みそと　とな　3

親を待ち　身動きもせず　つば黒目

苗植えて　腰おろす畦　雨近し

屋根超えて　茂れる山法師　花見えじ

水入し　泥田に集う　燕鴉

用水路に　毒々しき　紅卵

水引きて　苗の間に　山映る

耕運機止め　見渡す畠に　燕飛ぶ

鮮やかに　増えし紅卵　用水路

塀に烏　逃げずに鳴く　子がいるか

一匹を　追いて群れ飛ぶ　紋白蝶

アスファルト　干からびたミミズ　蟻も来ず

道迷い　　景色違うと　句も浮かび

狭き影　求めて近寄る　低き壁

用水に　飛び込みたくなる　昼下がり

かぼちゃ花　青きトマトに　色添えて

鈴なりの　琵琶めがけて　飛ぶ鳥よ　

餌やりと　間違い集う　溝の鯉

葉繁すぎ　何か出てきそうな　遊歩道

焼き畑の　焦げした跡より　新芽生え
五月晴れ　一枚羽織る　冷える朝

朝焼けや　霧笛が届く　この地まで

賑やかに　カシワバアジサイ　塀越えて

深酔いで　思い出す顔　紫陽花に

肌寒し　五月晴れ見て　ミルク沸かす

薬指　撫ぜても消えぬ　指輪跡

飛べぬ雛　見守る我ら　親威嚇

ひとつきで　5キロ痩せるが　心地良し

落穂さえ　啄もうとせず　肥ゆる鳥

毎日毎夜　確認するだけの　メッセージ

強風警報が出た日に
【突然の　強風警報出るも　散歩は楽し】　

落ち込むが　風に背押され　やる気出る

強き風　うねる麦穂に　飛ぶ鳥なし

風で落ち　くろがねもちの実　道赤き

土飛ばし　風でシートうね　竜の如し

大風で　倒れし麦に　落ちる鳥

鳩でさえ　前に進めず　地に降りる

強風に　押し戻され　ちさき鳥

風つよし　慌てふためく　飛ぶ雀