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人的資本経営は投資家の信頼を得るための戦略:単なる人事改革ではない

はじめに

こんにちは、「データ分析やりたくて人事部に入ったわけじゃないのに」です。
人的資本経営は「単なる人事改革の一環だ」と考えていましたが、私の考えは誤っていたようです。
勉強していくうちに、人的資本経営は「投資家に株を買ってもらうための重要な戦略」だと分かりました。
今回は、その理由についてお話ししたいと思います。

1. 人的資本経営とは?

まず、人的資本経営とは何かについて、イメージを膨らませたいと思います。
人的資本経営は、社員のスキルや知識、経験などの「人的資本」を企業の価値創造の源泉と捉え、それを最大限に活用する経営手法です。
具体的には、社員の育成やモチベーション向上、キャリア開発などを通じて、企業全体のパフォーマンスを高めることを目指しています。

2. 投資家の信頼を得るための戦略

実際、アメリカでは株価に与える影響が、有形資産(モノ)よりも無形資産(ヒト・データ)の方が大きいです。
そのため、アメリカでは日本よりも多くの人的資本の指標の開示が義務付けられており、「人的資本の情報が開示されていないと、どの企業に投資をすべきかの判断ができないですよね?」という考えが強いです。
しかし、日本はそうなっていないです。義務付けられている指標もごくわずかです。
それではグローバルの投資家から日本の企業の株を買ってもらうことは、どんどん難しくなっていくと思います。
企業が人的資本をどのように管理し、活用しているかを明確にすることで、投資家はその企業の成長ポテンシャルを評価しやすくなるため、その具体的な理由を挙げます。

(1) 持続可能な成長を示す

人的資本経営を実施することで、企業は持続可能な成長を目指していることを示すことができます。
例えば、社員のスキルアップやキャリア開発に投資することは、長期的な企業の成長に直結します。
これにより、投資家はその企業が短期的な利益だけでなく、長期的なビジョンを持っていると感じ、信頼感が増します。

(2) 経営の透明性を高める

人的資本経営に関する情報を公開することで、経営の透明性が高まります。
投資家は企業の人的資本の管理状況や育成方針を理解することで、企業の強みや弱みを把握しやすくなります。
透明性が高い企業は、投資家からの信頼を得やすく、株価にも好影響を与えることが期待できます。

(3) 社員のエンゲージメントが企業価値を高める

社員のエンゲージメント(仕事への熱意や愛着)が高まることで、企業全体の生産性やイノベーション力が向上します。
人的資本経営は、社員のエンゲージメントを高める施策を重視しており、結果として企業価値の向上に繋がります。
投資家にとって、エンゲージメントの高い企業は魅力的な投資対象となります。

3. 投資家にアピールするための人的資本経営

アニュアルレポート(統合報告書)などで社外発信できている企業はまだまだ少ないです。
ctrl + F で検索しても、人的資本がヒットしない企業もとても多いです。
日本の企業は、投資家に投資をしてもらう、という意識が海外に比べて低いと感じています。
人的資本経営を効果的にアピールするためには、以下のようなポイントに注力することが重要になります。

(1) 明確なビジョンと戦略の提示

人的資本経営のビジョンや戦略を明確にし、投資家に共有することが大切です。
企業がどのような人的資本を目指しているのか、具体的な計画や施策を提示することで、投資家の理解と共感を得ることができます。

(2) 実績の公開

人的資本経営の成果を定期的に公開し、投資家に実績を示すことも重要です。
例えば、社員のスキルアップやエンゲージメント向上の成果をデータで示すことで、投資家にとっての信頼性が増します。

(3) 長期的な視点の強調

短期的な利益だけでなく、長期的な成長戦略としての人的資本経営を強調することで、投資家に対して企業の持続可能性をアピールできます。
長期的な視点を持つ投資家にとって、人的資本経営は魅力的なポイントとなります。

終わりに

人的資本経営は単なる人事改革に留まらず、投資家の信頼を得るための重要な戦略です。
私も海外の企業のレポートを読み漁っている途中ですが、アメリカと日本では考え方に大きな差があると強く感じます。
アメリアの流れが日本に来て、いざ人的資本の100以上の指標の開示が義務化された場合に、海外の企業と戦える企業がどれだけいるのか、色々と妄想してしまいますね。。。

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