夜桜さんちの大作戦156「夢」感想


百の魔の手が家族に。この力は一体ーーーー
   漆黒は幻想を切り裂いてーーーー

 髪を黒く染め、感情を失った表情で食卓を囲う六美と義兄妹を前に、太陽は義父である百と相対する。
 異常な光景を前に平然とする百に襲いかかる太陽だが、家族を巻き込んだ事故に自身が関わっていたことや、六美と婚姻を結んだことは全て策略のうちにあったと明かされ動揺し、百の能力を前になす術なく取り込まれかけてしまう…。



 来週これは確実に長男開花編始まりますねふうーーー!!!!
 バトルが好きなのでバトル回は滾ります。
 けどその前に今週の感想ですね。色々気になることがありましたが、一番は太陽の「覚えてる」ですね。
 私はこれが、太陽が事故日を思い出した描写だと思い、事故を仕組んだのが皮下で、百が太陽を(ソメイニンによって生命活動を安定させ(?))救ったと捉えたんですが、いや、それすら百の幻想(夢)じゃないか、と意見をいただき、あ、そうかと。確かに百の能力に捕まった表現としての強調表現と言われればそう見えるし、それで思い出したんだですけど、太陽の家族が事故に遭った日って「6月6日」なんですよね。うん、この六美の誕生日に事故起こすのなんて百以外いないね。なんという説得力。
 まあ、犯人百だろって思っているのでむしろそちらが解釈一致です。
 私的には、事故の犯人だと名乗り出てから、六美との結婚お膳立てするためだったんだよって告白すると思っていたので、読み取り方が違ったのはそこら辺の思い込みからかなと。



 まあそんな感じで、太陽が家族と巻き込まれた事故って、かなり大きな謎だった(ぶっちゃけてしまうと犯人は割とわかっていた)わけですが、今回その伏線を回収するぞって姿勢を見せてくれたわけです。
 しかしまだまだ回収していただきたい伏線っていっぱいあるんですよね。
 

   事故で家族を喪い天涯孤独になった太陽(一人暮らし) ↓ 黒顔による事件性の暴露(黒顔がなぜ知ったか、情報媒体をなぜ持っていたか全て不明) ↓ 故人図書館に記録されたタンポポによる暗殺発覚(なぜか全員死亡となっている) ↓ 両親が九代目披露宴(表向き)に出席していたことが判明(夜桜に関わっていたことが暗殺理由では無いかと仮説が立てられる) ↓ 皮下と接触(朝野家の長男が生きていたことを皮下は噂程度にしか知らなかった) ↓ タンポポの構成員だった男が突然ムショ内を荒らしタンポポの情報を流す(皮下の手筈) ↓ 太陽と辛三潜入、任務はこなすが太陽は瀕死の重傷を負い、当主の血を分けざる得ない状況がうまれる ↓ 太陽にタンポポの情報がリークされる(独断で潜入) ハクジャによって、両親が殺された理由を知る(しかしなぜ暗殺されたのが治験薬をハクジャに勧めてから7年が過ぎた6月6日その日だったかは明かされていない) ↓ リーク情報を元にタンポポ壊滅作戦開始 (ハクジャが葉桜計画をリークしたことを百が秘匿していたことで奇襲成功、百の思惑通りか?どさくさに紛れて零の心臓を確保している)

 ざっくりこんな感じで(おかしい文章は無視してください)、なんとなく意図が分かったり、とか、これはアイツが裏で糸引いていたのかな、とか、わかることもあるんですが、やっぱり言明して貰えないとスッキリしないというか、キャラクター…特に太陽ですね、太陽が真実を知ることがやっぱりお話の主題の一つかなと思うので、太陽にこの辺りの「真実」を知ってもらいたいなという気持ちがありますね。
 


 百の開花能力が「夢」という…、なんか明鏡○水みたいな名前の水を思い出すというか、オールバックを思い出すというか、君は眼鏡を割るんじゃないよというか、まあどうでも良いんですが…。
 洗脳系能力ってどこからが嘘か本当か分かりづらいから、チートだと思うんですけど百は髪色が明確に変化するからわかりやすくていいなあと。
 それで思ったのが、そういえばつぼみが「繋がり」を持つと髪が白くなるなという事で…あれってもしや洗脳…?百がつぼみと同存在ならつぼみの開花能力も「夢」である可能性高いですよねと。
 私はなんなら、洗脳はつぼみの力だと思っていたのでまあ結局のところ、百が自分の力と宣言しただけで同じ話ですね。
 人によって洗脳の深度(二代目と五代目など)に差があるのは、相手の望むものを見せることで洗脳しているから、現世に執着少なそうな(人生楽しむだけ楽しんだような)タイプの五代目は効きが浅かったのかなと。
 百なんかは、家族との理想の生活という大きな「夢」があるから、がっつり洗脳されていそうだな、というのが私の感想です。
 私はいまでもつぼみ黒幕派です。
 道化役の百がどこまで道化を全うするのかを楽しみに読んでいます。
 しかし、今回開花能力「夢」が発覚したことで、とあるキャラの言葉が重くのしかかってきましたね

悪夢のような一族…
いや お前達は悪夢そのものだ
だが その悪夢も俺にとってはいい夢だった
あんたのことは心底嫌いだが
醒めることもできない身の上は同情するよ
先に失礼するぜ

夜桜さんちの大作戦12巻作戦102「新しい桜」

 そのとあるキャラは、太陽にソメイニンを渡し砕け消えた皮下その人ですが、彼も望みが薄い、自身で「妄想」の一言で片付けてしまう夢を叶えるため約70年タンポポで研究をしてきたわけです。
 皮下もつぼみに力を与えられたとき、髪が白くなっており、これを「洗脳状態」と捉えるなら、最後の口振りからして彼は自身で望んで洗脳状態にあったんじゃないかなと。
 皮下はその洗脳状態でなければ自分の理想を信じられなかった。叶えられない夢を見続けられるほど皮下はロマンチストにはなれなかった。
 つぼみの洗脳は、果てない望みを叶えさせようとする、いわゆる地獄の石積みをさせるようなものだったけど、夢に殉じさせてくれたことに皮下は感謝しているんですよね。
 ただ、百はそうはいかない。それは、皮下のように望んで石積みを始めたわけじゃないから。
 百の場合、石積みを最初から素晴らしいものだと植え込まれているから石積みをしていて、でも辛い、やめたい、でもこの素晴らしい行為をやめてはいけない。と苦しんでいるようなものなんでしょうね。
 なんなら、石積みをするために生まれてきたから、石積みを放棄したら生きる意味を失ってしまうと思っているかもわかりません。
 少なくとも、洗脳から逃れる術を百はもっておらず、それは彼の生まれ方、洗脳の深度に比例する「自我の薄さ」にあるんじゃないだろうかなと。
 唯一の自我の拠り所の「家族」に異常に執着してしまうのは空虚故、最近の百の台詞にそんな感じのニュアンスがちょこちょこ挟まれてる気がしてます。



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