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伊豆大島探訪〜1日目〜

去年は沖縄に行った。流石に1ヶ月滞在すると金が消し飛ぶし、外食ばかりで体に良くないという教訓から、今年は近場の伊豆大島に来ている。

私が春に離島に行く理由は花粉から逃げるためだ。スギ・ヒノキどちらともダメで今年はヒノキ花粉にもこっ酷くやられた。
伊豆大島に到着すると、空気が澄んでいて花粉をまるで感じなかった。到着地である岡田港は当然ながら海にあるので、潮風が花粉を洗い流してくれていたのだろう。

私は伊豆大島に行くにあたって一切の下調べもしていなかった。なぜならその場で発見と感動をしたいからだ、ネタバレを喰らって漫画を読むよりも、何も知らずに読んだ方が面白いのと全く同じだ。

下調べをしないことで問題も生じた、私は元町港という場所に到着するつもりでいたのだが、岡田港に到着してしまっていた。搭乗したジェット船の切符には大島行きとしか書かれておらず、岡田港か元町港のどちらに泊まるとも書いて無かったのだ。先程調べたところ、どうやら日によって使う港が変わるらしい。
面白い仕組みだ。私は明日帰るのだが、どちらの港が使われるかは重要なことなので元町港で聞いてくることにする。

さて、何をするか何も決めていない私はとりあえず直感で動くことにした。
元町港から北に少し歩くと温泉と公園があることが分かった。とりあえずそこに行ってみることにした。

元町港近く見慣れた富士山も遠くに見え、少し安心する

公園に着くと「元町浜の湯」という温泉のご婦人から声をかけられた
「お兄さん、温泉?」
「あ、ちょっと散策してて…タオルは一応持ってるんですが
水着必要なんですよね?」
「水着は無料で貸し出してるから大丈夫だよ」

と親切に声をかけて頂き、300円という安さで温泉に入ることができた。

雲ひとつ無く、この画像とほぼ同じだったhttps://www.town.oshima.tokyo.jp/soshiki/kankou/hamanoyu.html

すごく良い温泉だった、若者に優しいぬる湯で長く入ることができる。
しかも人がよかった。おじさんが2人で雑談しているのを盗み聞きしていたのだが
他愛も無い話の中に礼節と知性がしっかりあって、2人ともカッコよかった。
思わず「カッコいいジジイだな!」と言いたくなってしまった。
風呂を上がると雑談をしていた1人のおじさんに話しかけられて、温泉の効能の話をした。塩が多い温泉は関節とリウマチに良いらしい。

浜の湯を後にし、伊豆大島にはやることがあまりない事を察した私は三原山に向かうことにした。相当距離があるのでバスで行きたかったのだが10時・11時にしかバスが出ていないという不運。しかし時間はあるので歩くことにした。途中メモリアル公園に立ち寄った。


この施設は土砂災害の慰霊として作られた施設で、平成25年頃だったか?(記憶力不足)に大雨による土砂災害で多くの方が犠牲になったらしい。
私は慰霊碑に手を合わせた。この公園の下には大きな砂防ダムもあり、この地域が過去の災害の教訓を生かして対策を全力でやっているところが見えた。
この公園はもともと集落だったのであろうか、そうなると被害が甚大であっただろう。


水が湧き出ている


ここは山の頂上近く。それで水が出るのだから砂っぽい土壌であることが分かる。
火山なので火山灰が土壌の大半なのだろう。

このような土壌で土砂崩れが起こるのは必然だ。この地域の人達は津波・噴火だけでなく土砂災害にも恐怖を抱いている。現地に行かなくてはこういう苦しみには気付けない。


三原山展望台からの景色

火口に入ることは私の体力では不可能だったが、ここまで近くで見れれば良しとしよう。よく頑張った。
この近くの自販機でコーラを買ったら何故か一緒にジュースまで付いてきた。
お父ちゃんからの差し入れかな?

下山もキツかったが、気合いで乗り切った。往復4時間程度だったか、死ぬかと思った。


ホテルにチェックインしてから食った明日葉ラーメン、すごく不味かった。
しかし不味い料理は旅の栞になる。

飯も済ませてもう一度浜の湯に行くことにした。これで2度目だ、しかしこれでも600円なのだから安い。


本当にちょうどこれだった、宣伝用の画像撮るのに良い日https://www.town.oshima.tokyo.jp/soshiki/kankou/hamanoyu.html

夕方ということもあり、人が多く来ていた。この温泉は混浴で30~40くらいの奥さんも水着を着て入って来ていた。レンタル水着は何故かスクール水着のようなデザインなので、私にはちょっと刺激が強かった。

この時のおっさんの雑談もよかった。農業の話から始まり、物流・経済・観光・水産…全部専門的で知的な会話だった。話の中に大樹を感じた、しっかり根っこが張っている。太い幹があって枝葉がある。そして希望を持ち、次世代への配慮もあった。こういう爺さんがまだ生きていたのか!と感動した。
老人嫌いの私だが、それは好きだった老人達がみんな死んでしまったからだ。
しかし伊豆大島にはしっかりとまだ残っていた。全力で生きて、仕事をして考えて話す老人がしっかりといた。久しぶりに「こういう爺さんになろう」と思えた。

盗み聞きをしながら目頭が熱くなる
涙目でぼやける夕日を眺めながら1日目が終わった。

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