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ドラマ感想文 阿修羅のごとく

 最近、NHKでデジタルリマスターされたドラマ『阿修羅のごとく』を見ました。自分が生まれる前のテレビドラマにこんなにも圧倒されたのは初めてでした。自分なりの解釈や仮定、予想してたらゾッとします。けどドラマだから面白く見れるんですよね。
……でもやっぱりゾッとします。 

 なんだかこちらが試されているようです。内容を書き起こしたいのですが私の語彙力では正直辛いです。脇役にもしっかり性格、事情、感情が与えられていてそれが現実離れした設定じゃない。…説明が長くなりそうです。
 もしあなたが登場人物の誰かの立場になったとしたら、どういった行動を起こします?そのようなことはほかのドラマを見ていてもチラッと考えたことはあるかもしれません。しかし、このドラマの登場人物としてこれらの状況に立たされた時、誰しも答えが一筋縄では出ないはずです。だって、皆いろいろあるから。いろいろあるから答えは単純じゃない。女性なら誰かしら気持ちわかる登場人物がいる。また、たまにドラマで見かけるドロドロシーンがこのドラマにも出てくるのですが、笑えない。ドロドロを音楽や演出でアピールせずに話の流れだけで伝えているから、ドラマではなくリアルでした。

「暗に示す」のオンパレード

 女性の男性への怒りのぶつけ方の描き方が容赦ありません。「暗に示す」って、次女がその夫に。本妻が夫の浮気相手の長女に。三女がある男性に。末っ子が姉たちに。母親が浮気している夫に。そして向田邦子が視聴者に暗に示しているものが多くて引きます。1個のドラマから6人分のパンチを喰らったかのようです。いかにも説明ですっていうセリフがないのに、また会話やエピソードが自然に流れていくから、あのシーンのあのセリフの点の要素が、終わったころには一本の線で繋がれてました。女心を書かせたら一番という向田邦子のハードルを簡単に超えてきました。放送されたのは1979年(昭和54年)。これが当時の一般的な家庭や女性男性の考え方だったのか?今度母親に聞いてみよう。

あのシーンが忘れられない

 やはり四姉妹が部屋に集うとき、女同士が子供のような仲の良さを見せるも本音を隠す会話が辛辣です。自分は本音を隠したい、なのに母親の本音は聞き出したい。母親に対して育ててくれた感謝ももちろんある。四人それぞれの性格とエゴが絶妙に絡んでおります。それを包括的に表現するものとして文楽は的確過ぎです。簡単に真似できない。

向田邦子すごい

 もし生きていれば90歳くらい。令和の今の女性をどう切り取るだろうか。もう昭和の女性の考え方、仕事、恋愛からは明らかに変化しているはず。向田邦子氏なら、人間として変わらない、変われない部分も見抜いているはず。作家って洞察力エグい人たちでしょ?
令和版「阿修羅のごとく」誰か書いてくんないかな~。


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