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10月8日~10月14日 超法規的措置+三角チョコパイ

首相は、夜中に食べる大好物の三角チョコパイに背徳感を感じながら、超法規的措置を取るかどうか決めようとしていた。

人間が悪魔か天使になり、空の彼方へ消えていくという超常現象が世界中で発生する。日本も例外ではなく、国民は悪魔か天使になって次々といなくなった。そして、人口は減り続け3分の2まで落ち込む。それにより、労働力不足が加速し、多くの工場や企業は休業、最悪の場合は廃業するまでに追い込まれていた。

首相は遂に大きな決断を下す。それが“AI関税の撤廃”だ。

実は人間の働きを越えるAIが世界ではもうすでに完成されていた。だが、それが各所に導入されれば、人々は仕事を奪われ失業者が大量に発生する。そのため政府は各国と裏協定を結び、AI技術の導入には高額な関税がかけられていたのだ。

そして、各業界に最新のAIシステムが導入される。それが見事に功を奏し、労働力不足を解消した。結果として何とか国の経済が回るようになった。

この超常現象に、実は天界地上操作が関係していた。かつて、デフレに悩んでいた天界は地球に人間を導入。そのおかげで、天使と悪魔の仕事が増え、景気は回復した。しかし、人間の数が順調に増えるにつれ、上がり続けた景気は止まらなくなった。急激な神価の上昇により、次に天界はインフレに悩まされることとなる。そこで、神様の首長は天界地上操作のため、人間を天使か悪魔にして、天界に導くことを決断する。強い邪悪な気持ちを持つものは悪魔になり、正直で正義感が強く一点の曇りもない心を持つものは天使とされた。そして、どちらでもない人間は地上に残されたという訳である。

各国の首脳たちにだけ、神様はその真実をテレパシーで伝える。しかし、伝えられたのは日本の首相だけであった。他の各国の首相はトップに立つだけあって、善か悪かの方へ心が振り切られていたのですでに天界へと導かれていたのであった。そんなことは露知らず、秋から冬にかけては三角チョコパイをいくつ食べることができることしか頭にない首相は、累計150個めに手を伸ばすところであった。

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