ピグンタコスの誕生
ピグンタコスはある日突然生まれた。気がついたら彼女はピグンタコスになっていた。誰が決めたのか、あるいはどこでそうなったのかも思い出せないし、それが世にとって正しいことなのかは誰にも分からなかった。彼女はピグンタコスという名を得て、ピグンタコスというキャラクターを身にまとった。それはあたかもヴィーナスの誕生のようであった。
けれども、誰も彼女がピグンタコスであるということを知らない。なぜなら、それは秘密裏に行われた暗号だからだ。彼女はピグンタコスであって、それと同時にチョロゲ三本のテバサキでもある。時において円谷プロの友好怪獣のパロディーであり、時においてしなびた二足歩行の何かであった。
我々は自身のキャラクターのレイヤーを知る。呼び名が自分に階層を与え、広がりを感じさせる。ファジーでまとまらない分裂気味な自身に名が授けられ、少し統制された感じを覚える。
隣にピグンタコスがいることにより、彼女が積み重ねた彼女を知る。それと同時に、自分が積み重ねた自分を知ることとなる。そうである、ワタシはダバンチョスでありチュー太郎であり、テンパなのである。