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[1/3]自分のキャリア(職歴)の品質とは

なぜ、職歴をまとめるのか(Why)

現職で成功するためにも、職務経歴を見直そう!

職務経歴書というと、転職の際に書いて提出する書類、というイメージを
ほとんどの方が持たれているとおもいます
実際、だれかが職務経歴をまとめている(書いている)と聞くと、
「あれ、転職するんですか」と思われる方が多いのではないでしょうか

ところが近年、年に1回は職務経歴を見直し、上司と成長計画について話し合うという企業が増えてきました。当初は大企業や外資を中心に、マネージャーや人事部だけが見直してプロジェクト担当や異動を考えるために使っていたのが、本人と一緒に考えるようになったのはなぜでしょう

企業は営利目的で存続していますから、昨今の厳しい経営環境のなかで慈善活動としてやっているとは考えにくいです。わたしたち従業員本人が「主体的に」「(会社に役立つ)結果を」出すことを期待されていると考える方が自然です

1.自主性 ~主役は「わたし(自分)」~

これまで様々な考え方のリーダー・マネージャーと働いてきましたが、20年程の時代の流れを経て、経営やマネジメントの在り方が、従来の「管理型(人を組織に縛るイメージ)」から「目的型(魅力的な仕事を人に配るイメージ)」へと大きな変遷を迎えていることが、リーダーやマネージャーの意識にも徐々に浸透しつつあるように感じます

裏を返せば、あなたにこの仕事をお願いしたい、と言ってもらえるような究極の自己紹介を準備することで、魅力的な仕事を任せてもらえる環境(人間関係)に近づくことができます。変化の激しい時代は、風の強い屋外を歩くようなもので、風任せではあらぬ方向に辿り着きますから、うまく外からの力を活かしたり・障害を避けたりするように、頭と体をつかっていく必要があります

そこで、”モノ”を作ったり”サービス”を提供したりする際の「品質」を管理する手法の出番です。たとえば”モノ”を作る会社の取り引きの流れは、
 供給業者→自社→顧客 ですが、
仕事を任せてもらって成功するときの情報の流れは
 過去の自分(の業績)→任せられた自分→未来の自分(の業績)
です。自分の積み重ねで、目標を達成し、信頼を培っていくことになります

魅力的な仕事に近づくための究極の自己紹介の主役は「わたし(自分)」です。どのような仕事をしたいか、そのために自分は何をしてきたのか、といったストーリーや、背後にあるテーマも、他人からヒントを得ることはあっても、最終的には自分にしか見つけることができません

自分は、どのような仕事(なにを:What)をしたくて、どう実現したいか(どうやる:How)についての考え方と具体的な行動計画は、このあと段階を経てくわしく触れますが、まず最初に、職務経歴をまとめるにあたって、働き手である「わたし(自分)」を主人公とした物語として捉える、という視点をもっていただきたいとおもいます

2.一貫性 ~目標の共有~

「(会社に役立つ)結果を」出すことを期待されている、と書きましたが、結果がどうなるか現時点ではまだ分からないという不確実性には、どのように対処するとよいでしょうか

一見すると、魅力的な仕事を配る側からすれば「この人に任せれば大丈夫」と思える人(や会社)に頼む、のが唯一の正解のようにもおもえます。そうすると、実力と経験がない人には永遠にチャンスが回ってこないはずですよね。しかし実際には、職場やプロジェクトによって最適解が異なります

確実にできると実績が示している人(や会社)に丸投げしてやってもらわない理由には幾つかあり、詳しくは項を改めて深堀りしてきます。ただ、それを一言でまとめてしまえば「会社のニーズに合っているから」部分的に役立ついいものを持っている人に集まってもらい、目標の達成を任せるのです

ここには、「品質」の考え方として、
調達 と 供給
という関係がそのまま使えます
会社の目的(求めるニーズ)に、「わたし(自分)」がピッタリとハマる
では、何が共通するのか(What)
それが明らかになるよう自分でも考えて、上司や人事担当者、(異動や転職が想定される人は)異動先の責任者や面接官、(営業や自営業やサービス業の方は)顧客や取引先の決定権がある人、に伝えていく必要があります

[1/3]なぜ(Why)のまとめと考察

いかがでしょうか、キャリア(職歴)の品質にこだわることで、現職でのコミュニケーションや協力体制、異動や転職が予想される場合の早めの準備として、ご自身のキャリア(職歴)の品質について考えてみる意義が
すこしは伝わりましたでしょうか

じつは、キャリア(職歴)の品質について分かりやすく書いた本が既に出版されているのではないか、類書を検索してみたのですが、
「品質」という考え方の枠組みで説明した一般向け、
とくに働き手(求職者側)に向けてかかれた書籍はみつけられませんでした
(もし、この本がそうだよ!という情報や学術的見識をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください)

キャリアの「品質」という概念が
雇用側のプロフェッショナルだけのノウハウにとどまり、一般の人につたわるほどには育っていない理由は
ノウハウの内部留保(競争原理) + 独自ニーズを横断する利点の欠如
だと思われます

いい人材は奪い合いです、魅力ある会社や部署のポストに就くのも競争です
どのようにいい人を探すか、どうすれば何を伝えればポストを掴めるか
敢えて伝える必要が多くの人にはないのです(【競争原理】)

仮に、すごい実績のある人が伝えようとおもったとしても、何をどうすれば「品質」の高い職歴につながるのか、という筋道は、
(職場の数)×(求職者+就職者の数)だけ存在するため
膨大なバリエーションがあり
それらを横断して、こうすればいいよ!という形に精製するための努力をするよりも、業界や社内でうまく行っている簡単なメソッドを実行するほうが経済的なのです(【横断する利点の欠如】)

そこで私は、無数のバリエーションがある前提で、長年培われてきた
製品やサービスの「品質」を管理する考え方と手法を
20年「品質」の管理とリスク評価をしてきた経験と、
みずから9回転職し、とても魅力的な才能ある人たちと仕事をしてきた経験をもとに
キャリア(職歴)の「品質」について全3回にまとめて、たくさんの方にお読みいただきたいと考えたのです

ここまでお読みいただきましたのは
(1/3)なぜ、職歴をまとめるのか(Why)ですが
次回は、(2/3)なにが、職歴としてまとまるか(What)
最終回は(3/3)どのように、職歴をまとめるか(How)という構成でお届けする予定です

よろしければ、感想やお気づきの点へのコメントをいただけましたら幸甚です(フォローいただけましたら更に感激でございます!)

参考文献

採用する側とカウンセラーの目線で書かれた大全
いま日本の採用で起きていることの旬報
品質管理といえばこの国際基準
わたしのホームグラウンドである医療機器の製造現場からも品質基準を1冊
わたしが主役、と一貫性をもって生きること、が凝縮された1冊
出会いを偶然と捉えず「創発的」と表現するしなやかな働き方と生き方を伝える名著


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