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【遊戯王新規カード解説】現役カオス使いがフォトンハイパーノヴァ新規を斬る!!!!!

1. 前置き

 みなさま初めまして。ツボミと申します。
 プレイ歴だけは長い1カジュアルプレイヤーですが、自分が最も長く愛用しているデッキが【カオス】になります。
 カオスソーサラー禁止以前、様々な型の【カオス】が環境の最前線で活躍した時期のことは資料でしか知りませんが、ソーサラー制限復帰直後からずっとカオスを軸に据えたデッキを一軍デッキとして用いてきました。

原点にして頂点

 カオスは明確にカード名でカテゴリ化されたカード群ではない故、光・闇属性や墓地肥やし・除外活用のギミックによる間接的な強化は数あれど直接的にカオスシリーズを企図した強化は滅多にこないという特徴があります。くるとしてもモンスター単体の追加がほとんどで、混沌領域のようなシリーズカード全体のサポートのような強化は非常に稀なカード群なのです。
 そんな中、突如フォトンハイパーノヴァでカオス関連の新規カードが一気に8枚も追加されました。カオスというのは明確にカード名でカテゴリ化されていない故、軸としたデッキの作り手も普通のカテゴリデッキと比べるとだいぶ少なく、自分の周りにも他にカオスデッキの使い手はいません。そのため他の使い手の意見が聞けないのですが、これら新規について自分なりの意見を書いてみたいと思います。ただし予め注意しておくと決して手放しの評価ではありません。
なので今回の新規やカオスが好きな方、これからカオスに触れようかという方は先に4. の使い方解説から読んだほうがいいかもしれません。

2. 評価

結論から申しましょう。
今回の新規はカオスが求めているものからは

甚だ程遠い


と言わざるをえません。
より正確にいうと「汎用性が低い、その割に汎用性を犠牲にした分に見合うリターンが得られていないカードが大半」となります。
カオスの使い手でなくても今回のカードたちを見て「うおおおおおつええええええ」とか「環境もワンチャンあるかあああ?」となった人はおそらく殆どいないでしょう。
一応全てが全て、全く救いようがないというわけではありません。隅々まで見ていけば評価できる点もあります。そこは後で詳述することとして、何がダメなのか、現役のカオス使いの目線から述べさせていただこうかと思います。

3.何がダメなのか

今回の新規に見られる特徴が、「光・闇属性のシンクロモンスターしかエクストラデッキから特殊召喚できない」という制約のつくものが多いことです。
皆さんはこの制約をどう感じたでしょうか?
「カオスなんだから光闇縛りは普通なんじゃないの?」「光闇はプールが豊富だからシンクロ縛りでもまあそれなりに強いのいるんじゃないの?」そう感じたでしょうか? ……実はそうでもないのです。
この縛りの何がカオスにとってダメなのか。確かに属性縛りのみならばカオスのモチーフ上納得はできたかもしれません。しかしそこにシンクロモンスター縛りまで加わると途端に有用な展開先がかなり限られてきてしまいます。今回に関しては特に偶数レベル帯のものが展開先として想定されているのですが、皆さんもニューロンで偶数レベルの光闇シンクロの一覧を検索して見ていってみてください。見ればわかります。絶妙に素材縛りつきとかあと一声スペックに不満の残るカードばかりなのです。
というわけで①そもそも縛りに合致する展開先が微妙
そしてある意味それ以上に致命的なのが②カオスルーラーの除外デメリットを回避するためのエクシーズ召喚ができない。
混沌魔龍カオスルーラーは②の効果により墓地から特殊召喚できますが、その後フィールドから離れると除外されるデメリットがつきます。この手のデメリットはエクシーズ素材にして回避するのがセオリーですが、前述の制約はそのためのエクシーズ召喚を封じてしまうのです。これだけでも今回の新規のデザイナーがカオスのことを微塵も理解していないのが伺えます。

第3に③シンクロ縛りをつけておきながら相性のよいシンクロモンスターは出せない
最も顕著な例でいうと、今回の新規ではレベル2チューナーの要素が追加されているので、開闢やカオスルーラーなどレベル8の多いカオスとレベル10シンクロを行う選択肢が生まれました。
ところでレベル10シンクロモンスターにはカオスのような除外ギミックと相性抜群の相剣大公ー承影が存在します。カオスにとっても出せるなら是非出したいカードといえますが、承影は水属性。前述の制約下では出すことができないのです。


………というわけで、光闇シンクロ縛りというのが如何にカオスにとって重く噛み合っていない制約であるか。これだけでもご理解いただけるかと思います。
別に縛りがキツかろうとも、その分に見合うリターンが得られるのであれば採用意義は生まれます。ただ今回の新規の多くはそこまでのリターンを得られるには至っていません。
そもそもカオスというのはシンクロしかできないようなデッキではありません。墓地に光闇を用意することさえできれば他の制約は一切なく、それ故にエクシーズやリンクといったシンクロ以外の召喚法も含め、縦横無尽の戦略を展開でき、作り手次第で無限の拡張性のあるデッキでした。にもかかわらず光闇シンクロという重い縛りをつけてしまうのがいかに浅はかで愚かであるか……   というのは言い過ぎでも、勿体ないことではあるしその分に見合うリターンを得られるのかという話にはなります。そして従来のカオスの高い拡張性・汎用性に魅せられた身としては今回の新規を手放しで評価することはできませんでした。

閑話休題:なんでこんなことになってしまったのか

今回の新規はイラスト、効果において主にある1枚のカードを元にデザインされています。
そのカードとは

カオス・ゴッデス -混沌の女神-



一部でカルト的な人気があるとも風の噂で聞いていますが、性能面においては率直に申して昔のカード故、召喚難度に対するリターンの見合っていないカードといえます。カオス使いであっても無理してデッキに入れるほどの価値や思い入れがあるカードというわけではないのです。カオス使いや古の決闘者でなくとも開闢やカオスルーラーは知っているでしょうが、カオスゴッデスに関しては「え、誰?」となる方もいるでしょう。
そんなカオス使いにとっても特段重要ではないカードにも関わらず、今回の新規はこのカードに寄せてデザインされてしまい、それ故にいたずらに汎用性が低いカード群となってしまいました。
なんだってそんなところにフィーチャーしてしまったのか……。。。。。怒りすら感じます。

4. 新規の解説と使い方

ここからは各カードについて実際に解説し、また前述のような厳しい縛りの中でいかにして活かしていくか、ということを解説していきたいと思います。

カオス・ビースト -混沌の魔獣-

カードが除外されているターンに打点を上げる①の効果、除外されている光闇を手札に回収できる②の効果、手札・墓地から光・闇1体ずつを除外して自己再生する③の効果を持ちます。③の効果はカオスルーラーと違って墓地へ送られたターンに発動できない代わり除外デメリットもなく、蘇生制限をクリアしていれば③の自己再生から①と②も活かすことができ、しかもそれを毎ターン行えるので非常に強力です。
その分そもそもの正規召喚が非常に難しく、光属性チューナーと闇属性非チューナーでレベル合計を6にしなければなりません。従来カオスでのシンクロギミックはカオスルーラー、すなわち縛りなしの8シンクロさえ行えればよかったのですがそれとは別途のギミックが必須になります。一応出せさえすれば難度に見合うリターンは期待でき、今回度々述べている汎用性とリターンのバランスという点に関してはクリアしています。
明らかにこのカードの召喚サポートを意識した混沌殻と混沌核も登場していますが、これらはこのカードの召喚以外の用途に乏しく汎用性には欠けるので、いかに汎用性・デッキバランスを損なわない手段でこのカードを召喚できるかがデュエリストの腕の見せ所と言えるでしょう。
蘇生制限を満たさず自己再生が封じられるので本来の強みはだいぶ損なわれてしまいますが、後述するカオスデーモンの効果でも直接特殊召喚が可能です。

カオス・デーモン -混沌の魔神-

光属性チューナー+チューナー以外の闇属性というカオスゴッデスの負の遺産を引き継いだかのような素材指定を持ちますが、元々カオスではライトロード・アサシンライデンを筆頭に光属性レベル4チューナーの価値が高く、それに闇属性レベル4を合わせることで対応自体は可能です。そのターン中に除外が行われていれば攻撃力4500での全体攻撃というかなりの大型モンスター並の殺意を比較的少ない消費で実現できるのは評価できる点です。また、相手に除去されてもカオスシンクロモンスターを後続として残すことができます。ただしシンクロ召喚扱いではないのでカオスルーラーとカオスビーストの自己再生が使えず、ルーラーに至っては使える効果がないという有様。何故シンクロ召喚扱いじゃないのか小一時間問い詰める必要がありそうです。

カオス・ウィッチ -混沌の魔女-

今回度々問題視されている「光闇シンクロしかエクストラから出せない」縛りが特に顕著なカードです。効果の発動前にも制約がかかり、おまけに①と②を同一ターンで使うことすらできません。
①は自身をレベル2闇属性のトークン2体に変換するもの。シンクロ縛りがかかる都合、確実にカオスゴッデスの召喚条件を満たすことしか考えられてないような効果です。一応光属性レベル4チューナーとこのカードが並んでいる場合、通常の8シンクロに加えてカオスデーモン、加えてこの効果を使用すればカオスゴッデスとカオスビーストのシンクロ召喚も視野に入ります。とはいえ総じて用途が限定的すぎ、②を同一ターンに使えないのも考慮するとあまり使用は考慮しないほうがいいです。
②は手札・墓地から除外された場合にレベル2チューナーのトークン2体を生成するもの。かなり強力なものの同様に光闇シンクロ縛りを受けるため活用先は限られます。(確かにこれをリンク素材につかえたらとんでもないですがそれにしたって…ねえ……。)
この効果の真価はシラユキやビーステッドを用いて相手ターンに起動させた場合で、自分ターンの行動は一切縛ることなくレベル2チューナー2体を確保できます。この場合は光・闇以外のシンクロはもちろんリンク展開なども可能になります。特にビーステッドは相性が良く、カオスルーラーを経由しつつ自由な属性のレベル10シンクロにつなげる、なんてことも可能になります。
総じて②を相手ターンに起動する運用に特化することで採用価値を見出せるカードといえます。また、後述の混沌殻・混沌核と併用することである強力モンスターの召喚も可能になります。

混沌殻・混沌核

この2体はコラプワイバーのパチモンかのようにペアになっていて、互いをサポートしています。効果は
①自身と逆の属性1体を手札・墓地から除外して特殊召喚。この効果の発動後、光闇のシンクロしかエクストラデッキから出せない。
②特殊召喚時、相方を帰還させる
③フィールドから離れた場合は除外される
というもの。2体で属性が対になっているので相方を除外して特殊召喚しつつ相方を帰還させられ、どちらが手札にあっても両者が場に並ぶようになっています。レベルと縛りの関係で通常この2体を並べて出せるのは光・闇属性のレベル6シンクロとなるのですが、これはかなり有力な候補が限定されており、カオスビースト以外ではインフェルニティヘルデーモンとシンクロチューナーのイモータルドラゴンがギリギリ候補になるかどうかというところです。故に汎用性という面では決して高くはなく、ペアだからといってコラプワイバーのように考えなしに枚数を増やしたほうがいいカードとはいえません。レベルの関係で混沌領域のサーチに対応するのは混沌殻の方だけであり、その点で微妙に揃えづらいのもマイナスです。
ただし、光闇のシンクロしか出せなくなる縛りは①の自身を特殊召喚する効果のみ、かつ発動後にしかかからない点に着目すればこれらの価値も見えてきます。カオスクリエイターなど他のカード効果によって特殊召喚すれば、特に何も縛りを受けることなく両者を並べることができ、シンクロはもちろんリンク素材などに使うこともできます。
またこの両者でカオスビーストを出し、除外されたこれらを回収して再び両者を並べればカオスビースト+混沌核で光・闇属性の8シンクロを行えます。カオスルーラー、カオスデーモンのほか前述の通り自己SS効果の発動前には縛りがかからないので、予めリンク展開を行っておいてヴァレルロードSドラゴンを出すなんてことも可能です。
また、カオスウィッチと併用することで以下の展開が可能です。
条件:手札に混沌殻、手札・墓地に混沌核・カオスウィッチ
・混沌核を除外して混沌殻を特殊召喚、両者を並べてカオスビーストを召喚
・カオスビーストで除外された混沌核を回収、カオスウィッチを除外して特殊召喚。カオスウィッチの効果でレベル2チューナーのトークン2体を生成
・レベル6シンクロモンスターのカオスビーストとレベル2チューナーの混沌核&トークン2体でスカーレッドスーパーノヴァドラゴンをシンクロ召喚

なんと手札消費1枚召喚権なしでスーパーノヴァが立っています。カオスウィッチの制約でターン丸々光闇シンクロ縛りを受けるとはいえ、それを差し引いてもなお一考の価値ある展開といえるでしょう。

メンタル・チューナー

まずイラスト・カード名にカオス要素が全くなく完全に汎用サイキック族のそれであるあたりデザイナーのカオスへの愛のなさが伺えますが(このドヤ顔がまた殴りたくなる)、効果は優秀で墓地リソースを回復しつつレベル2・4を使い分けられます。またサイキックリフレクターや幽鬼うさぎ共々緊テレ対応なのもポイントです。
特に相性の良いカードとしてはビーステッドルベリオンが挙げられ、あちらの効果でビーステッドをサーチしつつルベリオンを除外して特殊召喚。このカードでルベリオンを戻しつつレベル変更し、さらにルベリオンの自己再生も合わせればレベル8・10・12のシンクロを使い分けられます。

カオス・ミラージュ・ドラゴン

今回の新規の中では非常に貴重な手放しで評価できるカードといえます。その効果は
①除外されている光・闇1体を効果無効で帰還させる。発動後光・闇のシンクロしかエクストラから出せない。
②シンクロ素材となった場合、他のシンクロ素材の数まで相手フィールドのカードを除外する
というもの。①により縛りはかかるものの1枚でシンクロ召喚でき、特にカオスデーモンは高い殺意を持つのでこれでそのままリーサルを狙えるような状況などであれば縛りを受けてでも狙う価値があるといえます。また、縛りを嫌って①を使用しないとしても②の効果だけでも優秀です。一例としてこのカードをカオスルーラーの素材にし、こちらの②をチェーン1において確実に除外を通したり、逆にこちらをチェーン2においてルーラーへのうららを回避したりできます。また先にチラッと名前を出した相剣大公承影とも高いシナジーを誇ります。

混沌変幻

除外された光属性チューナーとチューナー以外の闇属性を墓地に戻し、その合計レベルの光・闇属性シンクロモンスターをエクストラデッキから直接召喚します。シンクロ召喚自体ではないので素材指定は無視でき、光・闇属性シンクロモンスターは縛り有りも含めれば強力なものも多いのでそれらを狙いたいところです。ただしエクストラデッキを圧迫しないようにワンチャン正規のシンクロ召喚も視野に入れようとするとなかなか候補の選定は難しくなってきます。またシンクロ召喚扱いではないので蘇生やシンクロ召喚時の効果などは封じられ、特に自己再生持ちのカオスルーラーやカオスビーストなどは用途の制限が顕著になってしまいます。
書いてあること自体は墓地リソースを回復した上に縛りつきのモンスターも出せるので強いのですが罠なので先行初手で引けないと遅いというのと、墓地ではなんの働きもできないという点は考慮する必要があります。カオスにおいては素早く墓地コストを確保するため質より数のランダム墓地肥やしを採用することが基本で、かつその効率を上げるためできれば構築段階からモンスター比率を高めるのが望ましいのですが、墓地効果を持たずカオスの墓地コストにすらならないこのカードは墓地に落ちた場合に何もメリットがなく寧ろ墓地肥やしの効率を下げてしまいます。採用するにあたってはその点は考える必要があるでしょう。

5. おわりに

というわけでフォトンハイパーノヴァの新規カオスについて解説してきました。もちろんこれらの新規に特化した構築の【カオス】を組むのもありでしょうし、そういった特化構築ならば高いポテンシャルを発揮するカード群ではあるとは思います。とはいえ今回の光・闇属性シンクロ軸という路線に適合するだけが【カオス】の全てではないということだけは知ってほしいのです。
過去のカオス関連のカードにも目を向けてみると墓地に光・闇属性を用意するという以外の制約は一切ないカードが多く、古来より光・闇属性は非常にカードプールが豊富で強力なカード・汎用性の高いカード・カオスと相性のいいギミックを持ったカードも多く、それらと合わせることで無限大の拡張性を発揮できるテーマなのです。事実、様々な型の【カオス】が入れ替わり立ち替わり環境のトップに君臨した結果当時のカオスモンスター全てが禁止に上り詰めるまでになり、カオスソーサラーの制限復帰以降もカオスのギミックを取り入れたデッキが環境レベルへも度々様々な形で姿を現しました。
そのような奥深さがあればこそ自分もカオスに魅せられ、長年自身を代表するデッキとして追究し続けてきました。一例として、最近でいえばアルバスの落胤を軸とするデッキも光・闇属性の比率が高めになるデッキであり、直接墓地に送った融合モンスターを除外経由で再利用できるカオスクリエイターは特に高いシナジーを誇ります。また、昨今環境でも存在感を見せるビーステッドは(こちらの墓地を荒らしてくるメタカードでもありますが)まさにカオスそのものの特徴を持ちます。
今回の新規はカオスのほんの入り口にすぎません。皆さんも今回の新規の登場をきっかけに少しでもカオスに興味を持っていただければ幸いです。
同じカオス使いの方がいらっしゃいましたらぜひコメントなどのご意見いただければ幸いです。


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