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カルロ・ロヴェッリ著「すごい物理学講義」が、本当にすごい!

時間は存在しない」に続いて、「カルロ・ロヴェッリ」の本を図書館で借りて読みました。やはり、理解出来たとは言い難いのですが、とても面白かったです。
ほぼ一気読みでした。難解な内容なのに面白いと言うのが、自分でも不思議です。

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この本は、2千年に及ぶ科学の歩みを概観しながら、最終的には「ループ量子重力論」についての知見を紹介するものですが、古典力学から量子論への流れが、まるで物語を読むようでした。

私たちはすでに、今の宇宙がビッグバンによって誕生した事。ブラックホールが存在する事。時間は相対的なものである事などを知っています。
これらは、アインシュタインの一般相対性理論によって導かれた事実です。

しかし、最新の量子物理学の研究で「ビッグバン以前には別の宇宙があった」らしい事。「ブラックホールは最終的に蒸発してしまう」らしい事などが、わかっているそうです。「らしい」と言うのは、まだ証明されたわけではないからです。

また、日本ではあまり知られていない「ループ量子重力論」の最も重要な知見は「世の中には無限に小さな点は存在しない」、あるいは「空間の分割には下限がある」と言う事だそうです。
この発見によって「一般相対性理論」における特異点が無くなり、「量子力学」との矛盾が解消します。

とは言っても、「ループ量子重力論」が、正しいと証明されたわけではなく、日本ではよく知られている「超ひも理論」でも、同じように無限に小さな点を「長さのあるヒモ」であるとして、その存在を否定しており、現在、両者は、どちらの理論が正しいのか競い合っています。
正直、この辺りの話には、ついて行けませんでした・・・。

個人的に面白いと思ったのは「宇宙は無限ではなく有限」であり、ちょうど球体の内側のような構造をしていて、どこまでも真っ直ぐに進んで行くと元の場所に戻ってしまう(ちょうど、古代の人々が地球は無限に広がっていると考えていたが、実際は球体だった)という話。

また、もし地球からブラックホールのような大質量の存在に、ロケットで近付いて数時間滞在して帰って来たとしたら、地球では、何百年もの時が経過しているだろうという話。まさに浦島太郎の現代版です。

ただ、この本は、現代物理学が、どういう流れで古典力学から発展してきたかを紹介するだけでは無く、哲学を踏まえて、真理を探求する姿勢を示している点が、すごいところだと思います。

それに、プラトンが、すでに地球が球体である事を看破していたり、アナクシマンドロスが、万物は粒子で出来ている事を確信していたなど、古代哲学者の先見の明に驚ろかされます。当時、どうやってそれを知ったのかは謎ですが。

とにかく、読み物としても大変面白いので、私も含め、物理学に拒絶反応を持っている人も、是非、手に取って欲しい一冊です。

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