あこがれの常備菜

 同じもの、決められたものを毎日食べるということができない。絶対に飽きてしまう。

 別にグルメではない。食事の回数は人生で限られているのだから妥協したくないと話す人を見て「そのこだわりはすごいなぁ」と感心するものの、自分にはそんな熱意がないことは知っている。
飽きっぽく気まぐれなので、昨日の自分がこれなら毎日だって食べられると思っていても今日の自分はそう思ってくれないのだ。

最近だってスーパーに具だくさんのもずくが
惣菜として売られているのを見かけて「これを毎日食べたら健康にいいんじゃないか?」と三つほど買ってみたものの、二日が限界だった。三日目はもずくスープにアレンジしてみてなんとか食べきったが、しばらくもずくは食べなくてもいいなと反省した。

 何がだめなのだろう。明日の自分のためにつくった料理でも、今日の自分の気分とは合わずに「なんでこんなものを冷蔵庫に入れてるんだ……」と昨日の自分を恨むはめになる。
 自分には常備菜との丁寧な暮らしなんて向いていないのだろうけれど、未だにそれを認められない。
 いつか常備菜と共に歩めるようになることを、いつまでも夢見ている気がする。

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