昔、民社党という政党があった

 高校の時、中学校の校長先生だった方の家に下宿していた。日曜日、朝食を終えて部屋に戻ると、おばさんから「お茶飲まない?」と声がかかる。トントントンと階段を降りて居間に行く。おじさんはまだ寝巻き姿。新聞を読んでいる。ほどなく、NHKの政治討論会が始まる。
 保利茂、石橋政嗣、矢野絢也、佐々木良作、不破哲三の各氏がよく出ていた。今のような、いわゆるミニ政党はなく、中身は充実していたように思う。
 民社党の佐々木良作さんが発言を終えるたびに、おばさんは「この人の言うことが一番いいよね」と感心していた。おじさんも大きくうなずいていた。あるとき、共産党の不破さんが、公明党と民社党がどっちつかずでいることを揶揄したところ、佐々木さんが怒った。
 私どもは真ん中がどうのこうのということを言っているのではない。お互い、意見は違っても歩み寄れる議論をしなければ政治は前に進まない。共産党のように、いつもイエスかノーだけでは、いつまで経っても平行線じゃないか」と。
 この発言に、私は思わず、「そうですよね」と言ったところ、おじさんもおばさんも「そうそう」とうなずいてくれた。
 残念ながら民社党はミニ政党で終わってしまったが、多くの国民は民社党的考えでいたのではないか、と、おじさんとおばさんのことを思い出すたびに、そう感じるのである。

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