邪馬台国の使節の名を石棺文字に当ててみる(3)

 次の二人は卑弥呼晩年期の軍使です。
載斯...①の箇所にみられる「井」に棒を刺したような形状には「車」の印象を受けます。「車」には軍事に関わる文字が数多く存在します。「車」の上と右には戈部がみられます。戈部には,戦を始めるときに行われた戈(ほこ)に才(災い)を呪符として付けて清めた儀式を表すという解釈があります。「斯」に当たる箇所のイメージは浮かんできませんでした。

烏越...②の箇所に「烏」らしき形状を感じることはできます。「越」は左から右へ延びるにょうの形状がみられないことから苦しいところですが,③の異体字を当てておきます。石板の中央に位置する人名はこれが初めてで,その左右に称号や弔辞が配置されるのではという意味において期待の高まる候補です。たとえば①の箇所は軍使を表す何らかの称号,右側の④はRIPのような意味合いでしょうか。赤線部分の⑤には,金石文の出だしの常套句「佳」(これ=恭しく申す)の篆文の字形も垣間みられます。④は最も線の密度の高い箇所であり,かねてから異質な,文字とは別の記号か何かではないかという印象を受けています。

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