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Redemption Reapers バトル面感想

とりあえず一週目クリアしたのでバトル面のみの感想です。

【手触りとしての感想】


質 実 剛 健

この一言に尽きます。SLGとして大変に手堅い。

前作ENDERLILIESでもそうだったのですが、BINARY HAZE INTERACTIVEの作品はインディーゲームらしく地味で小さくまとまってはいるものの、難易度がやや高めに感じながらも小気味よくクリアできる絶妙なバランスに整えられています。
また、共通する要素としてプレイヤーキャラクターが最初から強め。

主人公サラが早期習得する反撃絶対回避スキル
パッシブスキルの追加攻撃は反撃回避後に発生するのでこれでダメージを稼ぐ
初MAPから加入しているグレンが早期習得するノックバックスキル
後退した先に追撃できる仲間がいるなら追撃してくれるし反撃無効にも使える
槍使いルグが早期習得するガードスキル
主に釣り戦術する時のダメージ軽減スキルだが
本作はやっつけ負けが起きるほど敵が柔らかくもなく多くもないバランスなので
回数制限が少なくても問題なく役立つ
いわゆるアーマーナイトタイプのウルスが早期習得するスキル
ガード状態のままパワフルな反撃をかますシンプルな攻防一体の技
非常に攻撃力の高い敵の攻撃も上述したアイアンウォールと併用すると十分受けられる

ENDERLILIESのリリィちゃんも、最初から無敵時間長めのステップ使えますし、チュートリアル面クリアしたらもう二段ジャンプできますし、片手懸垂であっさり高所も登れちゃうという、メトロイドヴァニア作品の中では見た目の割に超強キャラと言われていますからね……。

BINARY HAZE INTERACTIVEの作品は概ね、難易度は高めでもそれ以上にプレイヤーキャラクターが強いので「俺UMEEEE!!!」感を与える調整にしているとこの作品で感じました。
個人的に東方でも妖々夢とか虹龍洞とかこの手の方向性で調整しているヤツは好きです。

ちなみに難易度高めとか言ったけどFEの最高難易度とかと比べるとアクビが出るほどかわいいもんです。いやFEは聖魔とifしかやってないけどifの最高難易度基準はたぶんSLG好きには通じる基準だと思う。

※※※

ちなみにこのゲームは味方キャラの攻撃に追撃を加えて、スペックに優る敵を行動させずに倒し続けるのが基本戦術になっています。
追撃などのシステムの簡単な詳細は公式サイトで紹介しているのでここでは割愛します。

【捨てキャラがいない(そんな余裕はない)ユニット性能】

最初から強めと言った通り、プレイアブルキャラがたった5人しかいないのもあって全員めちゃくちゃ強いです。

SLGは基本的に多数の個性的な味方ユニットがいるもので、攻略MAPによってそれらユニットには有利不利や得意不得意が出てくるものであり、それ故にMAP次第でユニットの使い分けが重要にもなる……のですが。
でも実際のところ、育成のために不利を承知で無理矢理出撃させたり、矢の豪雨が降り注ぐ中でも山岳地帯を飛び越えてペガサスナイトを一般人救援に向かわせざるをえなかったり、ぶっちゃけコイツ強いけどキャラが好きじゃねぇから放置(もしくはその逆)とか割とよくありますよね。

「じゃあ最初っからプレイアブルキャラに選択の余地なんてねぇよ」って割り切りはインディーゲーならアリですね。
もっとも「次週する時は他のキャラをメインで使うぞ」ってボリューミーな楽しみ方ができないのはやはり欠点でありインディーゲーの限界であると言えます。
正直そのあたり完璧に備えたFEエンゲージと発売時期が近かったのはちょっとタイミング悪かったんじゃないのかと発表直後から思っていました。

ただ、全員強いうえでたった5人しかいないので、自然と一人一人に愛着が湧きます。イヤ本当に「こんな低Lvでこんな強スキルもう覚えるの君?」ってしょっちゅう思います。

【サラ】

主人公のはずですが、明らかに主人公タイプではないシーフかアサシンタイプのキャラです。
全ユニット中もっとも移動力が高いためにMAPに落ちているアイテムの拾得係をやらされたり、攻撃力自体は低めなのを手数と仲間の連携で補い、紙防御なのを割り切って回避盾やったりすることも。

反撃を受けないスキルを数多く習得していくアサシンタイプのユニットとかちょっとこれ反則じゃねーかと思うんですが、そこまでしないとどうにもならないレベルでこっちのユニット数が少ないんだからしゃーない。
ただクリティカルがあまり積極的に狙えるバランスではないので、避けてバシバシ敵を斬り殺すFEの剣士系ユニットと同タイプではないんですよね。

【グレン】

見た目通り、こっちの方が正統派の主人公タイプです。
バランス型の剣士で攻防速が全部そこそこ。ただ、槍使いのルグも普通にバランス型なのでルグ加入直後くらいはちょっと影が薄くなります。でも当のルグと組まないと死ぬバランスなので使えないとか贅沢なこと言ってられない。

グレンは味方との連携で80%くらいの地力を120%くらいに引き上げられる、バランス型のユニットと言えます。極端に得意な場面が無いかわりに極端に不得意な場面もないので、足りない部分を適時味方に援護してもらったり、味方を援護したりするキャラです。
だからSP振り結構難しいんですよねコイツ。取り得みたいなスキルがあまりない。

味方がどんどん強くなっていけばいくほど相対的にグレンの使い方も無理が利いてくる感じです。やっぱ主人公コイツじゃねぇのかな。

【ルグ】

「SLGで槍ユニットは強い」というイメージがあるんですが(大体サモンナイトのせい)、ルグは正に槍の攻撃範囲を生かした中衛ユニットという点で実によく調整されています。

追撃で行動消費しないという本作の性質上、2マス先まで攻撃できる槍使いのルグは本作でもっとも追撃しやすいキャラです。
SLGで槍の「2マス先まで攻撃できる」は直線と斜めマス対応型の二種がありますが、ルグは後者の斜め対応型です。下記画像のような感じ。

真ん中がユニットで赤が攻撃範囲

味方ユニットでも障害物を挟んでいると攻撃できないので立ち回りに気を使う必要性がとくに高いのがルグですね。
シンプルに攻撃力と命中率を上昇させるパッシブスキルを習得できるので正に追撃の鬼です。本人の性格が「モース絶対殺すマン」なので敵を一匹でも多く狩り殺したいという性格と性能がバッチリ噛み合っています。

また、先述したようにアイアンウォールという味方を守るスキルに直線2マスを強攻撃で貫通する範囲攻撃スキルも習得するため、行動リソースであるAP管理にも気を使う必要があるユニットでもあります。
味方を守るか、攻撃チャンスが来た時に敵を一気に突き殺すか、さらに配置位置次第で追撃させまくるという先手先手を考えて行動させる必要があるキャラなので、できることが多い分とくに慎重に扱う必要があるヤツです。

【ウルス】

移動力が全キャラの中でももっとも低いかわりに、攻防ステータスが共に高い超絶わかりやすい脳筋アーマーナイトタイプユニットです。

SLGだとこの手のユニットは正直スペックを活かしきれないパターンが多いですね。
機動戦になると足の遅さのせいで進軍に追いつけない、自慢の硬さと強さも回避型火力ユニットの剣士が強い作品だと可哀そうなことになる、命中率が低くて肝心な時に攻撃を外す……。

本作では先述のとおり移動力最高のサラが7マス移動で、最低のウルスが5マス移動、且つMAPがそれほど広大ではなく徒歩系ユニットしかいないためぶっちゃけ足の遅さはそれほど問題にはなりません。
段差踏破能力、地形踏破能力も全員平等ですしね。ゲームそのものの機動力の基本がアーマーナイトに合わせている感じです。
これをシンプルイズベストと取るか、奇襲作戦がやられないかわりにこちらもできないのでつまらないと見るべきかは微妙なところですが、アーマーナイト系ユニットは個人的に好きなのでヨシとしています。

ウルスはこのうえで命中補助系パッシブスキルを覚えるので命中に不安を抱えることも少なく、ガードカウンターを駆使して基本スペックのゴリ押しで大活躍するという大変頼りになるユニットです。
割と狭い通路も多いのでウルスが妨害してくれるだけで通行制限ができてちゃんと壁として機能するのも、先述した徒歩系ユニットばっかしかいないというゲーム性故のところでしょうね。

※※※

ちなみに話題がズレますがこの手のアーマーナイト系ユニットの扱いで上手いと感じたのはサモンナイト3と4ですね。
というかPS2版のサモンナイト3と4は難易度低めではあるものの実はかなりSLGとして完成度が高いと個人的には高評価をつけているのですが、モノがキャラゲーで昔のゲームなだけにそういう方はあまり見ないのが残念なところです。

サモンナイト3と4の低機動力を補助するいい所は、段差ボックスオブジェクトを召喚して地形変化を生み出せるところにあります。
これを召喚すると例えば段差3しか移動できないキャラが段差5の崖上へと、段差2のオブジェクト召喚を足場にしてショートカットが可能となり、奇襲したり挟み撃ちにしたりすることができるんですね。
また、サモンナイトでは段差によってダメージ補正が入るため壁ユニットを段差ボックスオブジェクトの上に置いておくと、攻防+20%くらいのバフがかかっているも同然とかいう状態にできたりもします。
これだけ便利なオブジェクト召喚が、誰でも低燃費で可能なので召喚スロットがただ多いだけの器用貧乏ユニットが大活躍する余地があったりします(ルシアンとか……)。
MOVE+1する憑依召喚とかもありましたし、4では遂にユニットの位置を交換してワープさせる召喚ユニットまで登場したので、サモンナイトはかなり機動力補助に気を使ったタイトルでした。
問答無用でMOVE4にするロケットはちょっとヤケクソ感あったけど。

ぶっちゃけこれらを使わなくてもサモンナイトは十分クリアできるゲームだったんですが、使ったら使ったで推しキャラが大活躍するという土壌が整っており選択肢があったということが大事なところであり、評価すべきところだと私は考えています。
PSP版はキャラそのもののアビリティを充実させすぎたり、ブレイブクリアの条件を無駄に複雑にしたせいでストレスが多くなったのが問題点でした。
余談が長くなりましたが、ようするに本作はPS2版サモンナイトの質実剛健な調整バランスとして似た空気を感じます。

【カレン】

弓使いですが、本作では追撃がメインダメージソースとなるため、前衛の男性ユニットたちがある程度敵と隣接した所にカレンが攻撃した追撃で敵を仕留めるというデザインになっています。
自分自身の攻撃にも追撃するうえ、行動リソースのAP消費と威力が低いスキル(ようするに手数を稼ぐスキル)も早期習得するため、めちゃくちゃ武器の消耗速度が高くなりがちなのが玉に瑕。

基本的にこのゲーム、先述したように徒歩ユニットが多くMAPも平原のような場所が少ないので脆さに関してはあまり問題なかったりもします。
むしろ彼女を守るグレンやルグの方がうっかり落ちるケースが多い。

本作のキモである追撃の司令塔みたいな立場のキャラであり、ウルスやルグと組む場面が全体的に多いですね。

【回復リソースについて】

本作の回復リソースはちょっと特徴的です。

全キャラに戦闘中一度だけ(ゲーム後半で二度可能になる)自身のHPを回復させることができる霊薬が配備されており、各MAPに配置されている霊脈を起動させるとHP全快+霊薬も補充されます。
さらには霊薬の使用で行動消費はしないという超強い仕様。

回復量もかなり高い

このため、集中攻撃によって1ターンで落ちなければ回復リソースが優秀なため、このゲームはあまりダメージを受けることを恐れず攻撃的な動きが推奨されているバランスになっています。
ダメージに関してはクリア時評価に響きませんしね。
回復ユニットの進軍に気を遣う必要性がないというのは、軽快なゲームテンポを生んでいます。また、プレイアブルキャラが5人でいいというのは回復システムのおかげですね。

この霊薬による回復システムは非常に上手く機能していると感じました。終盤はストーリー展開とあいまって、コレだけ優秀なのになお回復リソースが足りなくなり、ユニットの回復スキルに頼らざるを得なくなるという絶望的展開が演出となってよく噛み合っています。

【お金が足りない!】

回復リソースに関しては超強いのですが、そのかわり金銭面に関してはかなりシビアなバランスになっています。
一応私はフリーマップ無しで一週目をなんとかクリアできましたが、所々で壊れた武器を使ってやりくりしていました。

換金アイテムは
この三つだけで
あとは別途使えるアイテムを売却しないとお金が得られません

本作では昔ながらのFEと同じく武器は使うたびに消耗し、さらに強力な武器ほど耐久値が低いというあのバランス調整になっています。
まぁ特効武器とかは無いので武器の温存についてあまり戦略的に考える必要性は薄いです。
壊れた武器でも一応攻撃できますしね。無限湧きするザコとかはコレで倒せます(ただし命中もかなり低い)。

ただ、獲得資金がかなり少なめなので(3月14日アプデで緩和されたようですが、その頃にはもう大分終盤までプレイしていました)武器の修理代や強化代のやりくりに涙することになります。
修理できるだけマシという話もありますが。
換金アイテムがドロップしないMAPが続くと、武器強化用素材アイテムや命中率が極端に低くて信頼性の低い武器を売ってしまうことも……。

極めつけ、ストーリー中盤からフリーMAPが制限されお金を稼ぎたくても稼げない、稼ぐためには武器を消耗するというジリ貧状態になります。
私は元よりフリーMAP封印プレイしていましたが……。

※※※

ただ、このバランスはストーリーとの調和性が良いんですよね。
嫌われ者の傭兵団のくせに化け物軍から力なき民を守るために損で不利な戦いをし続けて転戦に次ぐ転戦をし、遂には補給路を断たれてしまう。

この「本人たちは一騎当千に強いけど兵站が保たない」というのは無限湧きする化け物軍団との戦いの絶望感を煽る演出として大変上手く機能しています。

ちなみに私は耐久30くらいのバランス型武器を鍛えてメインウェポンとして使って都度修理し、命中高めで攻撃力低い武器を使い捨てていくプレイスタイルでした。
高攻撃力低命中武器は信頼しないタイプです。

【総じて】

一番最初に書きましたが、とにかく質実剛健な出来のSLGです。
なんかややこしいシステムとかウェイトターンバトルシステムでないシンプルなチームターン制システムの、こういうSLGが遊びたかったんだという欲求がサモンナイト以来で満たされました。
そもそもSLGはあまり遊ばないので当然っちゃ当然なんですが。

なお一度クリアするとハードモードが解禁されます。

でも最初の戦闘の時点で既に死ぬほどキツいぞコレ。
敵のステータスが上がっているだけでなく霊脈も少なくなっているという鬼畜仕様。
そもそも艦これイベントの片手間にクリアするのがやっとだったのでしばらくは塩漬けです……(ソニックのアップデートもあったし)。

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