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2024.07.27 スロバキア人流、夏の過ごし方

夏は何して過ごしますか?

日本にいたら実家に帰る、旅行に行くなどと返答される。
だが、スロバキア人とウクライナ人は違う。
誰に聞いても、山登りと湖で泳ぐとしか回答されない。

長いと1ヶ月も休暇を取る彼ら。
その期間、ずっと山に籠っているのか?と思ってしまう。

だがせっかくスロバキアにいるので、郷に入れば郷に従うしかない。
週末しか休暇のない私は、自宅からバスで30分ほどの湖に向かってみた。

自宅を出て、強い日差しに照らされた。日本とは違い湿気は一切ない。その分太陽を直に感じる。泳ぐにはちょうどよさそうな気候だ。
普段のブラチスラバ市内を走るバスと違い、1時間圏内の遠方まで走る路線バスに乗る。それだけでも遠足気分が高まる。

バス停に着くと、麦わら帽子を被る人や浮き輪と手にしている人が、同じ方向に向かっていた。マップを開かなくても、みんなが私を連れて行ってくれた。
吸い込まれるように、皆がゲートに入っていく。

あ...入場料必要なんだ...。
湖で勝手に人々が遊泳していると想像していたので、驚きを隠せなかった。
4ユーロ払い、再び流れについていく。

中に入ると、湖と池の中間と呼ぶのが適切な大きさの水辺が広がっていた。
さらに、想像の10倍人がいた。
畔の芝部分には、水着を来た人々が所狭しと寝そべっていた。
どこか人が少ないところ...と奥の方まで向かってみたが、なかなか場所がない。仕方がないので、木陰でかろうじて1人分確保できる場所に陣を取った。

レジャーシートはないので、昔マレーシアで購入した赤いスカーフを敷く。
すぐさま服を脱ぎ捨て、水着になって水辺へと近づく。
丸みを帯びたゴツゴツした石もあったが、痛くはない。ふと、水を見ると意外と濁っている。琵琶湖よりよほど汚く、水底が見えない。
しかし、ここまで来たら入らない選択肢はない。これまで、黒海、死海、ガンジス川に加え、ブルガリアでは地元民しか知らないピンクの池とその横の天然泥パックを経験してきた私に、怖いものはない。

(ブルガリア)天然塩湖。去年の夏に遊泳。
(ブルガリア)上写真の横にある天然泥パック場。若干臭いけど、私も塗りたくった。

水の冷たさを感じたのも一瞬。徐々に慣らしながら肩まで浸かった。
浮き輪で遊ぶ子どもたち。
密着しキスしているカップル。
がっつり泳ぐ男性。
皆それぞれの楽しみ方をしていた。

私は入ったがいいが、やることがない。
さすがに顔をつけて泳ぐのには抵抗がある。
だが浮き輪もなければ、会話をする相手もいない。

加えて、見事なまでに「白人」しかいない。
スロバキア生活の中で慣れつつあるが、「なんでアジア人女性が1人で泳いでいるんだ」というなんとも言えない視線を感じる。結局この日は4時間ぐらい滞在したが、私が見かけたのはインド人1組、アフリカ系家族1組だけだった。

人間観察や犬掻きをして遊び、10分程度で陸に戻った。
スカーフにバスタオルを引き、濡れた身体のまま横になる。
カバンからKindleを出し、私に物書きを教えてくれている同僚ジャーナリストが執筆した本を読み進めた。

木陰にいると風が頬を撫で、暑さを微塵も感じない。快適なヨーロッパの夏。
右に左に寝返りを打ちながら、軽く2時間程度本を読んでいた。
お腹が空いたわけではない。だが、気分転換がてら、人々が食べているパンらしきものを私も調達してみた。日本では1日に3軒以上パン屋を巡る「パン活」をする私としては、興味が湧く。

Lógas。
塩気のある揚げパンに、店員さんおすすめのガーリックマヨとチーズトッピングした。
なんともカロリーモンスター。
途中で脂っぽさに胸焼けを想像したが、ペロリと完食した。
カプサニッツァ(キャベツのスープ)と互角の戦いを見せる、スロバキア屈指の美味しさだった。

日が長く、18時を過ぎても明るい。
あまりの心地よさに、いつまでもいれると感じながら帰宅支度をした。

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