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令和『いろはにほへと』-り-



 「理由」もなく、ただ何かに苛ついたり、腹が立ったりしていた中学高校時代。
 だからと言って不良だったとか、反社会的な少年だったわけではないと思っている。
 あれはいったい、何に腹を立てていたんだろう。
 よく、コンクリートの電柱を思い切り殴っていた。おそらく何度も拳が砕けていた。
 その痛みよりも、怒りの方が大きかったのか。
 その痛みで、生きていることを実感していたのか。
 思春期特有の情緒だと思っていたら、気がついたら大学生におなってもやっていた。よく当時、古い友人からは「お前は舞中でもどこにいても、世の中の全てに喧嘩を売っているみたいな顔つきしてるな」と言われた。当時学食とかでいつものカレーを食べていたら、同じ大学の同じ学年の女の子と目が合ったので笑いかけた。そしたらホッとしたような顔をしながら近づいてきて、「なんかすごく機嫌が悪そうで怖かった。近づけなかった」と言われた。
 僕はそんなに怖い顔はしていません。
 理由な無くとは言っても、実際は何かの理由があるに違いないが、それが何だったのか今だに分からない。

 でも、僕が「絵を描く」ことをかなり真剣に続けた理由は、はっきりとわかっています。
 ちっちゃい頃、バァちゃんやジイちゃんがよーく、「お前は絵を描くのが上手だなぁ。好きなんだぁ。」と、毎回のように褒めてくれてたから。
 人生で一番最初に認められ、褒められたから。しかも大好きなジイちゃんとバアちゃんに褒められたから。親戚よりも家族よりも、誰よりも応援してくれたから。

 好きなことでも嫌いなことでも、なんか理由がある。
 その理由を思い出し、大切にして、そして一歩踏み出せば、自分の世界はいつからでも大きく変わるに違いない。

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