初めて飼った猫

大工だった父親の仕事の都合で、田舎を出て、都会のアパートに住んでいた。 地区には、神社が幾つかあり
定期的にお祭りが開かれ、屋台も出て賑やかしい日がある。その夜に、境内の脇にある背丈くらいの雑木の下で、鳴いていた子猫を拾った。 その子が、私にとって、初めて飼った猫だった。それまでペットを飼いたいとか望んでいたわけでも無かった。賑やかな境内の隅で弱々しく鳴く声を聞いた瞬間、考える間もなく体が、勝手に鳴き声のする木の下に潜って行った。小学生の低学年だったので、拾っていいのか悪いのかなんて、考える間もなく何故か必死だった。一緒に見ていた人や高学年の誰にも奪われないよう両手とお腹で隠す様に抱っこして家まで帰った。 ただ、どうやって飼えることになったか覚えていない。親に怒らたとか記憶も無い。名前は、「ぶち」。後で名前の由来が白黒の斑模様の猫だからと知った。たぶん母が名付けたと思う。

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