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「犬、走る」

いい加減書けない日が続き、辟易したのでGoogle先生に「脚本書けない どうする」と調べたところ、フリーライティングなる手法があるらしい。たしかにこれは良さそうだ。私への特効薬、はたまた劇薬になるかもしれない、と思い、今日から始めることにする。フリーライティング道場第1作目は「犬、走る」だ。どうぞ。

「犬、走る」
犬は走っていた。
どこへ向かっているのか分からないまま、直感の赴くまま走っていた。
もはや脳みそは動いていない。
直感のみが彼を突き動かしていた。
おそらく心というよりも鼻先に感じる微かな匂い、いや、匂いと言えるほど確かなものではない。
それは粒子としても存在していない。
そう考えると彼を突き動かしているのはただの衝動である。妄想と呼ぶには形のない、ただの直感と衝動である。
だが、同時に彼は確信していた。
あそこへ行く。
あの交差点を右に曲がる。
唸り声を上げて直角にも似た角度で急激に曲がっていった。
弾丸のようなスピードで描いたその放物線、砂埃は巻き上げられ、いつか宇宙の塵となり命を育むことになる。
それはともかく彼は確信と共に走り抜けた。
軒先も、屋根も越えて、足が千切れんばかりに走った。
もはや感覚の存在しない身体も、その身体から生える毛も全て一つの火の玉となり駆けた。
ぐるぐると回る足、回転速度を上げて突然壁にぶち当たったかのようだったが、止まらずに投げ出された身体は、ズタズタに転がりながらテトラポットの生えるコンクリートの桟橋にたどり着いていた。
息が上がった彼は倒れ込み、少しの安心、徐々に安堵し、静かに眠りについた。

読んでいただきありがとうございます。血が沸騰していますので、本当にありがとうございます。