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居場所

 オウム真理教教祖の三女麗華さんの著書「止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記 」の中に、「オウムは理系の高学歴のエリートが多いイメージを持たれているけれども、わたしが見たところは、この社会に居場所のない人が多かった」 と書かれている。教祖の間近にいて、多くの信者を見ていた三女ならではの感想であり、核心に触れた意見だ。
 鶴見済の「人間関係を半分降りる」(気楽なつながりの作り方)筑摩書房を読んでいたら、居場所という言葉が偶然出てきた。 鶴見自身も居場所を持つことが苦手で、これまで苦労してきたと述懐している。 鶴見は提案する。「もう一つ居場所を持つ」こと。家庭や職場、学校は固いつながりの場だから、居心地の良い居場所になるとは限らない。そこでゆるい居場所を二つ持とうと言う。
 我が身を振り返ると、パソコン通信の時代を経てメーリングリストに結構時間を費やした。「医療系メーリングリストの現状(八幡勝也、松岡正巳)」によると、当時600以上の医療系MLが設立された。シーミンク中央医療情報ML、 広域医療情報ML(wami-ML)、LOCAL-MLなど今も健在だ。全国各地に散らばる会員がネットを通して意見を交換したり情報提供することは画期的なことだった。会員内のトラブルもよくあった。意見の違いによる諍いだ。負の部分もあったにせよ、医療関係者が一堂に会して「ゆるい居場所」を持てたのは良いことでないかと思う。


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