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【DAY.5】前回よりも安定飛行中【白血病】

 先日臍帯血移植を行ったので、サムネイルの自分もその際のスタイルに更新した。当日は実習医さん達が大量に見ている中での移植だったので緊張したが、無事に移植もできたし、移植行為中もアレルギー反応等の緊急事態もなく安定した状態で終えることができた。


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▶臍帯血移植(造血幹細胞移植)の様子

▷造血幹細胞移植の様子

 造血幹細胞移植は臓器の移植と異なり、血液を移植するので、上記のような輸血の形態で移植を行う。そして今回は造血幹細胞移植の中でも最も量の少ない臍帯血移植となった。

臍帯血(特殊な凍結状態)

 上記の写真が凍結中の臍帯血だそうだ。約25ml。これが自分の命を救う可能性を持った血液となる。
 非常に少量だ。名刺を10枚重ねたモノよりも小さかったと思う。ちなみに前回の移植(末梢血から採取した)時には輸血パック1袋分くらいの大きさだった。

 さすがに心配になったので先生に尋ねた。「臍帯血は量が少ないが、その分血中の造血幹細胞の密度が高いので問題ない。」とのこと。大人から採取するには輸血パック1袋程度の血液量が必要なのに、へその緒からはたったこれだけの量でそれと同等の成果を期待できると聞くと、改めて人が産まれるということは凄いことだなと感じた。

注射器内部の赤い液体が凍った臍帯血を溶かしたもの

 これが今回の自分の移植風景となる。いよいよ輸血でなく注射器で注入するレベルのあっさりした見た目になった。ちなみにこれらのような移植に用いる臍帯血や末梢血は特殊な方法で凍らせているらしく、それを溶かした過程で磯場のような匂いが感じられる。自分にしてみれば子どもの頃から嗅ぎ慣れた匂いではあるが、これを無菌室の中で嗅ぐ時は毎回何だか不思議な気分になる。

移植中 どうかTシャツのとおり最高の結果につながってほしい

▶それからの5日間

▷血球推移

 移植は12月4日であったが、それ以前の前処置の段階からすでに白血球はほぼ0の状態まで抑え込まれている。白血球は免疫機能を司る血球のため、輸血等はできないが、ヘモグロビン、血小板はほぼ毎日輸血を受けているため、値が上下している。それでもかなりの低空飛行だ。簡単な切り傷も中々ふさがらないし、極度の貧血のような状態だ。
 それでも生きている。そして幸運なことに、今のところ感染症等の命の危機は回避できている。自分の努力もあるが、主治医や看護師さん達の支援のおかげである。

 それでも段々と、移植による反応や前処置の抗がん剤による副作用が身体に現れ始めている。

▷体調の変化

  • 体  温:37℃後半→36℃後半

  • 粘膜障害:05/10:おしりの痛み、口内、のどの痛み

  • 吐  き  気:00/10:現時点ではなし

  • 食欲不振:02/10:食欲微減、ひと口が小さくなり食事に時間がかかる

  • そ  の  他:03/10:以下に記載

 移植翌日に1度大きく発熱があったが、それも抗生剤等によりある程度落ち着いた。血液培養による感染症検査を行ったが陰性。恐らく腫瘍熱等が考えられるとのこと。

 おしりの痛みは前処置時点ですでに感じていたものが強くなってしまっている。現時点で医療用麻薬で痛みを抑えれば座ったりできるが、時々それでも我慢できないときもある。その時はできるだけおしりに負荷がかからない態勢で痛みの波が去るのを待つしかできない。
 加えて、本来の粘膜障害である下痢も始まりつつある。まだ程度は浅いものの、前回ひどい時には便意がコントロールできなくなるような状態になってしまったので、今回はすでにオムツを履いて粗相を起こす可能性をできるだけ下げる努力をしている。細かくトイレに行けば粗相の可能性を低くできるが、その代わりお尻の痛みが増してしまうので、バランスとりが非常に難しくなってしまっている。

 さらに、口内およびのどにも粘膜障害が発生しつつある。現時点では小さな口内炎や舌先の痛み、飲みこむ際の痛みなどがあるが、食事等が全くできないほどの深刻な状態にまでは至っていない。前回は口内全体で皮がはがれ、食事ができず点滴で栄養を得るしかない状態になったり、のどの中の皮がはがれそれが悪さをすることで突然吐き気に苛まれたり、水分を取る度に激痛で悶えたりしていた。今後はそういった状態まで悪化する可能性も十分に考えられるので、そうならないよう、うがい薬での細かなうがいや口内の衛生環境に気をつけなければならない。
 口を使って食事を行うか否かは、体調の回復速度に大きな差が産まれるそうだ。前回の移植時にも、確かに口でご飯が食べれるようになるまでは本当に回復が遅く感じた。

 移植後は体内の血液とドナーさんの血液が喧嘩を行う。それにより身体にダメージを与えるGVHDや白血病細胞を攻撃してくれるGVL効果などがあるが、このGVHDを抑えるために免疫抑制剤という薬を24時間常に点滴で服用している。喧嘩の仲裁役だ。その薬の体内の濃度の濃淡により様々な障害が発生することがある。
 現時点では、肌の乾燥、末端の赤み、痒み、痛みなどが感じられる。今後喧嘩が本格化していくことで、手足が常に痛み、皮がどんどんはがれていったりなどの痛みが発生する可能性が高い。
 そうなれば日常の生活すら満足に行えなくなる場合がある。前回は手足の痛みでまともに動けなくなり、粗相を助長する結果にもつながってしまった。今回はできればもう少し軽い程度のところで収まってほしい。

▶雑記

 今後の進展が恐ろしくもあるが、幸運?にも自分は1度この地獄を経験したことがある。体調は低調だが安定飛行を続けられている。今後どんな状況になるのかある程度想定ができるので、それに対して予防を行うこともできる。その分だけQOLを維持できる可能性が高まる。色々とキツイ作業も多いが、この地獄を生き抜くために、できることは全部やる。必ず生き残る。

最後までお読みいただき
ありがとうございました!