3月27日 この後、仕事でした

今日はお休みでした

先日の夢の話です

現実では、人手不足ゆえに無駄口をきかず懸命に作業するメンバー達がなにやらワイワイと賑やかにしている
あまりの忙しさにドーパミンが噴出しているのか

常にボンヤリのわたしだけは「みんなどうした…」とドライに様子をさぐっている

その時に何故かボスが
「よし!これからみんなで〇〇駅に行こう!〇〇駅には面白い事があるんだ!」
〇〇駅はここからそう遠くはない駅

何を言っているんだ 職場放棄か ドーパミン噴出どころの症状じゃないな
「えっ、作業まだ残ってますけど ていうかなに〇〇駅って」と言うわたしの声をかき消す歓声と共に、皆はそぞろに製造室を出る

待て待て!と後を追うと舞台は一挙に〇〇駅
正確には「〇〇駅」と思ってる駅

電車を降りて、修学旅行並みに盛り上がってる同僚達 離れた場とはいえ同じ都内でなぜそうも盛り上がれるのか
なんて思っているぼんやりわたしを尻目に改札を抜けていく同僚達
追いかけるわたし でもわたしだけ改札を通れない なぜ?チャージが足りない訳でもない
でも何度やっても通れない
そのわたしを押し抜けて通る、ハットをかぶった知らない男性
その男性の後も次々に改札を通る知らない人達
みんな忙しなさそうに 歩いているのか走っているのか
とにかく改札を通れない、わたしの事が邪魔だったのは間違いない

もしかして他の改札なら通れるのかも 
その改札から離れたところでスマホを出して駅のマップを出す
新たな改札を求めて階段を上がる
また降りる
しばらく歩いてまた上がると、そこには半狐を描いていくつもの自動改札機がある
ここなら通れそう…
でもなんだかおかしい 
こんなにいくつもの改札があるのに、そこにいる沢山の人達は改札外に出ようとせずに、ウロウロしている
まあでもひとまず外に出ようと思ったその時に聞こえる「キャー!」という悲鳴
見ればそこには人が倒れている
悲鳴はそれを見た女性のもの
倒れている人は苦しそうに手足をバタつかせていた

どうしよう、駅員さんに知らせなきゃ…と思ったわたしの背後から
「ここはね、病院に繋がってる駅ですから大丈夫
でもね、苦しむ人がたくさんいるんです」
「それは仕方のない事なんです」
と囁く男がいた
ハッと振り向いても誰もいない

それと同時にまた、改札を通り抜ける人々が現れた
もがき苦しむ人に目もくれず
ただ一心不乱に皆、改札を通り、どこかに小走りに向かっていく
その中にさっき改札を出たはずのハットの男性もいた
「なんだ、みんな外に出たんじゃなくて、グルグル回ってるだけなんだ」
ふと腕時計を見れば13時近く
「大変だ!もう休憩時間が終わるから早く戻らないと!」
「いや、その前にここに倒れてる人の事を駅員さんに伝えないと!」

改札を出られないわたしは改札から少し身を乗り出して、そこに見えた駅員さんに声をかける
「そこからは見えないと思いますが、ここに倒れてる人がいます!救急車を!」と言うやいなや、白衣を着た人達がガサっと集まり、倒れていた人を運んだ 一瞬だった
急病人を運ぶようなそれではなく、見てはいけないものを隠すかのように、あの人は運ばれていった

その時
「お客様、ずっと立っていたら疲れるでしょう
こちらへどうぞ」
振り返ると駅員さん
「疲れてませんけど早く帰りたいんです やらなきゃいけない事があるんです 〇〇駅まで最短で帰る電車は…」
「分かりました でも今はとにかくこちらへ」
わたしは導かれるままに駅員室的な部屋へ

入った部屋の前面に細かくビッシリと張られたモニター画面 駅の中に死角はないのだろうというほどの数
わたしが改札を出られなかった時も、階段を上ったり下りたりさせられている時も、全てここで見られていたのだろう

「今から最速で〇〇駅へ行くには何番線に乗れば良いですか?」
出されたパイプ椅子を無視して立ったまま尋ねるわたしに、その駅員は「さあ…」とだけ言って、モニターを見回せる席に座る

なんだこいつと思いながら自分のスマホで検索するも、液晶の真ん中でゲジゲジみたいなのがくるくる回ったきり、何も示さない

「何も出ないでしょう?何も分からないでしょう?そうなんですよ、この駅は
何も分からないままこの駅に来る人達がいて、何もわからないから抜け出せなくて

私達も何も分からないままに、何も分からない人達を見張ってるんです
皆、きっと抜け出せない事に苦しんでいます
でも無理矢理抜け出そうとすると、必ず傷つく事があるんです さっき貴方が助けたあの人もそう
どうにか抜け出そうとして傷ついた
抜け出せない事よりも苦しかったかもしれません

そして誰も助けなかった
貴方以外に

改札をぐるぐる回り続けて、抜け出せない事は辛い事です 
でもそれがルーティンになれば。なってしまうと
いつの間にか心地よさすら感じてしまうのです
抜け出そうとして傷ついた人に
「無理するなよ」と声をかける
「仕方のないことだよ」と
そしてまた自らは回り続けるのです
倒れた人を介抱する事なく
介抱すればその人は、改札を抜け出てしまうかもしれませんから
そして今日倒れていたあの人、あの人もまた、傷ついた事に更に傷つくかもしれません
でもあなたに気づかれた事で何か変わるのかも

時々、貴方のように何かを探そうとする人が来ます 貴方のようにというのは、階段を上ったり下りたりする人の事です。

当駅は地下鉄ですから。
上ったり下りたりが当たり前です。
同じフロアに出口があるという事はほぼ。
ないんです。

私達にできる事は、貴方のような人をここに連れてくる事だけなんです

改札を巡ってる人達は階段を上る事も、下りる事も忘れている

階段を教えてあげて下さい
階段の場所さえ分かれば、改札はたくさんあるんです」

「貴方の乗るべき電車まで案内します」

ノコノコと電車に乗るわたしに駅員さん

「貴方に話してて思いました
『傷つく』と『気付く』って一文字違いで、随分と違うんですね」

〜終〜


先日、仕事の日に見た夢
仕事の前にこんな疲れる話見せるなわたしの中のわたし




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