続ける技術1

ありあまる暇と孤独の日々をすべて、やたら時間のかかる瞑想にぶつけてみる。それによってどういう変化が自分に起こるかを、自分の人生で確かめる。私の人生の中で、2021年という1年は、その実験のために投資するのだと思いを定めた。分散投資はせず、集中投資の一点張りである。

ところが、生身の肉体を持っている私は、頭で決意した通りに体を動かすことに苦戦する。頭の方でも、「今日は天気がいいから、瞑想するより外に出る方が楽しそうだな」「瞑想する期間はまだ数ヶ月もあるから、何も今日始めなくてもいい」「お腹が空いたから先になんか食べよう」「食べちゃったからしばらく瞑想はできないね」など、色んな言い訳を考え出してくる。

こう書くと、「そんなにやりたくないなら、無理して瞑想なんてしなくていいんじゃないの」という声が聞こえてきそうだが、別にやりたくないわけでもないのである。ある種の運動と同じで、やり始めると心地よいし、やってよかったと思うことがほとんど。でも、やり始める前にちょっと億劫だったり、あるいは単純に始めるきっかけを失って始めなかったりするというだけなのだ。

これだとそもそも実験が成立しない。子供の一番かわいい時期に離れて暮らしているのに、何一つ得ないで帰るというのも悔しい限りだ。代償を払ったら相応のものを得たいのが人間である。そこでなんとか毎日2回、長時間の瞑想をする方法がないかを真剣に考えた。いくつかアイデアも出たが、うまくいかなかった。

ある日、日本のお笑い番組をYoutubeで見ていたら、こんなやりとりがあった。

「体に悪いのわかりきってるのに、どうしても酒飲んでまうんよね。それで、こないだ血液検査したらなんかの数値が150以下でないとアカンところ、4000とかなってたんですよ。桁が違ってました」

「いや、それ普通に笑いながら言うてるけど、正直許せへんわ。俺一番嫌いやねんそういうやつ。お前子供もいてて、会社勤めしてるわけでもないのに体壊したら、子供の学費とかどうする気なん?お前みたいなアホがどうしたら酒やめられるか教えたろか」

「うん。教えて」

「お前が少しでも酒飲んだら、俺に20万円払って、さらに俺がお前んちの子供を殴って痛めつけることに決めよう」

「なんでそんなひどいことすんねんな」

「同じことやん。お前が酒飲んで体壊したら、芸人として稼ぐことできんようになるやろ。金だいぶ減るわな。それで、お前が稼げんようになったら、子供は殴られることよりもっと大きな苦労することになんねんで。お前はただそれが先のことやし確定してないからよう分からんで酒飲んでまうねん。もし先の嫌なことが今すぐ起きるとわかってたら、それでも酒飲むか?」

なるほど、である。このやりとりをヒントに、私が瞑想を続ける方法を考えてみた。


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