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【週刊消費者情報】 ”永遠の化学物質”PFAS(ピーファス)とは何か(Ⅰ)        

『消費者情報』Web版8月配信号の特集はPFAS汚染問題
ちょっと早いですが、8月配信号の予告を複数回に分けていたします。今回取り上げるPFAS(有機フッ素化合物の総称)の汚染問題は、これまでも新聞やテレビなどで取り上げられてきましたから、すでにご存じの方もいらっしゃると思います。
しかし、非常に重たいテーマでありながら、どうも今ひとつ認知度に欠けているような気がしてなりません。そんなこともあるのか、NHKクローズアップ現代では昨年4月に引きつづき、今月12日にも「追跡”PFAS汚染” 汚染源は?健康リスクは?」と題する報道がなされていました。

「大阪・摂津市PFOA汚染問題を考える会」に参加

大阪府摂津市は、日本国内でも突出して高濃度のPFASが検出されている地域なんです。同市にはPFOA製造の世界8大メーカーの一つダイキン工業淀川製作所があり、1960年代後半から2012年まで、大気や河川などへ大量排出を続けてきたことがその原因とされています。
現在、国の暫定目標値は「PFOA・PFOS合計で50ng/ℓ」ですが、摂津市ではその420倍のPFOAが地下水から検出されたことがあったのです。そして今も高濃度で検出されています。

 さて、勉強会の紹介と参りましょう。
「大阪・摂津市PFAS汚染問題を考える会」第1部の学習会(写真上)の講師は京都大学大学院医学研究科准教授の原田浩二さんと、同大学名誉教授の小泉昭夫さんです。原田さんは、2002年から京都大学で小泉教授の調査チームの一員としてPFAS汚染に取り組まれてきた研究者です。この分野で20年以上も調査・研究をされているオーソリティーなんですね。
『消費者情報』Web版8月配信号では、原田さんに寄稿いただく予定です。

この日、原田さんが講演されたテーマは「PFAS血液検査から見えてくる摂津市民の状況」について。PFASの現状と問題点等をふまえながら、昨年9月~12月に実施した1193人を対象にした血液検査から摂津市と他の地域の途中経過について報告されました。
現時点での見解として

・摂津市では以前からPFOAが高濃度で検出されてきた
・血液中PFOA濃度は大阪府内の他の地域、東京多摩地区などより高いことが伺われる
・摂津市以外でも東淀川区などPFOA、西淀川区のPFOSが高い割合が多い
・血中濃度は健康リスクが上昇しうるドイツ環境庁、全米アカデミーの指針値を超える割合が高い
・過去の暴露の影響が続いているのか、現在も暴露が続いているのか、評価が必要

原田浩二准教授レジュメから

PFAS汚染の状況については、引き続き血液検査をはじめ、調査・研究を継続しなければならない、ということです。

最近のニュースで、岡山県吉備中央町の浄水場から高濃度のPFASが検出された問題がありました。全国初の公費による血液検査の実施が示され話題になりました。また、4月11日付の新聞報道によりますと、米環境保護局(EPA)は、PFASについて初めて法的拘束力のある飲み水の基準値を決めたということです。代表的な物質であるPFOSとPFOA、それぞれ1ℓあたり4ナノグラムが、その基準値です。
はて、わが国の暫定目標値はいくつだったでしょうか。そう、PFOAとPFOSを合わせて1ℓあたり50ナノグラムです。一体この違いはなんなのでしょうか。基本的に”予防原則”しないとされている米国でさえ、この基準値なんです……。

つづきの報告は次回投稿とします。
                『消費者情報』Web版編集室 原田修身
           ・『消費者情報』Web版のバックナンバーはこちら
               

【お詫びとお知らせ】
4月10日の投稿におきまして「『孤独・孤立、貧困と消費者被害』シンポジウム(主催:消費者庁 受託者:消費者スマイル基金)」の報告を投稿予定としていましたが、諸般の事情により割愛させていただきました。お詫び申し上げます。
なお、ご関心のある方は、下記URLから主催者公表の開催概要をご覧ください。

「『孤独・孤立、貧困と消費者被害』シンポジウム(主催:消費者庁 受託者:消費者スマイル基金)」               https://www.smile-fund.jp/symposium/pdf/20240324_03.pdf












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