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東京ラブストーリー1991,2020をみて思ったこと かわる東京とべたな表現

東京とラブストーリーと

アマプラで2本の東京ラブストーリーを見た。

ざっくりと感想を述べると、時代の勢いを感じさせる中での別れと、それがなくなった中での別れを見せられ、時代の変化を感じた。

東京ラブストーリーは千葉ラブストーリーでも横浜ラブストーリーでもなく東京ラブストーリーである。

それは東京という街でおこる恋愛劇。そこでは東京が表現され、ドラマの登場人物はそこに生きる人々を類型化した存在である。

まず東京である。1991年と2020年は約30年の差があって、東京は変わった。私も1999年に上京してから約20年、東京に住み、また働いてきた。2000年代前半、私がわりと惚けていた頃、西麻布や六本木のクラブには30代や40代のかっこいい大人がいた。この人達は80〜90年代の勢いのある東京で遊んだ人たちで、とても面白い人たちだった。バブルの時代の面白さを語っていた人もいた。その人たちからも、やはり東京(特にナイトシーンだけど)の変化を聞くことがあった。ある意味で、どんどん変わり続けるのが東京の魅力で、子供から大人まで全世代が遊べる環境がある。そんな変化が二つの東京ラブストーリーにもあるはずだろう。

あらすじ・登場人物

さて東京ラブストーリーは4人+1人の物語である。ざっくり5人を紹介しよう。

カンチ 主人公 ちょっと古風な考え
リカ  カンチの恋人 自由と愛に生きる人
ミカミ カンチの親友 モテるし手が早い 医大生
セキグチ カンチとミカミの友達で憧れ 慎重
ナオコ ミカミと同じ大学の医大生 お嬢様

この5人が繰り広げる恋愛劇が東京ラブストーリーである。流れとしては、カンチとミカミとセキグチは愛媛出身で、昔からの友達。セキグチは慎重(ある意味、優柔不断)で、なんというか自由に恋愛できないタイプの人だけど、二人の憧れである。

カンチは愛媛で仕事をしていたが、東京に転職(異動)があり、ミカミとセキグチと再会。セキグチといい感じになったが、なんとなくタイミングが悪く、またリカに惹かれ、付き合うことに。一方でセキグチはミカミと付き合うことになる。カンチはリカの自由さ前向きさに惹かれるも、ミカミとうまくいかないセキグチに優しくし、リカとの関係が悪くなる。ミカミとセキグチは破綻し、またもセキグチを助けてしまいリカとすれ違う。

結局、リカとカンチも破綻して、カンチはセキグチと付き合い、結婚。一方、ミカミは婚約者がいるナオコを一生懸命に口説いて、駆け落ちのよう(1991は成田離婚、2020は結婚式の略奪愛)に結ばれる。その後、カンチは偶然リカと再会(最終回だけど1991と2020は割と異なる描き方をする)。リカは良い恋をしたという感じで、終わる。

所感

お話としては田舎から出てきた人間が東京で恋をして、その感覚に戸惑い、そこで成長して生きていくというお話。若干、展開が急な気がするけど、1991年はそういう展開でも良いような、雑さというか勢いがあったのかなぁと感じる。

2020は、個人的には田舎と都会の対比がうまく行っていない気がする。東京ラブストーリーは、繰り返しだけど、「東京」ラブストーリーで、そこには見えない田舎とその価値観に対比される東京がある。2020ではカンチがはっきりと「リカ=東京」というようなことを述べてるけど、より多様化したと東京で、そう受け止めるのは、話の筋としてはわかるけど、実際に即していない感じがある。

この物語は恋愛の苦しみと、人を好きになることの大切さを示すけど、結局、東京という価値観、自由な恋愛(リカは真面目で一途で自由)に適応できない人間がいる(カンチです)という帰結になっている。ラストに絡めていうと、そういう価値観の人間がそれでも1人で前向きに生きていけるのが1991の世界。2020は子供という要素がそこに必要だった(2020のリカはシングルマザーになる)。ここは30年の差なのかと思ったりもする。

1991のリカが30年後の2020に50代となってどうなっているのか、2020のリカを見てどう思うかを妄想するのも楽しいかもしれない。それはいまの50代が20代をどう見ているかに思いを巡らせることなのだろう。

最後に、2020のミカミがナオコを連れ去るシーンが、いわゆるべたで、これが逆に新鮮なのかと思った。べたというのは、教会の結婚式で、愛を誓うその時に、ちょっと待ったーというあれ、そしてウエディングドレスで駆け抜けるあれです。おっさんになるとべたはべただけど、一周回って若い人には新鮮なのかと思いました。

以上。

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