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そりゃ人間だからね

 ひとりがさみしくなることもあるさ。だけど、それが自分の選んだ生き方だからね。パートナーと添い遂げるのも人生の素敵な形だと思うけど、独力で自分自身を輝かせて生きるのもまた人生だと思う。

 まず何よりも、人の群れの中で生きることが、やっぱり私にはつらく感じてしまうんだ。これはどうしようもないこと。できることなら静かなところでのんびりしていたい。
 どうしたら伝わるかな。社会では陽キャの社交が是とされるけど、私にはそのすべてが苦痛なんだ。だけど、独力で生きていくには、社会の中で男に混じって仕事をしなきゃいけない。苦手なことも割り切ってできるようになる必要があった。
 しかし、割り切ったとて、もともと体質的に向いていない上に、得意でもなんでもないことだ。働くということは、どんな職種であれ、他者との交わり、すなわちコミュニケーションが発生する。それ自体が苦痛なんだ。陽キャにはわかるまい。
 陰キャにとって、いや、少なくとも私にとって、男の中に混じって働くということは、理想を捨て、諦めの果てにようやく成立するものであった。
 内面では女性性を持て余しながら、働く以上は己の感情などに振り回されている場合ではなかった。そんなものは切り捨てるべきもののひとつでしかなかった。
 「楽しく働く」なんて、会社という組織に属する以上はありえないことだった。
 私にとっては、妥協と諦めの果てにようやく成り立つ他者との交わりだったが、どうやら世の中の陽キャにとってはそうではないらしい。
 え?仕事ってガマンしてやるものじゃないのけ?
 陽キャは他人と関わることが得意というか、むしろそっちのが居心地よく感じるらしく、だから仕事とはいえど、前提として苦痛と感じるものが少ないわけだ。私のような陰キャと違って。

 陰キャのワイが職場で本当はやりたくないことリスト

・あいさつ
・人との会話
・本音と建前
・おべっか
・先陣を切る

 ハイ。もうおまえは働かない方がきっとしあわせだよ。ひどいこと言うけど、若いうちに男に見染められて飼い慣らされて家庭におさまってしまった方がよほどラクだったと思うど。
 しかしそれでも私は茨の道を選んだわけだ。というか、何をどうやっても苦痛と感じる神経回路しかない以上は、「やりたくないけど、どちらかというとマシ」な方向に進むしかなかった。
 もともと私はものすごく弱かった。ありとあらゆる方面で、他人よりずっと劣っていた。前提条件として、生きることそれ自体が負担であった。
 言葉として自分の気持ちを表現するのが極端に苦手だった。しかし、日々感じるものは、常人よりもたくさんあった。つまりそれだけ、外部の刺激に敏感であった。拾う気がなくても、たくさんの情報が入ってきてしまう。当然、外に出さなければ溜まる一方で、出すには他者に伝えるしかないのだが、言語化が下手すぎて、感じたことの半分が伝えられればいい方であった。

 そういう自分の体質を、自覚したのはごく最近のこと。30過ぎてから芽が出ることってあるのですね。このまま腐るものだとばかり思っておりました。
 どうやらだいぶ特異な体質ではある。しかし、それを生かすも殺すも自分次第である。
 私は今まで自分自身に負けてきた。負け続けてきた。負けっぱなしなのは、ある意味でラクでもあった。「自分は悪くない」の精神は、身を守る上でこれ以上なく都合がよかった。
 だけど、人間の良いも悪いもどうやら主観でしかないようだ。個人の持って生まれた性質が、変わるということも、どうやらなさそうだ。
 であれば、自分だけの能力を活かして生きていく方向にシフトした方が前向きかつ生産的であろう。
 それゆえの、もう陽キャどもには好き勝手させないぞ!事変である。それこそまさに、陰キャの社交。

・ノリ?なんですかそれは?
・ハ?雑談?業務外で口を動かしたくないです。すこし黙ってくれる?
・仕事のできない人間に人権などない
・人と仲良くする前に仕事を覚えろゴミ
・嫌われてナンボ
・何よりも頭を使え
・最適かつ最短ルートで突き進んで定時に上がろうや

 まだたくさんある。べつに陰キャに限った話でもなかろうが、仕事のできない人間に人権はねぇよ?遅かれ早かれ信用をなくすぜ?いくら他人に取り入っても皆いずれわかること。
 私には嫌われるのがコワイという感覚が(仕事では)欠落しているので、相手が間違ってるなということが続けば容赦なく鬼詰めしますし、それでも改善されなければ見限ります。そこに至るまでも早いです。バカは時間をムダにするから大嫌いだ。

 陽キャのみなさんが、じゃらじゃら他人と交わっていたいのに対し、陰キャの私はひとりで楽しく過ごしていたいわけ!住み分けようや、そこは。
 俺にはおまえらの領分を侵す気はないが、おまえらは無神経に俺らの領分を侵すよな。声のデカイ者が勝つなんて、そんな野蛮な文化は廃止だ廃止!

 現職場であるクソ弊社のジジイを筆頭とするみんなたちのことを思うと胸が熱くなるね!もちろんムカついて!まぁせいぜい覚悟しな〜
 というか、やっぱり仕事ができれば陰陽問わずどこでも重宝されるのだから、べつにおまえらと働き続ける必要なんて、私にはないんだな☆
 働いて独力で生き続ける以上は、すこしでもストレスは軽減されて然るべき。あくまで今は、転職にかかるリスクとコストの方がデカイから、黙って(黙ってはいない)クソ弊社にいるだけ。

 明日からもがんばりたくないけどがんばりますか〜

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