「黒猫」

前文-これがなんともおかしい動きであった。

いずれ猫は、後ろのきちがいじみた人間におののいて駆った。Aは空中に向けられていた意識を再び地に戻し、公園の沿道をぐるぐると回りはじめた猫に連れて走りだした。Aの走力をもってしても一向に追いつけない猫の尾っぽは暗闇に魅惑としてAを牽引し続けたものの、息が切れる寸前にさしかかったAを置いて、終わらない道に延々と毛をふりまいて逃げた。


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