見出し画像

noteのCEO・加藤貞顕が語る、持続可能な創作の未来をテンカイ 2020/06/17 #テンカイズ

文章、写真、イラスト、音楽、映像などを手軽に投稿できる、クリエイターと読者をつなぐメディアプラットフォーム「note(ノート)」
今やブログやSNSをも凌ぐ勢いでそのユーザー数を増やしています。
使い勝手や魅力、その可能性を探ります!

画像2

MCは宇賀なつみさん、
プレゼンターはBusiness Insider Japan編集長の浜田敬子さん。
収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧いただけます。


宇賀:今日のゲストはメディアプラットフォーム「note」を運営する
note株式会社 代表取締役 CEOの加藤貞顕さんです。加藤さん!
(リモートでのご出演でした)

加藤:よろしくお願いします。

画像3

宇賀:浜田さんが今回、加藤さんを呼んでくださったと。

浜田:是非出てもらいたくて、そもそもこのテンカイズも
note使わせていただいてます。加藤さんありがとうございます。

宇賀:ありがとうございます。お世話になっております。

浜田:とにかく私もメディアをやってますけども、もうメディアとしてこのnoteっていうのがものすごく成長していて、今、YouTube か note か?みたいな勢いのあるメディアというふうに思っています。

ビジネスインサイダーでも加藤さんを2月に連載させていただいたんですけども、元々私も前職の AERA 時代から加藤さんは、あの「もしドラ」を作った編集者なので大尊敬するヒットメーカーなわけですよ。
(※もしドラ・・・「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」)

浜田:周りでも note やってますっていう人増えてません?何か書くときに必ずみんな note に書くようになったんです。ブログって言葉がどんどんもう死語になってるなと思って。

宇賀:と浜田さんがおっしゃっておりますが加藤さんいかがでしょうか?

加藤:ありがとうございます。noteはおかげさまでつい先日発表したのが、4400万月間利用者数っていう数字なのですけど(収録当時)、今もっと伸びてるんですね。ちょっとまだ数字は出せないんですがすごく増えてます。

<note人気の理由をテンカイ!>
宇賀:ただ、note って分からない、聞いたことないわっていう方もいらっしゃると思うので、改めて加藤さんから note どういうものなのかまず教えていただいてもいいですか?

加藤:
note は先ほどブログって話がありましたけど、結構あれと近くて、
要するに簡単にだれでも記事を掲載できるんですよね。
文字だけじゃなくて音とか画像とかイラストとか、あとは動画も載せることができる、さらに必要ならそれを販売することができるんですよ。
なのでいろんなクリエイター、プロからアマチュアまでかなりいろんなジャンルの方がnote を自分の発信のメインの場所として使ってくれるようになってきてますね。

宇賀:元々ブログとか SNS もいろいろあったわけじゃないですか。どうして note を立ち上げようと思ったんですか?

加藤:元々僕、出版社で編集者をしていました。編集者ってクリエイターの発表したい物事を助ける仕事なんですよね。「こんなこと書きたいんだ」という作家さんに対して、じゃあこうやったらどうですかって提案をして、一緒に物を作って、それを売るとか広げるところまでが仕事になる。
「もしドラ」はたくさん本が売れたので映画を作るとこまでやったわけなんですけど。ただ、そういう本を起点とした創作活動が、インターネットが普及してきたらしにくくなってきたんですよね。

単純な話、電車乗ってる時間とかみんなスマホを見ているじゃないですか。だからスマホの中にコンテンツを発表したり、あるいは新人が生み出されたり、そしてもちろんビジネスが起きたり。そういったことを僕はよく「エコシステム」と呼んでいるんですけど、クリエイティブのエコシステムがないことには、今後のクリエイティブの世界が広がっていかない。
これはもちろんラジオとかテレビもその中に入ってると思うんだけど、
インターネット上でクリエイティブのエコシステムを作る必要はどうしたってこの先あるだろうと考えて、会社を始めてサービスを作ったんですよね。

浜田:これまで私も出版社にいたんですけど、出版社で本を出すってある程度名前がある人じゃないとできなかったですよね。
今どんどん本が売れなくなってるので、この作家はだいたいどのぐらい売れるとかいうのはすぐ企画会議で問われて、なので結局同じ作家さん、売れた実績のある作家さんのしか出せなかった。
だけど note ってだれもがそこで創作ができるって事にこだわっているので、まったくこれまでやったことがない人でも今日からできるんですよね。

加藤:僕らの会社のミッションは、まさに「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」っていう言葉なんです。なんで「だれもが」にしているのか。そもそも出版社が著者と一緒にやるのはやっぱりリソースの制限があるから、ある程度売れる見込みが立つ人としかできなかったと思うんですよ。
本1冊作るのにこれだけお金かかる。じゃあ5000部売れないと採算が合わないからできないよねって話でやっていたんです。でも、可能であれば、もっといろんな人のクリエイティブを助けられたら、もっといいですよね。ネットならそれができるわけです。

浜田:note って宇賀ちゃん見たことありますか?

宇賀:見たことはもちろんあります。

浜田:デザインがかわいくないですか?ほんわかしてるっていうか。

宇賀:うん、可愛い!おしゃれ!優しい。

浜田:これ加藤さんのこだわりですよね?

加藤:もちろんこの辺はデザイナーとかがいてチームでやってることなんですけど、プレーンな場所であることがすごく大事かなと思ってるんですよ。
note にあんまり色がない。だからどんなジャンルの人でも使える。
Appleのコンピューターとか、そうじゃないですか。クリエイティブな空気はあるけど、あとはそれぞれが考えて、好きなことをしてねという雰囲気。
そういう場所にするってことはすごく心がけてやってるんですよ。

宇賀:確かにプレーンっていう言葉が今すごくしっくりきました。
本当に真っ白いノートに自分で好きに作れるみたいな。

画像6


<記事ランキングを採用しない理由とは?>
浜田:もう一つ、へぇーと思ったのが、ランキングをあえてしてらっしゃらないじゃないですか。読まれるランキング。
大抵 Yahoo とかもそうなんですけど、今のメディアって読まれたランキングを出すんですよ。やっぱり読まれる記事を出せば、それがまた読まれるっていうのがやっぱりあるので出すんですけども、
note はあえてランキングを出さないでその代わりテクノロジーを使ってこの人にはこの記事が合うんじゃないかってアルゴリズムでやってらっしゃるんですよね。

加藤:ランキングってすごく便利な仕組みで、みんな大好きじゃないですか。ランキングが1位のやつって見たくなりますよね。でもやっぱり弊害もあって、あれがあるとクリエイターの側の多様性が損なわれるんですよね。
つまりランキングにあるようなコンテンツを作らなきゃいけないなって感じになるんですよ。極端な話をすると。だからデメリットの方が大きいから note はなしにしよう。
あともう一個ないものがあって広告がないんですよ。これも結構すごく意識してやってることです。インターネットって実はほとんど広告で動いているわけです。広告自体は別に悪いものではないんだけど、広告があるとページビューを追うことになる。
つまりサイトの広告ってページビューあたりいくらみたいな話になってるから、ページビューを稼ぎたくなるんですよ、クリエイターの方が。たとえば大袈裟な見出しをつけたりとか。

浜田:耳が痛い。

加藤:あるいは悪口を書いたりとか、あとはコンテンツの仕入れ値が下がる方法としてコピペをする方法もある。
やっぱりそれは広告にドライブされているところから来てるなと思いました。広告をなくしてランキングをなくすと人は本当にしたい、自分が届けたいことを表現するようになる。
そしてそれをちゃんと届けるべき相手にテクノロジーでマッチングさせてあげれば、いい場所が作れるんじゃないのかなってことでやってるんですよ。

宇賀:だから note ってネットニュースとか SNS にあるギスギスした感じがないんですね。

浜田:そうなんですよ。ギスギスした感じがその作品の中身からもないし、表面からもないですよね。

宇賀:ランキングがあるとさっきおっしゃった通り、ランキング上位のもの見ていきたくなるんですけど、
それって本当に自分が欲しい情報じゃなかったりするんですよね。

浜田:作るときも「これが当たったからもう1回この記事を」ってやっぱりなるんですよ。人間って弱いから。で、結局同じような記事が並ぶ。
それを排除するっていう意味ではランキングをあえてやめるってすごい決断だと思います。

画像5


<企業にも利用されているnote>
宇賀:書き手も受け手も本当に好きなものを書けるし見つけられますよね。
自分の心に素直になれる気がします。
でも広告がないっていうことはどうやって利益をあげてるんですか?

加藤:それはいい質問ですね。先ほどちょっとだけ言いましたけど、noteってコンテンツを販売することもできるんですよ。
この記事の続きを見たかったらお金払ってねみたいな感じで。
クリエイターの方がコンテンツを販売することができるんで、それが売れた場合に手数料を一部いただいています。それがメイン。あとはnote自体、法人にも使ってもらっています。

浜田:今文藝春秋とか、キリンさんがノート使って。だから今まで広告とは違う企業のメッセージを発信するのに note 使われてたりします。

宇賀:それはそれぞれ大きな会社ですから自社でもできるわけじゃないですか。noteを使う理由っていうのは何なんですかね?

加藤:今、インターネットって日本だけでウェブサイトが5000万以上あるんですよ。新しいサイトを作るのは大変だし、さらに言うとやっぱり集客が大変なんですよ。
インターネットでウェブサイトを作るのは砂漠の真ん中に店を開くみたいなもんなんですよね。
でも note だったら冒頭でもお話ししたように、すごくたくさんの人が出入りしているから、見てもらいやすいんです。

画像6


<noteから人気作家が誕生!>

浜田:私今日、宇賀ちゃんに是非読んでいただきたい大好きな書き手がいて、noteに。岸田奈美ちゃんと言うんですけど、もうしょっちゅう私もサポートでお金を入れてるんですけど、すっごい面白いんですよ。
元々作家じゃなかったけど、今回プロの作家としてもデビューしちゃいましたよね。

加藤:岸田さんはもともとベンチャー企業で働いていたんですけど、noteで記事書いてどんどんどんどん有名になって。とうとう文藝春秋に書いたりとか、いろんな媒体で依頼がくるようになってもう独立して作家になりましたね。

浜田:女性だったら分かると思うんですけど、ブラジャーを買う時のあるある話とかをめちゃくちゃ面白く書いたりとか、あとお母様と弟さんがちょっと障害があるんですけども、それを本当にあったかく前向きな文章で書くんですよね。だからすごいホロッとするんだけどあったかい気持ちになるみたいな。
こんな文章上手な人がよくいたなーみたいな。編集者だったら、わっ、ツバつけたいってすぐ思う感じ。

宇賀:ここで有名になって、出版社の方から本出しませんか?っていうお誘いが来たりとか。

加藤:彼女に限らず、最近はそういう流れができつつありますね。ありがたいことに。

浜田:私が最初に知ったの柴田尚樹さんってアメリカのシリコンバレーにいらっしゃった方が、決算が読めるようになるnoteっていうの書いてらっしゃった。それが本当にクオリティが高くて、ビジネスインサイダーにそのnoteの文章を転載させてもらいました。


<noteの未来をテンカイ!>
宇賀:加藤さん今後の夢や目標はありますか?

加藤:noteは今、大勢のひとが使ってくるようになったんですけど、まだ伸びる余地がかなりあります。だいたい全員が使ってる状態にしたいんですよね。Twitterとか有名人も含めてみんなアカウント持って使ってるじゃないですか。あのくらいのレベル感をまずは達成したいと思ってます。

浜田:海外も進出すると。

加藤:いずれはそうですね。まずは国内のみんなが使ってる状態が先ですけどね。

宇賀:楽しみですね。

浜田:宇賀ちゃんも是非note書けばいいのに。

宇賀:私も書こうかな。今は時間ありますし、書くの好きで連載とかはやらせていただいてるんですけど、
やっぱり自分の本当に好きな事を勝手に書くってなかなかできないんだなっていうのを今感じているのでやろうかな。

加藤:宇賀さんでしたら、日記みたいな、本人からすると他愛のない内容を書くのとかおすすめですよ。

宇賀:でも私も独立して1年経ったので、一人でどういうことがあったかっていうのをどこかでまとめて書きたいなっていうのを思っていたので、ちょっとまたご連絡します(笑)
今夜のゲストはnote株式会社代表取締役 CEOの加藤貞顕さんでした。ありがとうございました!

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?