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呉エイジにはこう聞こえた(6)

『Young Bloods』の1985年版オリジナル・バージョンのMVにおいて、0分32秒ごろ(DaisyMusic公式がYouTubeに上げている版)に挿入される外国人らしい男性と男児のカットはやらせではないか。

(このシリーズは呉エイジとの間で佐野元春の音楽に関して交わされるマニア同士のプライドをかけたやりとりの記録である)

前回のエントリーで味を占めたのか、呉の中のなにかに火がついたのか、1か月という短いインターバルでメッセージが届いた。「呉エイジにはこう見えた」と冒頭にある。いやもう企画意図もなんもあらへんやん、と思いながら読み進めると、「一箇所、どうしても気になるところがある。それは公園で元春を見ているテイの外人さんのショットだ。どうもカメラの質感も明るさも、その他の映像と違って見える」というのである。

さっそくYouTubeで懐かしの『Young Bloods』のMVをあらためて見てみた。たしかにイントロの途中で外国人らしい親子が1カット挿入されるのであるが、食い入るように見ても「カメラの質感」や「明るさ」が「その他の映像と違って見える」というのがよくわからないのである。

呉はその後も「数日間、あたくしのDMが放置プレイなのですが(笑)」と笑っていないトレースをかけてきたうえ、「外国人親子、明らかに別日っぽいし、カメラのレンズも違うっぽいでしょう」とダメ押し。いったい何が彼をここまで駆り立てるのか。

そこまで言われて見てみれば、確かにこの親子の部分の画像がやや解像度が粗い感じはしなくもないが、それはズームしているから仕方ないのではないかとも思え、背景も含めて当職にはそこまでの違和感はなかったのである。少なくとも「明らかに別日っぽい」とまで言いきる呉の確信の根拠を探りあてるには残念ながら至らなかった。

仕事は大変なのであろう、家庭を切り盛りするのにも苦労は多いのであろう、同志よ、それは察する。「何故あのカットを入れたのか、入れない方が良かったのではないか、と長年思っている」というメッセージからは、このシーンに対する違和感が40年にもわたって彼を支えてきたのだろうということも推察される。よかろう、同志よ、ここは「このカットは違和感あるなあ、別日の撮影かもしらんなあ」ということにしておこうではないか。

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