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高校で官能小説を無くした

忘れもしない、中学2年生の冬。私はBOOKOFFで1冊の本を買った。「トリオリズム」という本だが、私は著者である叶恭子さんの大ファンであったため、中身を見ずに購入した。

積読症な私はその本を長らく放置し、1年後にページをめくると、それは官能小説だったのだ。というか、官能エッセイ的な。性に疎かった当時の私は一気に叶恭子の特別な性体験のとりこになってしまった。

エッセイのひとコマを紹介すると、叶恭子が付き合っていた男性(顔はあまりよくない)に、”マネートゥリー”という100ドル札のブロックでできたツリーをプレゼントされた。当時彼女はその男性のことをあまり好きではなかったが、大金をプレゼントされたことで彼の愛の大きさを感じ、泣きながらセックスしてしまった。というような内容だった。

衝撃だった。私は何度も何度も”トリオリズム”を読み返した。

他にも、目隠しされ多数の女性にフェザータッチされる体験や、仮面舞踏会での情事などがつらつらと書かれていた。

”トリオリズム”が私のバイブルになってから時を経て、高校3年生になった私は当時仲の良かった3人にその本の存在を明かした。すると”トリオリズム”のすばらしさは瞬く間に広まり、水面下で本の貸し借りが行われた。

そして、その本は消えてしまった_______________。

学校の落とし物リストを毎日見に行っても、家中探してもどこにもなかった。トリオリズムは私から去ってしまった。

私を特別な性体験にいざなってくれたバイブ。あ、間違った、バイブル。私はあれ以来、トリオリズムが消失した現場である母校に向かって、毎日3回祈りを捧げていることは言うまでもない。

叶恭子さんには感謝を込めて、いつかご挨拶に行きたい。聖地巡礼的な感じで。

追記:”トリオリズム”とはフランス語で「3P」という意味だった。



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