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CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋 

ブックレビュー

2022/06/22

結論

CFOが企業成長の鍵

  • CFOの仕事内容がIR活動に全て集約されている。
    IR活動効果は100億円単位。

  • 欧州のCFOはCEO(社長)と並ぶ責任ある地位。日本の金庫番とは違う

  • アニマルスピリッツ(実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意)を取り戻そう

根拠

  • 投資家の期待リターンである「資本コスト」を知ること
    資本コスト=リスクなしに毎年得られるリターン+ベータ×市場リスクプレミアム

  • ピケティの不等式
    r(資本収益率)>g(経済成長)
    投資によるリターンの方が労働者による賃金の伸び率を上回っている

経理・財務担当者のなんちゃって欧米流CFOが多い。
社長になる可能性がなく、経営戦略、M&A、サステナビリティの内容に疎いのが問題。

事例

駄犬さんのブックレビュー

読んだ。ここ数日TLで話題になっている本。著者はニコンCFO。他分野の人間にはイメージしづらいCFOの業務をのぞき見れる本で、たとえば著者は海外投資家との面談では英語を話すがアクティビストが相手のときだけは通訳を入れるそうな。
 細かい表現で言質を取られないようにするのと、通訳が喋ってる時間を使って発言内容を考えることができるから。あとは元アクティビストのコンサルを雇って参謀みたいに使ったりとかしてるらしい。
 ショートターミズムへの苦言があったり(イノベーションに必要な時間軸と短期投資家の時間軸は異なるとのこと)、資本コストやESGといったテーマに自身の立場を踏まえて論じていたり、そのあたりは株をやる人なら面白く読めるとおもう。
 あと、界隈でたまに話題になるIRの存在意義みたいな話について、投資家に適切な情報提供をして業績の予測可能性を高めて資本コストを押し下げることと述べている。納得感のある答えだとおもう。

https://twitter.com/daken_in_market/status/1670065089041530881
  • リーマンショックの時に割安で買収したモルガン・スタンレーが三菱UFJの収益の7割を占めるドル箱になった。

  • 資産を持っている人はより裕福になり、労働でしか富を得られない人は相対的にいつまでも裕福になれない。

  • CAPM(ノーベル経済学賞)
    ROE8%を超えた場合、株価とROEは正の相関を示す
    伊藤レポート(2014年8月)

再び結論

CFOの立ち位置で企業の成長が決まる。

欧米の海外投資家は財務・経理担当が名乗る似非CFOに欧米流のCFO人材レベルを期待する。
海外投資家が似非CFOに質問しても期待される答えをもらえず失望する。
その結果日本株は買われない。

機関投資家(金主・資産運用会社の二種類)や個人投資家と会社の間に立って彼らの対話の中心的な役割を果たす。

ピケティの不等式により、投資から得られる富は、労働から増える富より早く増える。

アクティビストとの対話は最もやりがいのある仕事

これからの日本企業に求められるCFO像

  • CFOは社長(CEO)のビジネスパートナーであるべし

  • CFOはCEOの最大の批判者であり、最大の支援者であるべし

  • CFOは会社の健全性を守る最後の砦であるべし

  • CFOは「リスク」と「資本」と「収益」を三位一体でとらえてマネジメントする役割を果たすべし

  • CFOは社内外のステークホルダーに対する最良のスポークスマンであるべし

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