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本質はクレイジーだ!完全オーダーメイドウェディングに迫る #テンカイズ

世界的に感染が拡大した新型コロナウイルス。ビジネスや人々の生き方に多大なる影響を及ぼしました。
成人式や入社式など、人生の大切な節目となるイベントや式典のキャンセルも相次いでいます。その中でも多く相次いだのが、結婚式のキャンセルや延期。今回はコロナ禍のブライダル事情を探ります。

1. 本質を追求したウェディングプロデュースとは

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宇賀:今回のゲストは株式会社CRAZY代表取締役社長・森山和彦さんです。よろしくお願いします。

森山:よろしくお願いします。

森山和彦(もりやま・かずひこ):大学卒業後、人材コンサルティングの会社に6年半在籍。2012年に株式会社CRAZYを創業。完全オーダーメイドのウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING」を運営し、TV番組『情熱大陸』をはじめ数多くのメディアに取り上げられる。2019年には初の自社ブランド施設「IWAI OMOTESANDO」をオープン。2020年4月にはオンライン結婚式サービス「Congrats」の提供を開始するなど、結婚式に新たな選択肢をつくり続けている。Twitter:@CRAZY904Kaz

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宇賀:この「CRAZY」という会社名の由来は?

森山:創業時から、僕たちは「本質的であること」をすごく大事にしてきました。本質とは何かの正解ではなく、問いだと捉えています。

例えば、結婚式であれば「結婚式って本来、どうあるべきだろうか?」、働き方であれば「人間がどのように働けば幸せだろうか?」という問いが本質であり、答えは本質ではないと考えています。

そうした問いをしていくと、面白い働き方や、ちょっと変わったウェディングができます。僕たちからすれば、それは本質的。むしろ本質的なことをやっていない世の中がクレイジーに見える。逆に世の中からしたら僕たちは異質に見えるんですが、そんなことはないですよ、と。本質を追求するとクレイジーになるんじゃないかということで、社名を「CRAZY」にしました。

宇賀:結婚式に関するビジネスを展開されていますが、どんな経緯で始まったんでしょうか?

森山:共同創業者である山川咲(Twitter:@yamakawa_saki)と結婚をした時に、自分たちで結婚式をプロデュースしたのが始まりです。その時の原体験が全てベースになっています。

オーダーメイドでやりたかったというより、僕たちには規格外の希望があったわけです。でもどこに行っても相談を聞いてくれない。ヒアリングがそもそもなかったんです。

それよりも「和洋折衷どれがいいですか?」、「お花はどんなイメージですか?」と聞かれんですが、僕たちは“そもそも論”を話し合いたかった。だから我慢していたんです。

そんな中で会場案内にいそいそとついて行った時、「こちらにウェルカムボードを置いてください」と言われた瞬間、我慢ができなくて。そもそもウェルカムボードとは何か?ウェルカムボードを置くことすらちょっと分からない、というところから、誰も話を聞いてくれないことに気づきました。

そこからフリーのウェディングプランナーの方に式場を紹介していただいて、貸切でやりました。自分たちでプロジェクターとかも借りながら全て用意して、合計で1000万円くらい。これが原体験です。

この原体験から、同じようなニーズがあるかもしれないとオーダーメイドをスタートしたのが2012年です。

宇賀:オーダーメイドって、例えばどんなことができるんですか?

森山「イベントをゼロから企画する」と言った方が、分かりやすいかもしれません。
概念的な希望などを全て伺った後に、デッサンをします。装飾や中身、色紙台など通常なら決まっているものも、全て決まっていません。全部ご提案をするスタイルが完全オーダーメイドなんです。


2. コロナ禍で苦しいウェディング業界。その試行錯誤とは

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浜田:コロナでこの1年は本当に大変だったんじゃないですか?

森山:もうとても大変ですよ、今でも大変です。
産業としてはかなり厳しいですね。業界団体として2020年4月から2021年3月までの推計で9500億円の損失が出ています。この産業全体が大体、1.5兆〜2兆数千万円と言われているので、半分以上です。

それも実感としてあるわけです、延期しているので。「でも、延期でしょ」と言われるんですが、延期しているということは売り上げがないんです。

浜田:施設の固定費、従業員の方もいらっしゃるんですもんね。

宇賀:でもこのコロナ禍で、ブランドリニューアルもされたんですよね。

森山:はい。共同創業者である山川咲が辞めたこともあり、会社として大きな舵取りをしないとなと。もともと彼女が広告塔として立っていたので、ブランドも彼女がやりたかった「一人一人の人生の意思を持つ」というところから、僕の思想に近い「パートナーシップ」に変えていこうとしています。

僕はずっと「人とどう愛し合うか」みたいなことに興味があるんです。”お祭りのように結婚式を盛り立てるエネルギーから、お祝いし続けましょう。家族の関係性をもっと深めていきましょうーー”そんな方向に舵を切っています。

浜田:コロナによって、ウェディングプロデュースの変化や、プラスに働いたことはありますか?

森山:コロナによって、どうやって人と共に生きるか、人との関係性を見直したと思います。そうした意味で、これから僕たちが提供していくものに対して共感度は非常に高くなったのではないでしょうか。

浜田:コロナ禍の結婚式のスタイルで、新たに生み出されたものとかありますか?

森山:今いくつも新しいタイプが出ていますが、一つの大きな傾向としては少人数化です。
例えば2人だけ結婚式を挙げる二人婚も流行ってきていますし、家族だけでの挙式も多くのお問い合わせがあります。

もう一つあるのが、リアルとバーチャルの組み合わせです。コロナ禍になって、当たり前になってきつつあります。

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浜田:それがこのオンライン結婚式の「Congrats」?

森山:そうです。Congratsを出したのも、そういう背景がありました。
当時は、もしかしたらリアル挙式が全く駄目なのかもしれないと思っていたので、バーチャルの世界だけでもお祝いできるようにと作りました。今ではやはりリアルが強いので、それに補足するようにCongrats混合型で付いてきている状態です。


3. 家族のコミュニケーションをサポート。新しいウェディングビジネスの形

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宇賀:新規でアプリ開発もされているとか。

森山:そうなんです。
今がチャンス、機会だと思っています。このまま10年、この業界が同じように続くとは予測していません。そもそも人口が減少しているし、今回のコロナによって残念ながら潰れていく事業者さんも出てきます。お祝いをしたいニーズはありますが、今まで通りのやり方でやり続けると事業者サイドも辛い。

ビジネスモデルとしての限界が近づいている時、やはり生産性を上げなければいけません。そうなるといかにデジタルを掛け合わせるかが重要になってきます。それで今、夫婦にずっと寄り添い続けられるようなアプリケーションを開発しています。

浜田:結婚式をしたら終わりじゃなく、その後の2人の良い関係性を築くためのお手伝いみたいな。

森山:さらに、結婚式がメインじゃなくなるんです。
夫婦になる前って、アジェンダという降ってくるタスクが可愛いんですよね。「どこに引っ越そう?」、「仕事はどうしよう?」とか、ラブラブな感じで。

一方で結婚した瞬間に、お互いの親についてどう思っているのか、老後はどうするのか……急に話し合いが現実的になる。アジェンダがたくさん降ってくるんですね。

アジェンダの解決の度に、話し合いの技術が無いと「価値観の違い」を感じて疎遠になってしまうわけです。

それを、仲のいい時からファミリールールみたいなものを作りながら、それをずっと保存していきながら、そしてアップデートしながら……というサービスです。そのプロセスの中に結婚式があります。

結婚式は1回かもしれないし、3回かもしれない。年に1回の旅行が、結婚式になるかもしれない世界に変えていきたいと思っています。

宇賀:結婚式、もう一回したいです!楽しかったもん。

森山:お互いの人生にとって振り返るいい機会になればいいなと。
さらに、アプリにはいろんなものを残せるようになっているんですが、音声も残るんです。

例えば子どもが生まれた時、親である僕はどう思ったのか肉声で残っていないですよね。それを残すんです。そうした音声が残ると、もちろん遺言にもなるし、プレゼントにもなる。そんなコンテンツをずっと保存し続け、記録をするんです。

浜田家族のコミュニケーションをサポートするツールでもあるんですね!すごいなあ。

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宇賀:最後に、株式会社CRAZYと森山さんご自身の今後の展開を教えてください。

森山:今後は「CRAZY」という名前にあるように、作りたい本質的な世の中を叫び続けたいです。これから先、地球人類が本当に幸せに生きていくために、愛情は欠かせないものです。特に子どもに対する愛情が伝わるか否かって、パートナーとのコミュニケーションがとても重要なファクターになると思っているので、そこに僕たちは架け橋を描けるようなビジネスをやっていくのが、CRAZYという会社の展開だと考えています。

自分自身でいうと、多様なパートナーシップっていうものに対してすごく寛容でありたいです。妻である山川との関係性も、ものすごく創造的で変化がすごいです。だから、自分の展開は想像ができないと思います。すごいことになるかもしれません!そんな新しいパートナーシップの形でも、僕は楽しんでいきたいです。

浜田:新しい家族の形までプロデュース、サポートするという感じですね。

森山:自分自身がそれを実験しているとすらちょっと思っています。

宇賀:今回のゲストは株式会社CRAZY代表取締役社長・森山和彦さんでした。ありがとうございました。


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