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宇宙豆知識~生命が存在できる可能性も?地球に似た惑星とは~

天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。
Tenchijin New Age Blogでは、天地人に所属する学生インターンが、これは面白いと思った宇宙のトピックスを定期的にお届けします。

今回は宇宙豆知識として、近年見つかった「地球に環境が似ている星」について紹介します。

生命が存在できる環境とは?

出典:NASA

「地球以外にも生命が存在する星があるのではないか」と考えたことがある人は多いでしょう。

そもそも生命が存在するには、どのような環境である必要があるのでしょうか。

まず、地球のように水が存在する惑星である必要があります。
生命が生き延びるには、液体の水が必要です。つまり、惑星の表面温度が「水が液体状態で存在できる温度帯」である必要があります。
このように、惑星の表面温度が適切になる恒星(太陽)周辺の領域をハビタブルゾーンといいます。例えば地球は太陽のハビタブルゾーン内を公転している、というわけです。
生命が存在可能な惑星かどうかは、まず中心となる恒星のハビタブルゾーン内であることが必要です。

実は、恒星のハビタブルゾーン内で公転する太陽系外惑星は、既に20以上も発見されています。

地球環境によく似た星が人の手により発見

2020年に、ケプラー1649cという地球によく似た惑星が発見されました。
この惑星は、地球からはくちょう座の方向に約300光年離れた恒星のハビタブルゾーンを公転しています。

出典:NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter

ケプラー1649cは、大きさ温度が非常に地球に近いと言われています。
大きさと温度の両方が地球に近い惑星は、これまで発見されていませんでした。

直径は地球の約1.06倍で、ほぼ同じくらいの大きさです。
また、恒星であるケプラー1649の周りを約19.5日周期で公転しています。
ケプラー1649とケプラー1649cは、地球と太陽に比べると近いです。しかし、ケプラー1649は小さくて暗い恒星である赤色矮星であり、質量が太陽の約1/4程度しかないため、ケプラー1649cが受けるエネルギーはそれほど大きくありません。
実際にはケプラー1649cの大気の状態がまだ不明であるため、地表面温度ははっきりとはわかっていませんが、地球に近いと考えられています。

ケプラー1649cは、テキサス大学オースティン校の研究チームが、2018年に引退したケプラー宇宙望遠鏡のデータを再分析して発見しました。

ケプラー望遠鏡では、トランジット法を用いて惑星を観測していました。まず、惑星が恒星の前を通過すると周期的に明るさが低下することを利用し、周期的な明るさ低下の信号を検知します。次に、その信号が惑星によるものか、それ以外の現象によるものかを自動で分類して判断を行います。

しかし恒星の明るさ変化は紛らわしいものが多く、この自動化システムのアルゴリズムには誤検知が多いことが判明していました。研究チームが人の手で再検査したところ、誤検知されていたデータから、ケプラー1649cが見つかったのです。

5000個以上見つかっている太陽系外惑星の中で、ハビタブルゾーンに入っている惑星は数えられるほどしかありません。それにもかかわらず、望遠鏡の自動化システムではじかれてしまった惑星が、人の手の地道な作業で見つかったというのには驚きです。このような地道な研究があったからこそ、世紀の大発見につながったと感じます。

今後も研究が進み、ケプラー1649cの詳細について明らかになることが楽しみです。

(記事作成:ビジネス開発インターン 龍崎)

参考:
https://www.gizmodo.jp/2020/04/kepler1649c-discovery.html
https://www.seti.org/press-release/dedicated-team-scientists-discover-habitable-zone-earth-size-planet-kepler-data
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11207_kepler1649c
https://www.nasa.gov/image-feature/kepler-1649c-earth-size-habitable-zone-planet-hides-in-plain-sight
https://y-bow.com/habitable-zone/
https://cosmos.isas.jaxa.jp/ja/hell-and-heaven-uvspex-will-test-a-technique-for-differentiating-between-venus-and-earth-like-exoplanets-ja/
https://www.abc-nins.jp/487/
https://sorae.info/astronomy/20200417-1649c.html