Coupaの製品構成(ソリューション体系)~(4).コミュニティ
一番下の段が、Coupaの特長でもある「コミュニティ(Community)」です。
コミュニティは当初「コミュニティ・インテリジェンス(Community Intelligence)」から始まりました。そして2019年に「コミュニティ・アドバンテージ(Community Advantage)」と「コミュニティ・コラボレーションCommunity Collaboration」が加わりました。
4-1.コミュニティ・インテリジェンス(Community Intelligence)
まず最初のコミュニティ・インテリジェンス(Community Intelligence)から見ていってみましょう。クラウドの世界では、アプリケーションも業務データもユーザーの手許ではなく、リモートの世界に存在しています。サービス提供者が一元利用できる環境にあります。それに対して、クラウドサービス提供ベンダーは「それらのデータを匿名で集計したりして活用できる」とする契約条項を締結しているのが一般的です。クラウドサービス提供者としてCoupaもユーザーの業務データにアクセスできるようになりました。
ではこの業務データを購買ソリューションで有効活用できないか、その観点から生まれてきたのが「コミュニティ・インテリジェンス」の考え方です。Coupaは蓄積されているユーザデータを匿名で使って、様々な指標(KPI)で他社の状況との比較ができるようにしました。最初はレポートで指標値を発表するところ(KPIベンチマークレポート)から始まりました。しかし今では画面上にリアルタイムで比較結果が表示されます。「皆よりもこれだけうまく仕事ができているのか、しめしめ」とか、「皆よりずいぶんと出来が悪いな、頑張らねば」とかがリアルタイムでわかります。加えて、出来が悪い指標(KPI)に対しては「こうしたらよいですよ」とのアドバイスの推奨事項(Recommendations)が一覧で提示されます。
また、個々の操作者に対しては、褒めてくれて、モチベーションが上がるような仕組みも提供されています。
さらに、サプライヤーの良し悪しの判断にも、他社ユーザーがどう感じているかが利用できるようになっています。登録されている利用可能なサプライヤーを提示してくれるベンダーは他にもあります。しかし一律に提示されたとして、いったいその中のどこを選べば良いのでしょうか。調査会社の評価結果はもちろん参考になります。でも皆が「いいね」しているという「評判」も判断材料に加えて検討できるならばさらに良いのではないでしょうか。特にリアルタイム(まさに今)の状況は、皆の「いいね」の方が的確に反映するのではないでしょうか。このような理由から、Coupaはサプライヤー選定の判断材料として、このような利用ユーザーのフィードバックの活用を、コミュニティ・コミュニティ・インテリジェンスの一部として提供しています。
4-2.コミュニティ・アドバンテージ(Community Advantage)
2019年には、共同購買に関連する機能強化が行われました。まずはCoupa Advantageです。これは購入量に応じた値引き価格を提供することに応じたサプライヤー(Trust Supplier)に対し、Coupaの担当者がユーザー全体の購入量で価格交渉を行ない、その結果提示された値引き価格でこの仕組みへに参加している企業が購入できるようにする仕組みです。Coupaのユーザー全体でみると、1.7兆円の購入がCoupaを経由して行われています。その購買量を材料にして値引き価格を引き出そうとするものです。
残念ながら、日本でのCoupaユーザーがまだ限定的で、かつ協業サプライヤー(Trust Supplier)も設定できていないことから、まだ日本未導入ですが、今後に期待です。
4-3. コミュニティ・コラボレーション (Community Collaboration)
もう一つの共同購買の仕組みは、Source Together(共同価格交渉)」です。これも2019年に追加されました。この仕組みでは、ある企業が他のユーザーと共同価格交渉してもよいと思われるモノ・サービスの購入要求を他の企業(コミュニティ・メンバー)が参照できる方式で、まず登録します。それに乗って一緒に価格交渉したいと他のCuopaユーザーの企業(コミュニティメンバー)が考えた場合、参加表明し、全体の購買量が増加していきます。そして共同価格交渉のメンバーを募り終わると、その中の1社が代表してサプライヤーと価格交渉して、参加メンバー全員に適用される購入価格を引き出します。その価格は、購入量が大きくなっているため、1社単独よりも安い価格が提示されるのが通例です。
共同価格交渉は、実際に行おうとしても他社と足並みを合わせるのがなかなか難しいという課題がありました。それに対し、共同価格交渉のニーズをCoupaユーザー企業間で共有して参加企業を募り、購買量を集めて、よりよい価格を引き出す仕掛けを、Coupaはこのように提示したのです。
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