Coupaの製品構成(ソリューション体系)~(1).コアアプリ

Coupaってどんなことができるのだろう、どんな構成になっているのだろうという点を、説明してみます。Coupaの全体像は下図のように表現されます。アプリケーション(Application)、プラットフォーム(BSM Platform)、コミュニティ(Community)の3層から構成されます。では、それそれの階層を見ていきましょう。

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1.アプリケーション

アプリケーションとは、いわゆるプログラムです。ユーザーが操作する対象です。Coupaはこれを2つに分けて考えています。円の真ん中にある4つの機能(コアアプリと呼ばれます)と、その周辺の機能(パワーアプリと呼ばれます)とです。

1-1.コアアプリ(Core Apps) 

購買業務全体の中で、利用ユーザーの範囲も広く、もっとも業務負荷がかかるのは、「買いたいものを発注し、納入検収手続きを行い、請求書を処理して、支払につなげていく」一連の部分です。この部分は、システム化進んでいない場合には、購買業務工数全体の8割にも達してしまいます。
ゆえに、電子購買が2000年代に最初に取り組んだのも、この部分からとなりました。そして、この部分の使い勝手の良さには、古くから定評があったのがCoupaでもありました。
そのような背景から、「買いたいものを発注し、納入検収手続きを行い、請求書を処理して、支払につなげていく」領域が、Coupaの最重要機能(コア)に位置付けられているのではと推測します。
では、その領域のそれぞれの構成要素はどうなっているのでしょうか。それらを概観していってみましょう。

1-1-1. Procurement (Procure: 調達)

コアアプリの先頭にくるのが、社内の購入要求を受け、その購買発注を行い、その納入検収までのワークフローを担当する「Procurement(調達)」です。この機能、Coupaの「使い勝手」を象徴する定番機能でもあります。カタログから購入品を選択して発注する際にも、購買部門に見積取得を依頼する際にも、業務はこの機能からスタートします。
そして、サプライヤーから購入品を受け取ったら、その受領検収結果を入力する先も、この機能となります。

1-1-2. Invoice (請求書)

購入したものの請求書がサプライヤーから届いたら、内容を確認のうえ、支払につなげていかねばなりません。しかし大変なのが、発注や受領検収の実績と請求書を突合照合することです。なかなか一致しないことは日常茶飯事です。さらにサプライヤーで随意の形式にまとめて提出されるとなると、まずわからなくなってしまいます。

このような課題に対応するのが「Invoice(請求書)」です。
Coupaはサプライヤーと共有している発注や受領検収の電子データを基にサプライヤーに電子請求書を作成してもらう機能(請求書発行機能)を提供することで、受領した請求書の突合照合作業を効率化するとともに、サプライヤー側の請求書発行業務も簡素化します。
しかし、サプライヤー側の都合などから、様々な形態・様式の請求書が来てしまうのは、なかなか避けられません。それに対して、CoupaではAI(人工知能)を使った突合照合機能を備えるなど、購買部門(さらには購買部門から問い合わせを受けるサプライヤー)の省力化に寄与しています。

実は、現在日本で注目度が高まっているのが、このInvoice(請求書)機能です。というのも、2023年10月に始まる「インボイス制度」により、法人番号や消費税の税率・金額等を区分明記した「適格請求書等」の保存が仕入税額控除の要件になります。これまでの曖昧な様式では済みません。加えて、手間がかかる紙の請求書ではなく、電子請求書に移行しようとする動きが政府主導で進みつつあります。対応を要するホットな領域となっています。

1-1-3. Expense (経費)

一方で、購入後に支払申請が上がってくる経費の支払いへの対応を外すことはできません。それに対するのが「Expanse(経費)」です。
例えば、出張に出た場合などの経費精算はなくなりません。また、多くの社員が精算業務にかなりの業務工数を割いているとの報告もあります。それに対応するのが、この機能です。

1-1-4. Pay(支払)

コアアプリに最後に加わったのが「Pay(支払)」です。デジタル化の進展とともに、様々な支払方式が出てきました。例えば、「バーチャルカード(Virtual Card)です。電子購買をした際に、全社一括のクレジットカードを指定して、そこから支払うことで、購入後の請求書や支払対応の手間を軽減することができます(1回限りの取引先にいちいち対応していたら大変です)。では、バーチャルカード経由の支払額はどうなっているのでしょうか。そのあたりの新しい支払方式にも対応した管理機能が対応されています。
また「早期支払い割引(Early Payment Discount)」制度にも対応しています。これは、規定の支払期日より早期に支払う代わりに、サプライヤーへの支払額を割り引いてもらう制度です。日本では、企業規模に留意が必要ですが、この制度を国内で適用している企業もあります。
このように、様々な支払方式が登場し、それを管理していく必要が生じてきたことから、Pay(支払)がコアアプリに追加されました。

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