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ハムスターを飼い始めた

私は元々、動物を飼うということに対して否定的な立場だ。
と言っても何か反対運動のようなことをしているわけでもないし、ペットを飼っている人に向かってネガティブな考えを伝えたこともない。
ペットの写真を見せてもらえば「可愛いね」と言うし、状況に応じて撫でることだってある(猫アレルギーのため、猫は除く)。

ではなぜ否定的なのかと言うと、そもそも動物は人間が飼育するものではないと思っているから。

だけど実際はよく分からない。
動物によっては古来から人間と友だちのような側面もあっただろうし、生活する上で必要に応じて共存していたこともあるだろう。
さらに食肉のために飼育していることもあるため、一括りにするつもりはない。
もしかしたら動物から見ても、人間と過ごすことが実は良いことなのかもしれないし。

私がその善し悪しを判断できるようなものではない。
ただ、人間の都合で動物の生活をコントロールすることにどうしても手放しで賛同できなくて、動物にはあまり関わらないで生きてきた。

そんな私が、生まれて初めてペットを飼うことになった。
ゴールデンハムスターのクリーム、いわゆる「キンクマ」だ。
性別はオスで、「くまごろう」と名付けた。

くまごろうが初めてケージに入った時


4年ほど前、たまたまSNSで見かけたキンクマの写真に一瞬で沼落ちし、それ以来キンクマの動画漁りに夢中になった。
2〜3ヶ月ほどひたすらYouTubeに上がっているキンクマ動画に癒やされた末、自分でも飼ってみたくなってハムスターの飼育本を買った。

しかし調べれば調べるほど責任感が芽生えてしまい、仕事で国外に頻繁に行く自分には向かない、無責任なことはやめようと思って諦めた。

それから4年の月日が流れた。
3年前から携わり始めた仕事が常軌を逸した忙しさで、身体がボロボロになるまで働き倒した。
そして今年の夏には過重労働とパワハラを理由に適応障害となった。
退職後、すぐに仕事を探すつもりでいたが、母親が自殺未遂をした上に自分にも乳がんが発覚し、働くどころではなくなった。

そんな中、久々にハムスターの動画をYouTubeで漁り始めた。
夢中になって動画を観ている私を見て、夫が「ハムスター飼ってみる?」と提案してきた。
しばらく治療に専念することにした私にとって、おうち生活がもっと充実するのではないかと。

確かに前回諦めた時のように、仕事で自宅を空けるようなことはない。
しかし人間が自分の都合で動物を飼うことは果たして正解なのか。

だけど私は他の人たちが飼っているハムスターの動画を観て、散々楽しませてもらっている。
自分が飼ってないからと言って、自分だけが責任感を持っているつもりになるのは間違っている。
そんな葛藤としばらく闘った。

ハムスターにとって、人間に飼われることは幸せなのか。
そもそも「幸せ」という概念自体は人間特有のものであり、動物が「幸せ」「不幸」などと感じるわけではない。

それでももし我が家にハムスターが来ることになったら、「食料があって安心」「遊び道具が豊富で楽しい」「気温や湿度が快適」「安全でストレスを感じない」「健康で体調がいい」といった感覚で過ごしてほしい。

そんなことを思いながら、ハムスターの飼育本を新たに2冊買い、飼い方の注意点を紹介しているYouTuberの動画を数十本ほど観て勉強を重ねた。
そしてハムスターにとって最適とまでは言わなくとも、なるべく良い環境を少しずつ整え、飼うに至った。

海外製の大きなケージや回し車を購入し、知育に良い遊び道具を揃え、衛生面に気を遣い、安全な床材やペレット(餌)を厳選。
部屋を暗くし、コードやインテリアなど危険なものはすべて排除。
くまごろうの健康管理ノートも作成した。

ハムスターに「この家に来て良かった」なんて感情があるはずもないが、それでもそう思ってもらえることを目標にしながら責任を持って飼いたい。

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