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国際的なエネルギー産業の見本市「E-World」に出展 ~展示会参加レポート~

天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。地球観測衛星の広域かつ高分解能なリモートセンシングデータ(気象情報・地形情報等)や農業分野の様々なデータを活用した、土地評価サービス「天地人コンパス」を提供しています。

先月、ドイツで行われたエネルギー産業の展示会「E-world energy & water 2023」に、天地人のCEOとグローバルチームが参加しました。今回の記事では、天地人がE-worldに参加した様子と、E-Worldで得た水道事業と再生可能エネルギーに関する動向についてご紹介します。

また、グローバルチームによるE-Worldについての英語版記事はこちらです。

1. E-worldと天地人による展示の様子

E-Worldはエネルギーと水に関連する産業のヨーロッパを代表する見本市であり、2001年から毎年ドイツのエッセンで開催されています。今年は5月23日~25日の3日間に渡り開催されました。
展示会には、27カ国から合計800以上の事業体が出展し、来場者は70,000人にのぼりました。出展企業の5分の1以上がドイツ以外の国に拠点を置く企業であり、海外企業の大半はEU加盟国です。

天地人は、東京都が主催する東京パビリオンに出展する水・再生可能エネルギー産業向けソリューションを提供する企業8社のうちの1社に選出され、展示を行いました。
展示会には、CEOの櫻庭康人グローバルビジネスチームのAdrien Lemal、浦部雄平が参加し、天地人コンパスに関するプレゼンテーションを行いました。また、ヨーロッパにおけるパートナー候補企業にコンタクトを取ることもできました。

天地人のブースでは、水道業界やエネルギー業界における天地人コンパスの利用にフォーカスした展示を行いました。

水関連では漏水のリスクを可視化するソリューションである「天地人コンパス 宇宙水道局」を展示し、日本に比べて高いヨーロッパでの漏水の改善や日本同様に老朽化しているインフラのメンテナンス効率の向上を提案しました。
エネルギー業界向けには、太陽光、風力発電の適地を探索できるソリューションを展示しました。ヨーロッパでは再生可能エネルギーの開発に高い目標を設定している中、新しい場所を見つけ、許可を得るのがより難しくなっています。天地人のソリューションを使うことで、地域住民とのコンフリクトが少なく、かつ発電効率の良い場所を探し、より多くの発電場所を開発するための支援を提案しました。

再生可能エネルギー、水道管の漏水それぞれの天地人コンパスについての動画はこちらからご覧いただけます。

【漏水リスク評価】

【再生可能エネルギー】

展示会開催中の3日間で、天地人のブースには約300名もの方が来場しました。
CEOの櫻庭は、「多くの事業体の方にむけて天地人コンパスのご紹介を行い、数十件の商談を成立させることができた」と展示会の感触を語りました。

また、E-worldの期間中にドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州の経済産業省、気候変動対策省、エネルギー省に、天地人コンパスを紹介する機会がありました。
そこでは、天地人コンパスによって再生可能エネルギーの社会的規制に関するデータを集約、活用、ナビゲーションすることができることに対し、「再生可能エネルギー業界にとって画期的である」との賞賛の言葉をいただきました。

太陽光発電所や陸上風力発電所は、発電所の建設地決定に対し、地域住民によって様々な理由で反対されることがあります。
それに対して天地人コンパスでは、発電所建設反対の社会的理由を把握し、受け入れ可能性が高い土地をマップ化することを目指しています。

ノルトライン・ヴェストファーレン州経済産業気候変動エネルギー省イノベーション市場担当のBjörn Schubert氏からは、「天地人コンパスは非常に革新的で、気候変動目標を達成するために再生可能エネルギープロジェクトの展開を加速させるのに役立つだろう」とのコメントをいただきました。

2. 水道管漏水問題への注目

ここからは、E-worldでの展示を通して感じたヨーロッパ、特にドイツでの水とエネルギーの課題や可能性についてシェアします。

まずは水道事業についてです。
ドイツの水道は無収水率が5%程度と非常に低いにもかかわらず、天地人コンパスの漏水リスク管理業務システム「宇宙水道局」に多くの方が興味を示していました。

現状、日本やドイツの多くの自治体で水道管が寿命を迎えて漏水リスクが増加し、メンテナンス費用が増加しています。そのため、効率良く低コストで水道管の保守・点検を行う必要があります。このような水道管の老朽化に加え、漏水リスクに関する知識が乏しいことも、水道管の漏水に関する大きな問題点です。

また、自治体や水道事業者、再生可能エネルギー事業者にとってデジタル化の必要性が高まっている一方、なかなか進まないことも重要な課題です。
多くの企業や自治体は、海外の成功事例を参考にDX化に向けてようやく動き出しているところであり、ドイツでは水道管のデータ解析が行われることが増えています。

そのため、宇宙水道局の機能のうち、既存のメンテナンス用ソフトウェアと接続することでリスク分析を精緻化し、配管の部品(バルブやポンプなど)の不具合を評価することができる機能について、水道事業者や自治体から特に関心が集まりました。

3. 再生可能エネルギー用地決定に関する問題

E-Worldの会場では、再生可能エネルギーの生産拡大に対する熱意が溢れていました。
しかし、それを阻むボトルネックに、「地域社会の同意」と「複雑な規制」があります。これらのボトルネックは既に深刻な問題として認識されていますが、今後さらに状況が悪化する可能性があります。
しかし天地人コンパスは、これら二つのボトルネックに対応することができるのです。

まず、風力発電の発電所建設は、太陽光発電に比べて地域社会からの反対が多く、合意形成の難易度が高いという問題です。この問題に対して天地人コンパスでは、社会や経済に関するデータやAIを用いてリスク予測を行い、社会的なトラブルが少ない建設適地を選定することができます。

また、発電所建設の規制問題については、規制は世界各国で設けられていますが、ドイツでは地方分権的な政治システムによって、より問題が複雑化しています。現状では、規制を理解して用地探しや許可取得の手続きを進めるのに時間がかかり、プロジェクトのROI(投資収益率)の大幅な低下につながっています。さらに高金利やインフレといった経済状況のため、プランナーやデベロッパーは用地選定においてCAPEX(資本的支出)を節約する必要があります。
この問題に対しても、天地人コンパスを用いれば、社会データや規制に関するデータを用いて発電所の最適な場所を特定し、コストを節約してROIを最大化することができるのです。

以上のような点から、多くの来場者が天地人の再生可能エネルギーの適地選定に関するソリューションに興味を示していました。

4. まとめ

本記事では、国際的なエネルギー産業の展示会「E-world energy & water 2023」に天地人が出展した様子をご紹介しました。
E-Worldに参加し、天地人のソリューションが課題解決に貢献し、水管理や再生可能エネルギーの可能性を引き出すことができると実感しました。
今後もドイツをはじめ、ヨーロッパで活動を拡大し続けていきます。

(翻訳・作成:ビジネス開発インターン 龍崎)

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