「黒猫」

前文-まだ距離を保って尾っぽに付きしたがう

石がしきつめられた道のでこぼこを肉球が拾い集めて歩くのを見ていると、頭の中に霧散した言の葉たちをAも自身の肉厚な手のひらで掴み歩かなければならない気がした。夜十一時のがらんどうな公園で一人、Aは滑稽に踊るようにして他人には見えるはずのない葉っぱを両手たくさんに捕まえてポケットにつめる動作をする。これがなんともおかしい動きであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?