音楽から離れたことと、その距離感で好きな曲

この記事は「楽曲オタク Advent Calendar 2021」14日目の記事です。

ご無沙汰しております。
最近はすっかり音楽のことを書かなくなってしまった私ですが、ありがたいことに上記アドベントカレンダー主宰のなまおじ様からお声がけをいただきました。久々に書かせていただきます。

音楽のことを書かなくなった理由、それはシンプルに「音楽をあまり聴かなくなったから」に他なりません。
この企画ではありえない書き出しになってしまいましたが、この変化には我ながら興味深いと思ってしまうところがあり、思い切ってこれをテーマにして書いてみることにしました。

離れたことによる音楽リスニングの形の変化と、そんな自分が今好きな曲、このあたりについて書いていきます。

まずは、音楽から離れてしまったことについて。

なぜ音楽から離れてしまったのか

自分から音楽から距離を置こうと考えたことは一度もありません。でも気づいたら音楽をあまり聴かなくなっていました。

色々思い返してみると、この辺りが原因かなと思います。

忙しくなる

余暇時間が少なくなって、「新譜を全曲まるまる聴く」がやりにくくなりました。これは深刻な理由ではありません。

音楽を聴きながらできない趣味にハマる

こうなると、もうてきめんに音楽を聴かなくなります。私の場合はラジオサイクリングです。ラジオを聴いている最中は曲を集中して聴くことができませんし、以前音楽を聴きながらやっていた家事や散歩はラジオを聴きながらやるようになりました。自転車に乗っているときはイヤホンを耳に挿せません。

好きだからこそ聴けない問題

忙しい日々を送る中で「大好きなあの作曲家が、あのトラックメーカーとタッグを組んで曲を出していた!昨日リリースでもうサブスクで聴ける!」という情報が流れてきたとします。

こんな時「うわ!超たのしみ!でも今忙しいし後で聴こう!」と考えて、半年たっても聴いていない、ということが起こります。

好きな作家の曲なんて、じっくり聴いて細けぇとこを拾いまくってああここがすきここ最高!って言うのが一番楽しいに決まっています。それをこんな心がザワザワしてるときに聴いてしまうなんて勿体ない。心に余裕があって一切のノイズがない、最高の環境で初めてを味わいたい。そんな気持ちですごい数の音楽体験を先延ばしにし、ロストしてしまいました。

趣味の熱が冷めてきたとき、熱量が一番高かったころと同じ楽しみ方をしようとしてはいけないということなのかもしれません。
「落ち着いたら聴く」がうまくやれないならさっさと聴いたほうがいいです。

こうして音楽から少し離れた生活をして、自分から音楽を聴きにいかない「受動的音楽リスナー」として新たな人生を過ごしていたら、いくつか気づくことがありました。

「受動的音楽リスナー」になった自分

こんな自分が音楽を聴くときはどんな時なのか?と考えたとき、ほぼ「気分を変えたいとき」にしか聴いていないことに気づきました。なんだかテンションが上がらない時、悩んでいて心を落ち着かせたい時、余裕のある朝のコーヒータイムを彩るため、などなど。

聴きたいから音楽を聴くではなく、何かをする手段として利用しているのです。

世間一般から見て別におかしなところはないと思うのですが、かつて曲を自分から漁りまくってた身からすると、リスペクトに欠ける失礼な態度だと感じてしまいます。

そしてこういう層が世の中の多数派なんだろうなとも思いますし、彼らをガッチリつかむような曲が大ヒットになるのかもしれません。

私もこうした態度で過ごしていて一切新しい音楽に出会わなかったかと言われると結構違っていて、意外と新しいジャンルも聴くようになった感じがあります。

受動的音楽リスナーはどういう曲を聴くのか

今年は、ナオトインティライミ日向坂46・乃木坂46といった坂道アイドルさんの曲を新たに聴くようになりました。いずれも音楽を聴きあさっていた時のアンテナにはそんなに引っ掛からなかったアーティストさんです。

一聴しただけで耳を掴んで離さないフックの強さ

ナオト・インティライミさんは、ラジオで久々に「恋する季節」のサビを聴いて以来強烈に耳にこびりついてしまいSpotifyでよく聴くようになり、気づいたらかなりハマっていました。

彼の楽曲はとにかくメロディに勢いがあります。高音域への跳躍が多い派手で耳なじみのいいメロディが軽快なリズムに乗っていて、思わず口ずさみたくなります。
「恋する季節」「Brave」「タカラモノ~この声がなくなるまで」など、有名曲を連続で再生しているとどれもこれもサビメロの強度がえげつないです。天才です。

そして、難しい歌詞がひとつも出てきません。
たとえばSpotifyで一番再生数が多かった「タカラモノ~この声がなくなるまで」のサビ冒頭を例に挙げると

キミのことずっと いつだって Oh守り続ける!

タカラモノ 〜この声がなくなるまで〜

この歌詞って「キミのことずっと いつだって Oh守り続ける!」ってことなんだろうな~と、どんなに忙しくてもスッと頭に入ってくると思います。

短いフレーズで上手いことを言う芸術点の高い歌詞こそが良い歌詞だと信じていたのですが、受動的音楽リスナーになると、「超簡単具体的ワードがサビのいいメロディに乗ってドーーン!」みたいな感じにしてもらわないとまず歌詞に耳なんていきません。

そしてこの歌詞が楽しい強メロディに乗っかっているので、音楽を手段としてしか見ていない受動的音楽リスナーもさすがに心を開いてしまいます。こういうのを聴いてると、一聴しただけで耳を掴んで離さないフックの強さってやっぱ大事なんだなぁと思わされます。

Fullが聴けるMVも埋め込んでおきます。

ナオトインティライミ楽曲のリンクを今回初めて埋め込んでびっくりしたんですけど、サムネイルがイカれすぎですね・・・

音楽以外に強いきっかけ・思い入れがある

後者の坂道グループさんは、アイドルバラエティ番組を観たのがきっかけで興味を持って曲を聴くようになりました。
バラエティを観るうちに曲を繰り返し聴く状況が生まれ、聞いていくうちにメロディが体に馴染んできて、好きになった曲が沢山あります。

受動的な奴でも、コンテンツに手取り足取りしてもらって曲のもとに導いてもらえば、お気に入りの曲に出会うことができるのです。

先ほど歌詞の話をしたので歌詞にも触れておくと、秋元大先生の歌詞はパッと画が浮かぶ具体的な状況がそのままリリックになっていることが多いので、これもスッと頭に入る感じがあります。


以上、よっぽどフックが強いか、強いきっかけがないとなかなか自分から曲を聴けなくなった悲しいオタクの話でした。

音楽を嫌いになったわけでは全くないので、この生活も案外悪くないです。猛烈に色んな音楽を聴き漁りたい時期がまた来る気がしているので、今はまだこうしてのんびりしていようかなと思っています。

今好きな曲4選

前振りが長くなりました。
こんな自分が今好きな曲を4曲挙げます。

夏嵐 - ジェニーハイ

この曲は初視聴時からビビッときました。本当にいい曲です。かなりシンプルな構成の曲で、とにかくメロディが良すぎて頭から離れなくなります。
歌詞もスッとメロディと一緒に頭に入ってきて心に突き刺さります。川谷絵音さん本当に鬼才です。MVも素晴らしい。

JOYFUL LOVE - 日向坂46

2021年で曲を聴いて泣いたのはこの曲だけだったような気がします。アイドルソングって、いやポップスって、こういうのでいいんだよな、と思わされる傑作です。

日向坂46を一切知らない人がこの曲を初見で聴いてどう感じるのかちょっと興味があります。初めて聴いたけどええやんけ!とかあんまり刺さんなかった~!とかあったら教えてほしいです。

夜明けまで強がらなくてもいい - 乃木坂46

先日の Youtube Music Weekendでこの曲のライブ動画を観てビビッときました。

実は最近までほぼ聴いていなかった曲なのですが、自分の中で音楽の趣向が変わるきっかけになりそうな曲なので思い切って挙げてみました。

上から目線な言い方ですが、この曲はすごくメンバーに似つかわしい曲だなとまず強く思いました。ステージにざっとメンバーが並んだときの雰囲気、フロントメンバーの佇まい、踊ったときの身のこなし、ユニゾンで声を合わせたときのボーカルの質感と、すごーく曲がマッチしているなと思います。これは本当に生で見たい。

↓Youtube Music Weekendのアーカイブ(1月中旬まで観られるそうです)

なんか乃木坂・欅坂・けやき坂って6451進行が異常に似合う気がします。

키스는 다음에 - LOOΠΔ/YeoJin

これは昔から今までずっと好きな曲です。

冒頭から音楽と距離が離れたとか、受動的にしか聴けないとか色々書いてきましたが、この曲を聴くたびに「やっぱりポップミュージックは最高だな」と音楽を愛する心を取り戻していました。アレンジもメロディも何もかもこんなに凄い曲ないです。

今後どんなに心の余裕を失ったとしても、記憶喪失か何かでこの曲を忘れない限りはまた定期的に音楽リスニングおじさんに戻るんだろうなと思います。

おわりに

もし最後まで読んでいただいた方がいたならば、本当に感謝しています。私は貴方のことが大好きです。

人生をずっと音楽と共に歩みたいと思った時、おそらくずっと同じ関わり方ということはないと思います。なので、なんだか音楽に向き合えなくなってしまったときに、この記事のどこかしらが参考になればよいな、と思います。

あと、この記事を書き始めたのがきっかけでSpotifyと向き合う時間がかなり増え、また人生が音楽で彩られ始めた感じがあります。主宰のなまおじさん、本当に貴重な機会をありがとうございました。

明日はHIMAGOさんが記事を上げてくださいます。お楽しみに!

おわり。