難関大に合格する力 Ⅰ

私は基本的には大学受験、特に難関私立・国公立受験生を中心に教えています。基本的に、指導科目は英語・国語・小論文で、数学は質問があれば随時答えるといったところです。
近年直接の受験指導は個別指導であるため、年によって人数・志望大・文理選択にバラつきがありますが、大学受験生を例にとると
一昨年は①都立大理系(進学)・東京理科大・芝浦工大など、②学芸大文系(進学)・青学・立教など
去年は①筑波大医学部・東京医科大(進学)・帝京、②京大理系(進学)・早稲田・明治、③経済学部中心の早稲田・立教(進学)・明治、④心理志望の同志社・上智・立教→浪人、⑤経済学部中心の慶應・早稲田・青学→浪人
今年は①心理志望の京大・同志社・上智、②上智・青学・明治など
です。

毎年感じていることですが、ここ3年の受験指導の内容を振り返ってみると、難関大に合格する生徒の性格・勉強に対する姿勢とは、自分なりの勉強方法を確立していることだと思います。大手予備校であろうが、個人塾の個別指導であろうが、自分なりの勉強方法を確立している生徒は必ず合格しています。
やはり生徒と先生・講師では、受験に対する知識の量に差があるため、基本的には先生・講師の知識や解き方を一度受け入れる必要があるでしょう。ここで肝要なのは一度受け入れたことを自分の中で反芻したうえで取捨選択することです。大手の塾・予備校、特に上位クラスであれば基本的に誤った知識・解法はほとんど存在しないため、一度受け入れることが重要です。しかし、難関大では教科書、参考書、問題集、さらには過去問を覚えるだけ、ただ何となく解くだけでは合格できず、合格するためにはこれらの教材から本質をつかみ取る必要がありますが、その本質をどのようにつかみ取るかは個々人で異なるため、自分の難関大志望者の授業ではいくつかの考え方や解法自体を提示するだけで後は受験生本人に考えてもらいます。その際によく生徒に伝える言葉は、「よく読め」・「よく考えろ」や「なぜ~」など、生徒自身で考えさせることを目的としています。そこで2~3回の授業を経て、生徒の性格を把握できると、生徒が本文を読んでいるとき、問題を解いているときの思考の流れがわかるようになると、正解にたどり着けないポイントを生徒自身が把握できるようなヒントを与えながら質問を重ねていきます。
「よく読め」とは、5W1Hと数字を意識しながら、単語・一文・段落・文章全体の流れをある程度把握しながら読むことです。ここで、細かい部分までこだわって読むと時間切れとなってしまうため、問題を読んだときに答えの根拠をすぐに探せる程度に読むことがコツです。この感覚は演習することでしか身につかないため、同レベルの過去問や問題集を生徒の資質に応じて量をこなすことが重要です。「よく考える」とは、「単に選択肢を見てどれが正解だろう」と選ぶことではなく、「本文と選択肢を見比べて、それぞれの意味内容をふまえてどこまでが正解といえるかどうか」を考えることです。

さてMARCH水準の大学に合格するために必要な能力の一つを、英語長文の問題を例にとって説明しましょう。
その一つは、「言い換え」についての能力です。MARCHにおいて、正解の選択肢の内容がそのまま本文に記載してある問題は絶対に落としてはならないサービス問題です。合否を分ける問題は、本文の内容を言い換えた選択肢を適切に選ぶ問題です。意味・内容が同じであるため、該当箇所を指摘し、時間を与えて読ませれば、ほとんどの生徒は正解を選ぶことができます。しかし、合格のためには、自分で正解の根拠である本文の該当箇所を探し出し、選択肢同士を比較検討する必要があるため、「よく読む」「よく考える」という能力が合格のために必要となるのです。
これらのことから、ある程度の授業を受講さえすれば理解できない生徒はほとんどおらず、油断してきちんと読まず、自分の頭で考える演習をこなしていない生徒が不合格となってしまいます。一方、塾・予備校側も、講師が生徒のこれらの生徒の性格・性質をふまえないまま、正解の根拠部分のみを訳すだけの授業を実施していると、合格率が上がらない結果となったり、問題集の和訳部分を読めばそれで足りると生徒に思われる結果となったりします。

結論:油断せず、「よく読んで」、「よく考える」

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