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夢の中での自他の混合

夢の中では、誰かを追いかけているはずがいつの間にか追いかけられている方になる、というようなことがありますが、これは身体から抜け出した死後の状態を示唆しているように思います。つまり、あなたと私を明確に区別できるのは、しっかりと自分の身体に収まっている限りの話であって、夢の中だけではなく、自分の身体の上に漂っているような病的なケースでも自他の混合はあり得るようです(下記の文献参照)。これは逆に言うと、身体の中に生きる人生の目的とは、死後の状態の先取り、すなわち、「私はあなた、あなたは私の状態」を目指す、ということではないでしょうか。もし、これができれば、死後の人生の目標、すなわち「孤独な私」を達成して再び生まれ変わって来ることが容易になるような気がします。
 ちなみに、下記の文献では、夢で自他の混合が起こる理由を解明?しているので、その一部を抜粋します。
「現実で私は、(1)実在する『F教授がいるのを見ているうちに、F教授になった』と想像した。(2)『F教授になったと想像している』に過ぎないことを私は知っている。(3)私がなっていると想像しているF教授とは独立にF教授は実在することを、私は知っている。ところがF教授が実在するという(3)の確信が、 時間的準現在化と虚構的準現在化の二種の準現在化の協働からなる以上、夢ではこれらの準現在化が共に現在化し知覚となるため、三重の志向作用は一挙に一重化し、かくして私は『F教授になった』。解明終わり。」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaqp/17/1/17_66/_pdf

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