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姓名

自身の名には“子”がつく。
昭和にごくありがちな名前である。

結婚を考えたときに、もし夫の姓にすると仮定して、どんなに好きになっても『小林とは結婚すまい』とずっと思っていた。
ここまで書くと察しのよい方は自身の名前を理解くださったと思う。

昔から“子”のつかない名前、「めぐみ」だとか「ひろみ」とかが羨ましくてたまらなかった。また、「かよ」など、か行の名前は『陽』のイメージがして良いなと感じていた。
自身の名前は、音が抜けるので“幸が薄い”感じの響きなのだ。
王子様とかでなければ、名前を変えることは叶わないだろう。

そして、姓はかなり珍しい。
まともに読まれたことが殆ど無い。同級生は新年度に先生に読み間違えられてムキになって訂正する私の様を楽しんでいたらしい。
そして名前で呼んでくれた友は数少なく、ほぼ姓で呼ばれてきたこともあり、自身はこの特徴のある姓を気に入っている。

なお、自身は次女である。
長女である姉は嫁いで姓を変えている。父は次男で特に姓を残す必要性はない。

一方、夫となった彼は長男。
姉妹は何れも嫁いで姓を変えた。
そして義父はきょうだいが皆女性で、つまり長男。そしてそれなりに珍しい姓。
家系を重んじる家だったならば、まず間違いなく、姓を変えるのは自身であったろう。

しかし、我が家は夫に姓を変えてもらった。

お義姉さんが真の理由を知ったら、さぞガッカリされるだろうので義実家には理由を明かしてない。
その理由は…

『手続きが少ないから』

彼が変更手続きをしたものは以下。

  • 免許証

  • 銀行口座(2行分)

  • 携帯電話名義

以上。
今日びこんなに少ない人居ないのではないか。
自身が変えていたとしたら、支払名義の絡むものだけでざっと15はくだらなかった。
仕事をしながらこの手続きをしなければならない事を想像するとげんなりしてしまう。働きながら婚姻で姓を変えた人は本当に気の毒で仕方がない。そういえば同僚は全ての名義を変えるのに半年以上かかっていたな…。

こんなくだらない理由でこれを許容してくれた夫と、理由は知らないまま現状を受け入れてくれている義実家には感謝しかない。

因みに稼業を継がせるために婿養子を取るところは割とあると聞く。我が家はそれもない。なお、知人には妻の姓になった家族を二組知っている。理由がまたユニークだ。

  1. 妻の姓の方が運勢が良い。

  2. 夫が借金があるので。(※)

※姓を変えてもブラックリストから外れないらしいと最近何かで見た。

で、当の夫はどうかと言えば、全く抵抗はなかったようだ。

しかし、昨年義父が亡くなった時、会葬のしおりを作成するとき、担当の方が、一人息子の姓は当然そのままだろうと書きかけたのを訂正依頼した時は、若干申し訳ない気持ちになった。

さて、我が子は娘だ。

彼女が婚姻しようという時、世の中はどのようになっていて、どういう選択をするのか。
楽しみにしていよう。

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