天上の花その2

蛭子能収さんがむかし年上の人に好かれるにはどうしたらいいかと聞かれ、その人がくれた食べ物はたとえスパゲティの切れ端でも喜んでもらって食べることと回答していたのが忘れられない。
わりとこれ、人生における真理だと思うし、わたしもなるべく実践している。

それと関係があるんだかないんだかアレがアレですけど、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』で輝が獲ってきた気色の悪い魚を未沙が食べるのを嫌がるシーン。見た人はわかると思うんだけど、あれが忘れられなくて。
いやそりゃあんな魚食えんじゃろとは思うけどさーでもあんな態度とったら輝ブチ切れるかもしれんやん。もし切れた輝が暴れ出したら最悪殺されても仕方なかったと思う。どうせまわり誰もおらんのだし。

これなんの話かというと、先日観た『天上の花』で、夫婦が互いに食事の文句を言い合ったり食べなかったりするシーンがひんぱんに出てくるのね。それで蛭子さんとマクロスを思い出したわけなんだけど。
やっぱ食事はね。人間の尊厳を守る意味でほんと大事。絶対触れちゃいけない部分。
そういや急に思い出したけど、わたし行きつけの大衆居酒屋があるんですよ。そこはメニューがとにかく多くて刺身が美味しいの。それはもう重々知ってるわけです。で、たまには変わったものを食べたいというか、なんならいつか全メニュー制覇してみたいとかって思ったりもするわけよ。それでその日はハムエッグを注文したのね。いままで食べたことなかったから。そうしたら隣におばさんとおじいちゃんが座ってたんだけど、そのおばさんが「なにもこんなお魚が美味しいお店でハムエッグをたのまなくてもねぇ…」なんてわたしに聞こえるように話してんの。
これさー、いま思い出しても腹が立つというか腑に落ちないんだけど。
別にいいじゃないの人が何頼もうが。つーかわたしもこの店が刺身美味いことは知ってるし、なんならあなたよりも通ってるよ?
その日はまあ、矛をおさめたけど、最悪戦争ですよこんなの。
人の食べ物にケチつけるのが一番よくない。ほんと徳が低い。

また話が逸れましたけど。
天上の花の慶子さんは夫婦仲をよくしようという気がまったくないからなんにも悪びれることなく三好達治がつくる食事にケチをつけるし砂糖をシェアする気もないし。まあそれはそういう人なので仕方ないし、そもそもそういう人に惚れた達治も悪い。まして慶子さんに暴力振るうとか論外だし。

それはそれとして天上の花の、ふたりがそれぞれ蟹を食べるシーン。
あれよかったなぁ。




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