卒塔婆に書かれた梵字

 先週梵字に話が及んだことで思い起こしたのが金剛峯寺です。下の写真は以前高野山を訪れたときの一枚です。もともとnoteを始めたのは突如wellnoteのサービスが終了し,いわゆる"wellnote難民"となったのが主な動機の一つだったので,これら歴史写真を今後もせっせとアップしていかなければなりません。

 この壇上伽藍金堂は,空海が金剛峯寺を開いた当時につくられた総本堂で,現在も高野山の重要行事のほとんどがここで行われているとのことです。手前の卒塔婆の上部に梵字がみられ,3本とも同じ内容が書かれています。Bing AI Chatに聞いてみたところ,これら4文字は薬師如来の別名である「阿閦如来」(阿閦はサンスクリット語で「無尽の光明」)を表しています。サンスクリット語は本来,文字を持たない言語でしたが, 紀元前3世紀のアショーカ王の時代になって,サンスクリット語を書くためのブラーフミー文字が開発されました。ブラーフミーとは「ブラフマンが創造した」という意味で,ブラーフミー文字をのちに漢訳したものが梵字となります。
 梵字には秘められた力があると信じられ,真言宗と天台宗を中心とする密教において特別の意味が与えられてきました。基本となる音には,仏や空・風・火・水・地の宇宙五大要素を象徴する意味が込められています。たとえば「あ」は,本源・究極を意味し大日如来を表します。以前真言宗のお寺で法事があったときに聞いたお経はとても奇妙な発音でした。あれはたぶん,サンスクリット語の光明真言というお経だったのではないかと思います。
 インドの詩編「バガヴァッド・ギータ」は古くからの愛読書,というか座右の書の一つですが,ここにも前述のブラフマンはさかんに登場します。原典はサンスクリット語ですが,これまでは日本語訳または英訳で読んでいました。古代文字への興味がわいたので,今後はサンスクリット語と対照させながら読み直してみたいと思います。

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