子供の習い事

小学校3年生の息子がサッカーを習っている。私としては、体を動かしてもらえば健康になるし、サッカーを通じてそこはかとない友情や、最低限の礼儀などが身に付いたらいいなあ、ぐらいの感じで始めさせたものだった。うちの息子は、運動よりゲーム、争いごとはあんまり好きでないし、ボールの扱い方一つとっても明らかにセンスは平均以下と見えた。親の私自身が全くの運動音痴だから、息子の活躍してない練習風景や試合を見ても「まあ、そりゃそうだよね」というぐらいで、かなりつまらない気持ちで土日を潰していた。

私自身は息子のサッカーに対して極めて冷淡だったのだが、妻がある時期から比較的熱心になり、家庭でも息子のサッカーのことを話題に出すようになった。私はそれも冷ややかに見ていた。だって、週末の時間を潰して息子のサッカーを見ても、明らかに他の子より下手な感じがして、見てて辛いんだもの。妻も同じことは感じていたようだが、それでもなぜか諦めずに熱心に、週に3-4回、土日も両方通って、練習中もその場に待機して見学していた。そういうことが一年近く続いた。

すると、ごくたまーにだがうまくプレイする瞬間も出てくるようになった。そして妻はさらに息子のサッカーに熱を上げるようになった。私はそれを見てさらに冷ややかになった。

ある週末、私がいつも通り大して期待せずに、毎日会社に行くのと同じような気持ちで息子をサッカーの試合に連れて行った。するとその日に、息子はドリブルで敵チームの二人を抜き去り、ゴール間近まで迫って鋭いシュートを打った。シュートは入らなかったが、コーチが「おっ」と声を上げた。私も驚いた。息子がそれまでに見せたことのない力強い攻めの動きだったからだ。

そして、それで自信がついたのか、息子はその後すぐにまた味方のパスを受け、ゴール前に走り込んで積極的にシュートを打った。そのシュートは入った。そしてその後も同じようにもう一点取った。

この日から、少しだけ息子のサッカーに対する向き合い方が変わった。積極的に自主練をしたがるようになり、TVのサッカーの試合も色々解説しながらみるようになった。そして私自身も息子のサッカーを楽しみにするようになった。息子のサッカーの活躍如何で一喜一憂するようになったともいえる。

正直なところ、たかがサッカーだし、将来になんの影響もない、ただの遊びである。でも、こうやって熱中することで、親も気持ちが揺さぶられるぐらい楽しむことができる。私は年末年始にかけて、サッカー上達のグッズを色々買い込んでしまった。

私の人生に、息子のサッカーという新しい楽しみが一つ増えた。それにしても、あれだけ下手で、チームメイトとの力の差が歴然としている状態で、嫌がらずサッカーに通い続けられたのはなぜなんだろう。純粋に体を動かしたり、サッカーの技術を身につけるのが好きなようだ。周りと比べるよりも、昨日と自分と比べて上達を図るようなところが息子にはある。

私もそうありたい。

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