アホダラ鏡太郎

超ロマンポルノ作家

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最近の記事

    • 『三十日詩』

      一日目 ≪どうですか? 体調の方は けだるさや不安はありませんか?≫ 「どうしようもないぐらい不安だ・・・」 ≪何が不安ですか? それを私に わかるように説明できますか?≫ 「いや・・・できない」 ≪楽にしてください≫ 「ぁ」 二日目 ≪どうですか? 体調の方は けだるさや不安はありませんか?≫ 「けだるさで身体が構成されているようなんだ 不安が常にある」 ≪けだるさが何を由来に あなたにまとわりついているか 説明できますか?≫ 「いや・・・できない」

      • 『芋虫』

        井戸に落ちれば そこには 底には 芋虫 女に 腕と足と目と耳を 切り捨てられた 関係を 踏み躙られた 哀れな 芋虫

        • 『15の春』

          淫売に 心と身体を奪われて 東京へ誘拐された 15の春 母のへその緒引きちぎられて 快感を知る 15の春 痛みに悶える母は 15年前の春を思い出す 孕んだ 16年前の春を思い出す 姫の初めを失った 17年前の春を思い出す

          『可愛い子には死を』

          孕むなら 殺してしまえ 我が子でも 日本画風に 母親は 暴漢に へその緒もまだ切っていない 我が子が犯されることを酷く嫌がった 扇子が何枚も降り注ぐ へその緒で産まれてまもない 我が子の首に手をかけて殺そうとする

          『可愛い子には死を』

          『直前まで卵だったもんね』

          女子高生が鶏の被り物をギュッと被り 卵を産んでいる さらにその卵が 踊っていたり 料理していたり 死んでいたりする それを私たちが とってつまんでみたり 引き伸ばしてみたり 食べてみたり 考えてみたり している

          『直前まで卵だったもんね』

          『巨大ダコ』

          タコの吸盤に 絡まる あなたの細い腰 助け出そうとした そのとき それは砕かれて 幽霊船の旗となる タコの嘴が 咥える あなたの指輪 取り出そうとした そのとき それは噛み砕かれて 船を守る珊瑚礁となる

          『ナイフ』

          外を歩いているだけで 冷たいナイフの切先が 当てられられているような気持ちになる 全ての人がナイフに見えて 全てのものがナイフに見えて 全ての言葉がナイフに聞こえて 全ての道がナイフに見えて

          『アダムとイブたち』

          タワマンに住む アダムとイヴ ボロアパートに住む アダムとイヴ 立ち並ぶ住宅に住む アダムとイヴ 半額にされた カロリー低めのマヨネーズを買う アダムとイヴ しょーもない漫画を連載する アダムとイヴ

          『アダムとイブたち』

          『猫のジャック』

          猫のジャックには 想い猫がいた さあ今日こそ 彼女との恋が実る時 いつもの 格好で 彼女の家の戸を叩く 「やあ 愛しいきみよ ボクと付き合わないか 必ず幸せにしてみせるさ」 ※オチ 彼女が病気になり 死亡 努力が水の泡となる どれだけ 特技を習得しようが 身なりを整えようが お金を持っていようが 相手のためにやったこと その相手がいなけりゃ それらは 無いも同然 ジャックは ショックで何も食べられず 餓死してしまう

          『猫のジャック』

          『青い歌姫の詩』

          左手の薬指を 火で炙っても 痛くない 面白い 黒い指輪 赤く燃え上がる お父さんと一緒 だけど お父さんに 左手の薬指はない いなくなったお母さんが 切り取って捨ててしまった 今はわたしのお守り 大切な薬指

          『青い歌姫の詩』

          『黒服の紳士』

          「死にたくなったら言ってください」 と黒服の男がわたしに言った おはようの代わりであるなら なんとも重い言葉 朝から巨大なトマホークステーキが 食卓に並べられているような 金と家と好みの女と娯楽が キレイに並べられている 真っ白な閉鎖空間で 目が覚めた どれも手に取れる 温度がある 重みがある

          『黒服の紳士』

          『優生思想の鬼』

          鬼が現れて 腹卒の子供たちを 食い殺し 踏み潰す 石と血肉が混じり合う 三途の川 三途のババアが そんな絶景に失禁する 尿の大洪水 石と血肉が流されて 元の穏やかな 三途の川となる

          『優生思想の鬼』

          『幼女症状』

          盲耳の幼女は 幻覚に悩まされて死んだ 盲目の幼女の 初めて見た景色は 全て嘘だった それらを感じることができた幼女の 初めての景色 音色 は 母と父の交わりだった

          『シット』

          電線にぐるぐる 小鳥の回転 それは何とも軽やか 当たり前 鉄棒の逆上がりさえできない ぼくは ママに殴られる 首のない雀の死体 皆が悲しがる それは何とも言えない 当たり前 ボクが死んでも誰も悲しまない この死体でさえ 悲しまれるというのに

          『夜に呑まれてしまえばよい』

          こんなやつらなんか 夜にしか生きられない 隅っこがお似合いの 蟲どもめが 卑近でどうしようもない話題に 頭を使うのはもったいない それに気付かぬうちは 夜に呑み込まれてしまうだろう

          『夜に呑まれてしまえばよい』