#12 私になれなかった君へ①
「黄昏祭?」
地元の中学生が同級生の友達に話しかける。
パーマもワックスもなにもかかってない髪に、にきびができている顔は田舎と若さの象徴か。
「そうそう。黄昏祭、行くんだろ」
「まあ来年は黄昏を受験するだろうしなあ」
夕陽が黒の学生服を照らす。もう夏は終わっていた。
彼らふたりもそろそろ高校受験に本気になる時期だ。
「あそこ、中学にはかわいい子も多くてさ。利発的というか清楚というか」
「またそんな話をして。どうせナンパする勇気もないくせに」
「分かんねえだろ。一目惚れ