pictures of you

この間『GOLDFISH』という映画を観たんですよ。
でね、主人公たち3人が歩道橋の上で話すシーンがあって。
わりと真剣な話をしているのに、ひとりがずっとふざけてるの。もう、延々と。
それがねー、すごいよくて。
ふざけた映画だな、と思った。
ふざけてる、っていうのは、褒め言葉なんです。私の場合。
と、思い出したんだけど、むかし絵を習っていた頃、私の絵を見た先生が「ふざけてるな」って言ったことがあって。
その時はひどく萎縮してしまったけど、今にして思うとあれはまんざら悪くなかったのかもしれない。
ふざけてるっていうのは、自分には思いつかない、やろうとしてもやれないことをやっているっていう意味でもあるし。

そんなことを思い出しながらさっき歯を磨いていたんですけど。
あの先生、名前も忘れちゃったけど、何枚も同じような絵を描いていて、それがその頃の私には不思議で仕方なくて。
私は本当に素晴らしい絵が1枚描けたら、あとはもうどうでもいいというか、それで完成ってことで終わらせていいと思ってた。
だって他は蛇足じゃない。
売り物として描くというのも違う気がしたし。
でも、さっき急にわかったんだよな。
対象への関心が尽きないから、描き続けるんだよ、みんな。
そう考えると、私という人間は、いかにも他人にも世界にも興味がなかった。
だからいまはもう絵が描けない。
そんな私でもたったひとつだけ興味が尽きないものがある。
それがあなただ。

今日はザ・キュアーのヴォーカル、ロバート・スミスの誕生日なんだって。
キュアーのpictures of youという曲をいつかあなたに聞かせたい。
“there was nothing in the world that I ever wanted more than to feel you deep in my heart”
「心の奥底であなたを感じる以上にこの世界で私が求めるものはなかった」
この美しい歌があなたに届くといいのに。

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