた。
7組目の採点となると、審査員は今大会の採点傾向が分かってくる。
基準点となる1組目の令和ロマンがやはり強くて、高い点数が付け難い展開に。
それにより、どちらの2本目ネタを見たいか(優勝後のTVスター候補の選出を見越して)を含めて採点する状況になった。
そのため、1組目で空気を掴んだ令和ロマンの方を評価する審査員が多い結果になった。
真空 > 令ロ:大吉、松本
真空 < 令ロ:邦子、富澤、塙、ともこ、礼二

②コント漫才×センス系は得点が飛躍しづらい
しゃべくり漫才至上主義がある。(しゃべくり漫才が王道で正しい漫才であるという考え方)
そのため、しゃべくり漫才の上限値が100としたら、コント漫才は98~95としている審査員がいる可能性がある。
そこから減点方式なら点数が跳ねないのも頷ける。
特に今年は立川志らくという個性的な点数を付ける審査員が抜け、海原ともこというしゃべくり漫才出身の審査員が加入した為、しゃべくり漫才の比重が高くなったと言える。
時に、センス系のボケは瞬時に理解する事が難しいときがある。
年齢が上がるにつれて理解の瞬発性は低下するので、ネタの流れに付いて行けてない可能性がある。
真空のボケは対義語大喜利を軸にしているので、元ネタを知っている且つ対義語という面白ポイントを同時に理解しないと笑いづらいのかも。

③声量・熱量が弱い
声量や熱量というのはTVの画面越しでは伝わりづらい。
さや香の新山は熱量がある人なのは伝わる。
さや香は邦子・ともこ から高得点だったけど、訴えかけられる感じが女性陣にはグッと来るのではないか。
それをみると、真空は訴えかけて来るような熱量を持ったタイプでは無い。
ガクはツッコミというより、川北が言い放つボケがボケである事をお客さんに伝える役割という感じ。
やはり、審査員席という舞台から凄く近い場所とTVで観るのは感じ方が異なるのは仕方が無いと言ったところか。

【くらげ】
アロハシャツで坊主頭の男が、31アイスやサンリオ、化粧品ブランドを連呼するネタ。
筆者は真空の次に面白いと感じた。
それなのに、ぶっちぎり最下位の点数で悲しくなった。
準決勝と同じネタだったけど、準決勝の会場ではバカ受けだったらしい。
FANYプレミアムに加入して激狭の抽選をくぐり抜けてまで来るイタイお笑いファンは当然くらげを知ってるし、分かんねぇけど時代から今までの新しいフォーマットへの挑戦の過程も分かってるから、今回のシンプルな笑わせ方がフィットしたのだと思う。
M-1の舞台では、その下地が無いので、笑いが連鎖しづらかった。
今回で顔見せ出来たので、来年また頑張って欲しい。


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