三月二〇日(日)晴のち曇り。桜はまだ芽吹いていない、彼岸の季節である。人々はささいな郷愁的余暇を楽しんで、故人をおもう。同時に、「私」を告げる。エゴとアイの両が満たせる最高の機会こそ墓参りであるまいか。私は愉快であった、彼らが心の内で生活の雑事や思い出を墓碑に語りやまない後ろ姿が

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