純文学のような美しいカタルシスに心打たれる~亜樹の心の動きを感じるシーズン~【バチェロレッテ3考察】

今年も、一つの物語に終止符が打たれました。
正直ファイナルローズを観た時点では
「私の櫛田考察外れたやんけ~」
という感じでしたが、

アフターローズまで観た今では、
この旅はどうしても亜樹と櫛田さんの物語だったような気がしてなりません。

ということで今回は、ファイナルローズ~アフターローズの亜樹さんの心の動きについて、私なりに解釈していこうと思います。
もちろん私が勝手にしている拡大解釈で実際の亜樹さんの考えとは異なる可能性も有るので、そこは予めご了承ください。


ファイナルローズに至るまでの亜樹さんの気持ち

私は途中まで今回のファイナルローズは櫛田さんだと信じて疑いませんでしたが、
櫛田さんのデートが終わった後の表情と坂口さんのデートの安心感、
そしてファイナルローズを渡す前の亜樹さんの櫛田さんと向き合う表情を見て、
あ、これは坂口さんじゃないとおかしいなと思いました。
それくらい、亜樹さんの気持ちが如実に表れた回だったかなと思います。

ファイナルローズの直前までは、亜樹さんはファイナルローズの時点で友達でも、その先の未来が見えればいいと繰り返し話していました。
一方で、最終デートの時点では、亜樹さんは櫛田さんのそれを受け入れることはしませんでした。
その心の不安定さに気付かなかったのか、気付いていたがどうすべきかわからなかったのか、真意はわかりませんが、
櫛田さんはそれでも亜樹さんの前で今まで通りの言葉を繰り返すのみでした。
デートが終わった時点での亜樹さんの表情は、ここですれ違いが起きるなら帰ってからももう難しいだろうという確信と、櫛田さんとの別れをが迫っていることに気付いたことへの悲しみを表していたように思います。

櫛田さんは亜樹さんにとって、どこまでも"気になる存在"だったように思います。
自分がよく知っているタイプの人間のように思えて、
自分に持っていないものを色々持っているし、
自分がこの旅で大切にしている考えに真摯に共感してくれる。
たまに驚くくらい自分が思っていたことと合致するとお互い思える存在でもあり、
その全てが亜樹さんにとって今まで出会った男性にはない特別なことで、
亜樹さんがこの人になら弱みをみせていいと思えた人も櫛田さんでした。

しかし、旅も終盤に来て冷静に考えれば、
例えば櫛田さんの"おはぎ"の例えを笑って返すことができなかったりと、
どこかコミュニケーションがかみ合っていない部分も多い。
恋愛についても、櫛田さんがずっとこのテンポなのであれば、亜樹さんがずっと頑張り続けなければいけない。
その事実に向き合わざるを得なかったのだと思います。
だからこそ、ファイナルローズの時点で友達でもいい、よりもっと発展した言葉が欲しかった。
しかし、その不安を払拭するほどの櫛田さんからの言葉ももらうことはできませんでした。

坂口さんとの最終デートも、坂口さんに過去の自分の恋愛と今の坂口さんとの関係性の整合性について話しながら、
「だから櫛田さんはやっぱり無理だよね」
と自分を納得させたかったようにも思えます。

でも、本当は、本当は、この人のことをもっと理解できるような私だったら。
この人と互いに軽口をたたき合えて、対等に弱みを言い合い支え合えるような関係性を築けられるのが私だったら。
この人の心を解いて「好き」と言わせれるのが私だったら。

そんな、どこか心残りのあるが、でも亜樹さんの中でそれ以外もう選択肢がなかった、
そういうファイナルローズだったんじゃないかなと思います。

アフターローズの切なさの理由

無事坂口さんにファイナルローズを渡し、バチェロレッテとしての役目を終えることができた亜樹。
しかし、坂口さんとは結局と言うかやはりと言うか、別れることになってしまいました。
そして迎えたアフターローズ。
私個人の色眼鏡も入っているかもしれませんが、アフターローズで一番亜樹さんの表情が切なく動いたのは、やはり櫛田さんの言葉を聞いているときだったように思います。

櫛田さんはあのとき「未練はありません」と言い切りました。
あれは櫛田さんの心が亜樹に無いことを決定づける言葉のようにも見えますが、
一方で、櫛田さんを選ばなかった決断について「後悔は一切ない」と最初に言い切ったのは亜樹なのです。
だからこそ、その後櫛田さんは「"じゃああん時俺選んどけよ"みたいな気持ちは全く無い」と言った、ここには、自分が亜樹さんの決断に泥を塗るわけにはいかないという櫛田さんなりの思いやりが表れているのです。
あの場で櫛田さんから亜樹さんへの気持ちがどれくらいあったかはわかりません。本当に全く無かった可能性だってあります。
ただ、仮に気持ちがまだ少し残っていたとしても、それを櫛田さんに出すことは、とてもじゃないけどできなかったわけです。
しかし、だからこそ、亜樹さんと櫛田さんの関係性が二度と発展しないことを決定づける一打になってしまいました。

櫛田さんは、亜樹さんにとって一番自分から歩み寄りアクションを起こした相手でもありました。そして、旅の中で自分の気持ちをぶつけ、櫛田さんも自分に素直な言葉を紡いでくれる、そんな関係性になれた、はずでした。
でも、アフターローズの櫛田さんの表情は、旅のときに亜樹さんに見せてくれていたようなものではなく、何を考えているのかが非常に読み取りづらく感じました。
亜樹さんは、櫛田さんの心の中にある感情は軽い一言で終わらせれるようなものではなく、映像向きでない長尺なもので、じっくりと引き出さないと出てこないような言葉なのだと知っていたはずです。
だからこそ、櫛田さんが何を考えているのか、そして私は何を考えているか、じっくりと対話をすることでコミュニケーションを取っていて、
またそれが、亜樹さんにとって楽しく様々な発見もある時間でもありました。
しかし旅が終わって、櫛田さんが自分とそのような時間を作る理由はもうなくなってしまいました。
軽いコミュニケーション程度は今後もできるとしても、あの旅のように、心を開いて、長尺でとりとめもない、でも哲学じみた深い会話を楽しむ関係性ではなくなってしまった。
私は私のことを想って私との話に付き合ってくれる"櫛田さん"を失ったのだ、その現実を一番つきつけられたのがアフターローズのあの瞬間だったのかなと思います。

もしあのとき櫛田さんを選んでいたら、
櫛田さんとも結局はお別れをしていたかもしれないけれど、
でも櫛田さんとこのような形で距離が生まれるよりかは後悔は無かったかもしれないのに、
という気持ちは正直拭えません。
でも、それでもあのファイナルローズで櫛田さんを選ばなかったことは間違いではなかったと、あれがベストな選択であったと、亜樹はこれからも言い続けることでしょう。
それが亜樹にとってのバチェロレッテとしての矜持なのだから。
あ~切ないよぉーーーー!!!!(※何度でも言うが私の勝手な拡大解釈の可能性があります)

今まで"予定調和"じみた演出とは全く違う、情緒溢れるアフターローズ

正直、これまでのアフターローズは茶番みのほうが強いというか、
あの超シリアスなアフターローズだったバチェラー3でさえ、修羅場の3人がMCとかわす言葉は、どこか事前打ち合わせで決められた言葉の繰り返しのように感じました。

スタジオトークって旅の最中と違って、MCがいて、出演者たちのひな壇があって、バリバリのバラエティのセットで行われますよね。
なので、旅の最中と違い、登場人物たちもペルソナを被った普段の日常のペースに戻って会話を繰り広げます。
そのため、いつもだったら、
出演者のぶっちゃけトークと言いつつどこか聞きたい本音は聞けないし、
感動も"演出"感が強いし、
まあでもおまけ要素だからそんなもんか、くらいにしか思えないのです。
それが、今回のアフターローズは、そういうセットが逆にどこまでが櫛田さんの本心なのか読み解きづらくしていて、
だからこそ奇しくも純文学のような、心の隙間を読み取りたいような余韻を残した回になったのかなと思います。

また、今回のアフターローズは、他の男性メンバーの温かい気遣いがとても心に沁みました。
ここまで来て、亜樹さんがインタビューなどで何度も"素晴らしい男性陣"と言っていた理由がわかって、
普段はアフターローズの男性陣って、旅の最中はあんなに熱心にバチェロレッテのことを追い続けてくれたのに、アフターローズだと急激に温度が冷めていて、
なんか、あの番組中に見えていた絆のようなものは幻想だったのだなと、現実を突きつけられる側面もあるんですよね。
でも今回の男性陣は、番組内と現実に戻ってからのギャップが少なかったなと感じています。
それができたのは、素直な自分を見せてくれと伝え続けた亜樹さんの人柄はもちろんのこと、
それに応えて番組という垣根を越えて亜樹さんとの対話をしてくれた、素敵な男性陣のお陰なんですよね。
いつもはどこか冷たく感じるアフターローズでしたが、
今回は男性陣を見てホッとするアフターローズだったというか。
俺たちのバチェロレッテであり、バチェロレッテが辛いときは手を伸ばしてくれる、
その心意気を胸に持ったまま武井亜樹と対峙し続けてくれた、素敵な男性陣だったなと思います。
やべ、最後思い出したら涙出てきた……。

総括

今回のバチェロレッテは、決してわかりやすい盛り上がりがあったわけでも、ハッピーなエンディングを迎えたわけでもありません。
だからこそ、それなりに真剣に番組を見て、登場人物の心の動きを感じ取れるタイプの人じゃないと、亜樹さんがInstagramで言っている"この旅の美しさ"は理解しづらいのではないかなと思います。

もちろん、終わった直後は私もめちゃくちゃモヤモヤしてたし辛過ぎワロタ状態になっていましたが、
一日経った今は、どこか良質な純文学を読み終わったあとのような、
またいつかこの切なさを思い返す日がくるのかなと思えるような、
そんなカタルシスを感じています。

さて、ここまではすべて私の勝手な解釈なわけですが、
純文学の登場人物の心の解釈に答えが無いように、
この物語の登場人物の本心についても永遠に答えが出ないまま、このシーズンは終わるのではないかなと思います。
私はそのほうが亜樹さんらしいし、櫛田さんらしいし、坂口さんらしい。
あのとき本当は何を考えていたんだろう。
どうしたらよかったんだろう。
その答えは出ないけれど、いつかわかる日も来るかもしれない。
そう思って心の大事な小箱に閉まっておくような、
そんな旅だったのかなと思います。

まあ、
「皆さんの解釈全然違いますけどー!私たち本当はこう思ってたんですけどー!!!」
みたいな亜樹さんたちからの声明的なのが出たらそのときはもうそれを飲みこみます!これはフィクションじゃなくてリアルの人の物語なわけだからね!!

では!

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